2019.04.07
東京都交通局、京成電鉄(芝山鉄道)、京急電鉄、北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)の様々な車両が入り乱れ、百花繚乱の直通運転を行っている"四直"。その中でも、唯一無二の形態を持つ車両たちが我々をさらに楽しませてくれている。そんな「四直の異端車たち」を適当に紹介していこう。
2002年度にデビューした京急新1000形は現在に至るまで増備が続けられ、いまや京急を代表する通勤型車両となっている。最初に登場したのは車体がアルミ製の8両編成だったが、4両編成の1400番台や6両編成の1300番台・1600番台、先頭車どうしを貫通幌付きで連結できるようにした1800番台が登場。また、2006年度末に登場した6次車から車体をステンレス製にして床下機器を一新するなど、もはやこれら全部が同一形式と言っていいのかわからなくなるくらいバリエーションに富んだ形式となっている。
そんな新1000形の中で、異端車となっているのが1367編成である。2015年度に15次車として製造された1367編成は、見た目こそフツーのステンレス製6両編成であるものの、東芝製の4in1VVVFインバーターと全閉型永久磁石同期電動機(PMSM)を採用1)し、他の1300番台とは一線を画す車両となった。当時、PMSMは京王8000系や東武30000系、西武6000系でも機器更新によって搭載車両がお目見えしており、関東大手私鉄でにわかに流行りを見せていたものが京急にも登場したのだった。
PMSM搭載車の特徴は、やはりその走行音に現れよう。東芝製VVVFインバーターとPMSMが奏でる独特なサウンドは、聴いただけでそれと分かるもの。そして、何たる静粛性。京急のことを路地裏の暴走族超特急とはよく言ったものだが、静かに駆け抜けるその様はまさに新時代の京急・・・!
京急新1000形デハ1371 神奈川新町→仲木戸
京急新1000形デハ1371 井土ヶ谷→弘明寺
・・・かと思ったら、PMSMを搭載した新1000形は後には続かなかった。翌2016年度には車体にフルラッピングを施したマイナーチェンジ仕様の16次車が登場するが、8両編成が制御装置にフルSiCを適用したVVVFインバーターを新しく採用したのに対し、6両編成は番号こそ1600番台に移行したものの床下機器はほとんど従来のままとなった。1600番台は800形を置換えるべく猛烈な勢いで増備が進められているが、いずれの編成でも走行時で聴こえてくるのは東洋電機製VVVFインバーターの凡庸な音である。また、新1000形では更新によってVVVFインバーターの換装が進み、一部の編成では東芝製のものが採用されているが、主電動機はPMSMではなく通常の誘導電動機になっている。
結果的に京急におけるPMSMはいまのところこの1367編成のみとなり、新1000形の中で唯一無二の形態となっている。京急線を利用する際に運良くこの編成に乗れたならば、ぜひその音に注目してみてほしい。
- 1)京浜急行電鉄新造車向け電気品納入について - 東芝の2015年12月9日付プレスリリース
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