2025年 四直界隈10大ニュース
2025.12.31
2025年がまもなく終わろうとしている。というわけで、「2025年 四直界隈10大ニュース」と題して、この1年に都営浅草線を筆頭とした京成線、京急線、北総線のいわゆる四直界隈で起こったできごとを、当Webサイトで扱いきれなかったものも含めてまとめてみた。なお、ニュースの選定は、筆者の趣味や嗜好、独断、偏見に満ち溢れているが、異論はいっさい受け付けませんっ(ぉ
京成3200形 3204編成
2025.2.23/菅野〜京成八幡
京成3200形がデビュー(2月)
2月22日、京成の新型車両である3200形が営業運転を開始した。「人や環境にやさしいフレキシブルな車両」がコンセプトの3200形の最大の特徴は、ズバリ編成の組み換えが可能なこと。4両編成を基本組成としつつ「先頭車+中間車」の2両単位での編成組み換えが可能な仕様は、まさに令和の赤電。固定編成が当たり前になりつつある中で、まさかこんな車両が登場しようとは。
11月と12月には2025年度導入分の12両も加わり、全部で6両編成3本体制に。見かける機会も増えてきた。さらに、同社の経営計画によれば2026年度と2027年度の2年で76両を導入するとしている。これにより、3400形と3500形、3600形だけでなく、松戸線の8800形などを置き換えていくものと思われる。
都営浅草線でタブレット端末を活用した自動放送始まる(2月)
東京都交通局では、2月末より都営浅草線でタブレット端末を活用した自動放送の使用を開始した。対象となるのは、5500形以外の他社所属の車両で運転される列車で、これにより都営浅草線を走る全ての列車において自動放送を実施することが可能となった。
従来、都営浅草線では自動放送装置を搭載した5500形でしか自動放送を実施することができなかった。これは後発で自動放送を導入した直通各社がタブレット端末を活用する方式を採用したためで、方式の違いによるギャップが生じていた。結局、都営浅草線においてもタブレット端末による自動放送が導入され、5500形以外で自動放送が行えない問題の解決が図られることとなった。
新京成N800形、最初で最後の宗吾車両基地入線(3月)
3月21日の終電後、新京成N800形が「京成×新京成×北総 撮影会 in 宗吾車両基地」での展示のため、宗吾車両基地に入線した。N800形は京成本線京成津田沼までの走行実績はあるものの、同駅より成田方への入線は初めてのこと。新京成の会社消滅前夜にして、N800形は新京成車としての京成津田沼以東初自力走行という大きな花火を打ち上げた。
さらに、5月24日の終電後には、今度は80000形が「京成電鉄宗吾車両基地キッズフェスタ」のため同じく宗吾車両基地まで回送されている。しかし、こちらは既に京成車となった後での入線。したがって、3月のN800形の宗吾車両基地入線は、新京成車としては最初で最後のものとなった。
京成松戸線が開業(4月)
京成8800形 8809編成
2025.10.15/五香〜元山
習志野駅 駅名標
2025.10.14/**
2025年における四直界隈のできごとで、最も大きかったのはこれしかなかろう。京成が新京成を吸収合併するーー2023年10月にリリースされた衝撃の発表から1年半、4月1日にそれはついに現実のものとなった。新京成は会社として消滅し、78年の歴史に幕を閉じた。また、京成としては鉄道事業の営業キロが178.8kmとなり、南海電鉄(154.8km)と西武鉄道(176.6km)を抜いて第5位の大手私鉄となった。
新京成線は京成松戸線に改称。同日より京成の路線として改めて営業を開始した。京成松戸線への移行に際しては、至るところで「京成化」が実施されている。駅では、案内サインや駅名標を京成仕様に変更。車両についても京成カラーへの塗装変更が行われることとなり、赤と青の帯を巻いたもと新京成車が登場するたびに界隈を賑やかしているところである。
一方、車両の仕様や検査体制、列車番号の付け方などは新京成時代のままとなっており、「京成化」の進行は今のところ言わば表面的なところで留まっている。真の意味での「京成化」はこれからといったところ。長い時間をかけて進んでいくと思うが、その中でどういった変化が起きていくか楽しみなところだ。
- 京成電鉄 松戸線が開業
- 京成8800形 赤と青の京成カラーに塗装変更
- 京成80000形 赤と青の京成カラーに塗装変更
- 京成N800形 赤と青の京成カラーに塗装変更
- 京成松戸線 新京成線からのビフォー・アフター 車両編
- 京成松戸線 新京成線からのビフォー・アフター 駅施設編
京成電鉄、押上〜成田空港を運行する新型有料特急の導入を公表(5月)
スカイライナーがダイヤ改正を行うごとに増発されるなど、成田空港輸送で絶好調の京成電鉄。そんな京成は、5月末に押上〜成田空港を運行する新型有料特急の導入を明らかにした。運行開始の予定は2028年度。現在、同社が成田空港輸送として提供している京成上野発着のスカイライナーと都営浅草線に直通するアクセス特急、京成本線経由一般列車に、新たな選択肢が加わる格好だ。
既に車両の設計に着手しているとのことで、イメージも公表されている。前面の貫通扉が印象的な新型有料特急用車両は、スカイライナーで使用しているAE形とは全く別のもの。有価証券報告書などにより56両の導入を予定していることが明らかになっている。
京成電鉄 新型有料特急イメージ
