2019.10.16
京成電鉄では、10月26日にダイヤ改正を行う。今回のダイヤ改正について、京成電鉄や直通各社局のプレスリリース、16日発売の京成時刻表Vol.29などを参照しながら、その内容を見てみよう。
本稿では、2018年12月8日現在のダイヤを「現行ダイヤ」、2019年10月26日に改正されるダイヤを「新ダイヤ」などと記している。
1.スカイライナーの大増発(終日20分運転化)
かねてから明らかにされていたとおり、スカイライナーを大幅増発し、終日にわたり20分間隔で運転を行う。新ダイヤにおけるスカイライナーの運行本数は上り・下りとも41本となり、現行ダイヤの上り30本・下り29本に対して1.4倍の増となる。
増発は現行ダイヤで40分間隔の運転となっている日中時間帯のほか、早朝と夜間にも行われる。早朝においては上野5時40発の列車(平日5AE15レ・土休日5AE01レ)を新設し、これが新たなスカイライナー1号となる。夜間はイブニングライナーの運転により手薄になっていた18時〜20時台を中心に3往復分を増発。さらに、上り最終列車の時刻を50分繰り下げる格好で成田空港23時20分発の列車(23AE00レ)を新設し、10月末から実施される成田空港の運用時間延長に対応する。
スカイライナーを増発するにあたっては、以前の記事でお伝えしたとおりAE形AE9編成が新造されている。これにより、AE形の運用は1本の増となり、新たにAE15運行が設定される。ダイヤ改正以降、AE形は運用数8本、予備1本の体制となる。
2.イブニングライナーの行先変更
前述の通り20時台まで下りのスカイライナーが運転されるようになることから、一部のイブニングライナーの行先が成田空港から成田に変更される。現行ダイヤの成田空港行イブニングライナーは空港利用と通勤利用が混乗する格好になっているが、スカイライナーを増発してイブニングライナーを成田行とすることで、利用者の分離が図られる。
このほか、モーニングライナーとイブニングライナーの号数が現行の70番台から200番台に変更される。スカイライナーの本数が増え、スカイライナーだけで82号まで到達してしまうための措置と考えられる。
3.京成本線特急・快速の運行パターン変更(快速特急成田行の設定・快速の成田空港延長)
スカイライナーの大増発が先行して発表されていた今回のダイヤ改正だが、京成本線にも大きな変化が訪れるようだ。日中時間帯に成田空港を発着する京成本線特急について約半数の列車の種別と行先が変更され、快速特急成田行として走るようになる。合わせて、西馬込〜佐倉で運転している快速も一部の列車が成田空港発着に変更される。現行ダイヤでは、成田空港発着の特急と佐倉発着の快速がそれぞれ20分間隔で運転されているが、新ダイヤでは成田空港発着の特急と成田発着の快速特急、佐倉発着の快速と成田空港発着の快速がそれぞれ20分おきに交互に運転され、40分サイクルのパターンとなる。
日中時間帯の京成本線に快速特急が走るのは初めてとなる一方、特急成田空港行は40分に1本となる。京成本線の特急が20分間隔で成田空港を発着するようになったのは現在の成田空港駅が開業した1991年3月ダイヤ改正でのことなので、今回のダイヤ改正では実に28年半ぶりにそのパターンが変更されることになった。
快速特急成田行となるのは、上野を10時12分〜15時34分(土休日は10時14分〜16時13分)に発車する列車で、平日9本・土休日10本。これらの折返し列車も快速特急上野行となる。佐倉行から成田空港行に延長される都営浅草線直通の快速は、佐倉で快速特急成田行と接続する列車が対象となり、こちらも平日9本・土休日10本。特急成田空港行は半減するが、新たに設定される快速特急成田行が佐倉で快速成田空港行に接続するので、20分に1回の成田空港アクセスは維持される仕組み。佐倉〜成田間は40分に1本の増発となり、成田への速達性・利便性が向上する。
他方、京成本線特急は時間はかかるが成田空港にお安く移動できる手段として認知されている。特に同じく20分間隔で走る都営新宿線の急行との相性はよく、京成沿線はもとより都心方面からの利用も少なくないはずである。佐倉で乗り換えればこれまでどおりの移動ができるとは言え、時刻表上で特急成田空港行が20分間隔から40分間隔に半減するというインパクトは大きいように思われる。このような変更を行うことについて、プレスリリースでは特にその理由は触れられていないが、やはり京成としては増発したんだからなるべくスカイライナーを使ってね♡ということなのだろうか・・・。
都営浅草線直通の快速が成田空港まで走るということで、日中時間帯に都営車や京急車の成田空港行もお目見えしている。京急車は新たに京成本線を走るようになる平日83H運行にて、1383Hレが快速成田空港行として走る。京急車の快速成田空港行は13年ぶりの復活。
