2021.07.02
6月30日、京成電鉄はバリアフリー法に基づく2021年度の移動等円滑化取組計画書1)を公表した。その中で、3100形の今後の導入計画が明らかになっている。どういった内容なのか見てみよう。
3100形を2024年度までに5編成新造
京成が6月30日に公表した2021年度の移動等円滑化取組計画書によれば、車両のバリアフリー化として2024年度までに3100形を5編成導入するとのことである。その内訳は、2021年度に2編成、2022年度に1編成、2024年度に2編成となっている。
2021年度(今年度)に導入予定の3100形2編成は、既に有価証券報告書など2)で明らかになっていた16両分であり、成田スカイアクセス線仕様の3155編成・3156編成になるものと思われる。翌2022年度の1編成分も、同じく成田スカイアクセス線仕様の3157編成となるはず。3157編成が導入された時点でオレンジ色の3050形の京成本線転用が完了し、アクセス特急用の車両は3100形に統一される。
そして、気になるのが2024年度の2編成だ。3100形は登場時の報道公開において(少なくとも)7編成の導入が明らかにされていたので、8編成目と9編成目にあたる2024年度の2編成は今回が初出の情報となる。前述のように2022年度にはアクセス特急用の7編成が出揃うので、ダイヤ改正でアクセス特急の増発予定でもあれば別だが、そうでなければ2024年度の2編成は京成本線仕様での導入となる可能性が高い。この2編成が6両編成なのか8両編成なのかは定かではないが、いよいよ赤と青の京成カラーの3100形がお目見えする・・・!?
置き換えとなる車両は
他方、置き換えとなる車両を予想してみよう。やはり危ないのは現在進行形で廃車が進められている3400形と3600形だろうか。VVVFインバーター制御で4両編成の3668編成は別にして、3418〜3448編成と3688編成は廃車候補の筆頭である。
2021年度と2022年度に導入される3100形は8両編成3本であることから、順当に行けば3400形3本が置換えられるものと思われる。で、その次の新車は2024年度だから3400形1本と3688編成は少しだけ安泰・・・と安心してはいけない。京成では2022年度末までの予定で列車無線の更新を実施しており、その関係から2018年度より3編成分(うち1編成は北総リース分)を無線更新工事用の予備車として運用してきた。すなわち、列車無線の更新が完了すればこの3編成分の余剰が発生する。したがって、前述の3100形導入分の3編成と合わせて2022年度までに最大で6編成を廃車とすることが可能であり、3400形と3688編成の全廃が見えてくる。
2023年度までに3400形と3688編成がいなくなっていた場合、2024年度の3100形で置き換えられるのは3500形のほかになくなる。そうであるなら、2024年度に登場する京成カラーの3100形は6両編成となるだろうか?
不安要素
不安要素は、やはり新型コロナウイルス感染症の影響があろう。同感染症の感染拡大による人々の生活様式の変化は、交通事業者に大きな打撃を与えている。京成においても2020年度の輸送人員は前年度比で約3割の減、2021年3月期の純損益も302億円の赤字3)を計上した。
例年、5月中に発表される鉄道事業設備投資計画が未だに発表されていないなど、影響が出ているのは明らかである。交通事業者の中には新型コロナウイルス感染症の影響で移動等円滑化取組計画書に記載した計画を遂行できなかった事例4)もあるので、計画書に記載されたからといってその通りになる保証はない。
あとは、昨年6月に発生した青砥駅構内列車脱線事故の当該である北総7800形7818編成(京成3700形3748編成のリース車両)の処遇も気になるところ。同編成は事故以降、印旛車両基地で休車の状態が続いているが、最悪のケースとして復帰を断念し、編成丸ごと廃車となる可能性も否定できない。そうなった場合、車両の計画全体に与える影響は必至であり、代わりに生き延びる編成が現れるということもありうる。
- 1)移動等円滑化取組計画書[PDF] - 京成電鉄(2021年6月30日公表)
- 2)有価証券報告書 - 第177期(2019年4月1日〜2020年3月31日)
- 3)京成電鉄、過去最大の赤字 21年3月期、コロナ響く - 日本経済新聞(2021年4月30日掲載)(※有料記事)
- 4)例えば、京成グループのちばグリーンバスは2020年度に3台のノンステップバスを導入予定であったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う業績悪化で導入を見送った。
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