一方、現時点で判明していることは押上〜成田空港を運行するという点だけである。その中で気になるのは、やはり、押上から先、都営浅草線や京急線に直通するのかどうかということであろう。列車が押上で折り返すのとその先まで運行するのとでは、利便性が大きく異なることは明らか。はたしてどういった列車になるのか、順次公表される詳細が楽しみだ。
京急1000形1421編成、L/C座席に改造(9月)
京急1000形 1421編成
2025.11.13/京急蒲田
2017年度より車体更新工事が進められている1000形。その中で、今年度の更新対象となっていた1421編成が座席をL/C座席化して出場した。ロングシートとクロスシートの切り替えが可能なL/C座席は2020年度に登場した1890番台で採用されているが、既存の車両に対して改造での設置は初めてとなる。
なぜ1421編成がL/C座席に改造されたのか、はよくわからないところ。更新出場のタイミング的にダイヤ改正で何かがあるのかもしれないという予想も飛び交っていたが、結局は何も起きずに現在に至っている。日中時間帯は急行中心に使用される1890番台に対し、1421編成は普通列車にも充当されている。変な座席の電車が走っている、そんな評判がローカル駅の利用者に広まりつつある。
京成3500形、くぬぎ山車庫に入線(10月)
10月24日の終電後、京成3500形が松戸線くぬぎ山車庫に入線した。入線の目的は、同車庫で開催された車両基地公開イベント「京成電鉄くぬぎ山車庫サンクスフェスタ」への展示である。前述のように春には松戸線の車両が宗吾車両基地に入線していたが、今度は逆に京成本線の車両が松戸線に出張した格好だ。
京成3500形の松戸線入線は、新京成時代より実績がなく、今回が初めてのこととなっている。3500形は登場してから半世紀が経過しているが、デビューより50年を過ぎて新たな地に足を踏み入れることになるとは、何が起きるかわからないものである。
京急と京成、共同検討合意書を締結(10月)
秋も深まってきた10月末、興味深いニュースが飛び込んできた。京急と京成は、共同検討に関する合意書を締結、鉄道の運行や両社沿線への相互送客施策、株主優待の相互協力の3点について、共同検討を図っていくという。
やはり気になるのは、鉄道の運行に関する項目だ。次世代運行システムの導入に向けた地上設備や車両の共通化や、京急が新たな輸送サービスの検討を行うにあたり、京成の新型特急車両との共通化が盛り込まれている。京成の新型特急車両というのは、言わずもがな前述の押上線有料特急のことだが、京急が共通の車両を導入するとなれば、押上線有料特急が押上を越えて京急線方面まで運行される可能性が出てきたことになる。
なかなか壮大な話のように思えるが、最初に行う施策が両沿線の寺社御朱印めぐりスタンプラリーというのが、寺社参拝輸送をルーツに持つ両社らしくて面白いところである。
12月13日ダイヤ改正(12月)
京成AE形 AE3編成
2024.4.19/印西牧の原〜印旛日本医大
12月13日、四直全線でダイヤ改正が実施された。今回はどちらかというと京成側がメインとなる改正だったが、事前に発表されたプレスリリースの内容の薄さからは想像し得ない、日中時間帯の運行系統の変更が盛り込まれた大きなダイヤ改正になった。
内容的には慢性的な遅延が発生していたスカイライナーと北総線列車の改善を意図したものと考えられるが、この結果、京成本線の列車を巻き込んだ大幅な変更が発生。行先変更はもとより、所要時間が増えたり、列車間隔が不均等になったり、青砥または京成高砂での列車の接続が悪化するなど、利用者としてはなんとも言えない内容となっている。
何か1つのことを直そうとすると全体のバランスが崩れるのは、よくあることではある。一方、「日中時間帯」の「京成側だけ」を何とかしようとしたからこうなった節もあるため、これを改善しようとするなら、もはや白紙ダイヤ改正しかないだろうか。
京成80000形、千葉線への乗入れを開始(12月)
12月21日、京成80000形が千葉線への直通運転を開始した。新京成時代の2019年度より導入された80000形は当初より京成線への乗入れに対応した仕様で製造されたが、2023年4月の京成線での新型列車無線移行後も依然として線内のみで運用されていた。登場から6年を経て、ようやくあるべき姿が見られるようになった。
このタイミングでの直通解禁は、前述のダイヤ改正が影響しているものと思われる。同改正では、平日において松戸線〜千葉線の直通列車の増発を実施。これにより、松戸線車両の千葉線乗入れ運用は8本から10本に増加することとなった。一方、非乗入れの線内終日運用は4本に減ったため、乗入れ非対応のままでは稼働率の低下は避けられない。言わば、「宝の持ち腐れ」を回避したわけである。
※80000形の千葉線乗入れについて:12月30日、乗入れ運用に入っていた80000形3編成がいずれも運用途中で車両交換されるという事態が生じ、なんとも不穏な空気が漂っているようです。
◆ ◆ ◆
以上、2025年を振り返ってみた。今年は特に京成側で大きな動きが見られた1年となった。新型車両のデビューはともかく、会社が合併して路線名から何から何まで変わるなんてことを、今後我々は体験できるだろうか。
さらに、成田空港の機能強化に関連する新たな有料特急の導入や、京急でも新たな輸送サービスとして京成と共通の特急車両の導入検討が明らかになるなど、将来に向けた動きもちらほらと出てきている。はたしてこれらはどういった形で実現するのだろうか、楽しみは尽きない。
2026年もいい年になりますよう。
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