このほか、平日18時台の上り特急2本(現行1858Kレ西馬込行、18A18レ上野行)も快速特急に格上げされ、この2本の列車と佐倉で接続する快速が佐倉始発から成田始発に運転区間が延長される。佐倉始発から成田始発に変更される快速は、もとよりこの区間を回送として走っていた列車を営業化するもので、これにより成田→佐倉で2本の増発となる。
4.成田空港からの深夜時間帯列車の新設
成田空港24時7分(土休日24時10分)発普通宗吾参道行を新設する。10月末からの成田空港の運用時間延長に伴う空港従業員の通勤手段の確保のため。現行ダイヤで成田に23時52分に到着する快速(土休日は同55分の普通)を成田空港まで延長し、その折返し列車として走る。
5.アクセス特急関連
プレスリリースでは触れられていない内容だが、ダイヤ改正を告知するポスターでは改正内容のひとつとして、土休日ダイヤにおいて押上方面のアクセス特急が拡充されることが記載されている。これは単純に、現行ダイヤにおいて上野発着となっている夕方以降のアクセス特急を、都営浅草線方面に振るということのよう。ダイヤ改正以降、土休日における上野行のアクセス特急は成田空港22時4分発の列車(2006Kレ)のみとなり、そのほかは羽田空港行あるいは西馬込行となる。
上野5時40分発のスカイライナーが新設されることから、2016年11月ダイヤ修正より定期列車として走っている早朝のアクセス特急(上野5時18分発、現行501Kレ)の運転区間が変更される。平日は高砂始発に区間短縮、土休日は押上始発になる。高砂始発のアクセス特急が設定されるのは成田スカイアクセス線開業以来初めて。
珍列車としては、平日に京成車のアクセス特急京急久里浜行(1608Kレ、押上から特急)が登場する。現行ダイヤにて京急車で運転している1682Hレアクセス特急三崎口行の運用持ち替え、運転区間を変更したものとして設定。京成車の京急久里浜行が走るのは史上初めてのことで、これに合わせて「京急久里浜」の行先表示が3050形と3100形に順次追加されている模様である。代わりに、昨年のダイヤ修正で登場し、23年半ぶりの復活ということで大きな話題となった1706Kレ三崎口行は消滅。京成車の三崎口行と京急久里浜〜三崎口間への入線は、設定からわずか1年で再び見納めとなる。
6.京成本線そのほか
日中時間帯に新たに設定される快速特急成田行は、高砂でアクセス特急成田空港行に接続する。高砂でのアクセス特急と京成本線特急の相互接続は2018年11月ダイヤ修正で解消されていたが、1年ぶりに復活することとなった。とすると、1年前のアクセス特急と京成本線特急の接続解消は、経由違いの成田空港行がホームの両側に並ぶのを避ける意図があったということ・・・?
平日早朝に1本だけ設定されている快速東成田行(現行6A17レ)が芝山千代田行に区間延長され、消滅する。同列車は2004年10月ダイヤ改正で登場したもので、15年で幕を閉じることになった。
土休日ダイヤに設定されている下り臨時シティライナーの時刻が5分程度変更されている模様。不定期列車のため時刻表への記載はないが、周辺のカラ待避を行う列車から察するに、新たな時刻は上野9時7分発→成田10時5分着といったところだろうか(現行ダイヤでは上野9時2分発→成田10時ちょうど着)。
平日81H運行の京成本線乗入れが終了する。その代わり、前述のとおり83H運行が京成本線を走るようになる(余談ながら83H運行は午前中に成田スカイアクセス線を下り、午後から京成本線を走るという面白い動きをする運用である)。土休日79H運行は無事に残存。
7.北総線関連
北総鉄道では、ダイヤ修正を行う。スカイライナーの増発に伴う普通列車の時刻変更等が主な内容になっている。
新鎌ヶ谷19時28分始発普通印西牧の原行が新設される。新鎌ヶ谷始発という珍妙な列車だが、これは従来新鎌ヶ谷を19時17分に発車していたアクセス特急成田空港行を同26分発に変更したことへの対応で、アクセス特急の接続列車を走らせるという意図。新鎌ヶ谷始発で下り方面に走る営業列車は9年ぶりの設定1)となる。なお、時刻表にはこれに対応する上り新鎌ヶ谷行は見当たらないことから、回送列車での送り込みとなる模様である。
◆ ◆ ◆
以上、10月26日のダイヤ改正をざっくりと概観した。成田スカイアクセス線、特にスカイライナーの新時代が幕を開けるとともに、京成本線にも大きな変化が訪れるという盛りだくさんな内容となった。また、3100形のデビューや3050形の今後など、車両についての動向も注目される。そして、やはり珍列車と呼べるような列車も現れているので、それは別途紹介していくことにしよう。
- 1)ただし、列車としては矢切始発であった(新鎌ヶ谷まで回送)。純粋な新鎌ヶ谷始発の列車としては13年ぶりとなる。
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