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京成線 2025年12月13日ダイヤ改正

2025.12.06

京成電鉄では、12月13日にダイヤ改正を行う。今回のダイヤ改正について、プレスリリース1)や5日発売の京成時刻表Vol.34などで明らかになっている情報を基に、その内容を見てみよう。

本稿では、2024年11月23日現在のダイヤを「現行ダイヤ」、2025年12月13日に改正されるダイヤを「新ダイヤ」などと記している。

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京成AE形 AE3編成
2021.11.5/白井〜小室

▲好調のスカイライナーは、今回のダイヤ改正でも増発を実施。上り列車については、朝9時台から23時まで20分間隔での運転が実現される
1.上りスカイライナーを1本増発

ダイヤ改正のたびに増発となる好調のスカイライナーだが、今回のダイヤ改正においても上り列車1本の増発を行う。増発されるのは成田空港20時40分発京成上野行。合わせて同30分発の列車を20分発に変更する。今回の増発により、スカイライナーの上り列車は朝9時台から23時まで20分間隔での運転となる。

2.日中時間帯、青砥・新鎌ヶ谷に停車するスカイライナーを速達化

京成上野〜成田空港で運行しているスカイライナーのうち、青砥・新鎌ヶ谷停車タイプの列車の速達化を行う。現行ダイヤにおいて、青砥と新鎌ヶ谷に停車するスカイライナーは成田スカイアクセス線単線区間の根古屋信号所で列車交換を行っているが、これを空港第2ビルで行き違うように変更。2分程度の速達化が図られている。

3.日中時間帯、京成本線の運行系統を変更

日中時間帯に運行している京成上野〜京成佐倉の快速を京成臼井発着に、京成上野〜京成臼井の普通を京成佐倉発着にそれぞれ変更する。また、都営浅草線直通の西馬込〜成田空港の快速を京急線羽田空港発着に変更する。ダイヤ改正前後の運行系統は以下の通り。

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京成本線 運行パターン

▲現行ダイヤと新ダイヤにおける京成本線の日中時間帯40分サイクルの運行パターンのイメージ図(筆者作成)
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京成3000形 3037編成
2025.4.20/堀切菖蒲園〜お花茶屋

▲日中時間帯に運行系統の一部が変更される京成本線。京成上野〜京成佐倉を走る快速は京成臼井発着に短縮され、快速京成臼井行が見られるようになる

プレスリリースでは具体的な言及がなかったものの、運行系統の変更を伴う大きな内容となっている。特に、京成臼井行の快速が設定されるのは初めてのこと。また、京成臼井で折り返す8両編成も初の設定である(ダイヤ乱れなどでは実績あり)。都営浅草線直通の快速についても、成田スカイアクセス線開業に伴う2010年7月ダイヤ改正以降、京成本線からの列車は主に西馬込発着となっていたため、約15年ぶりに日中時間帯に羽田空港発着列車が走る格好となる。

4.日中時間帯、アクセス特急が鈍足化

前述の京成本線および北総線列車(後述)で運行系統が変更されるのに伴い、日中時間帯のアクセス特急の走り方も変わる。まず、成田スカイアクセス線単線区間の根古屋信号所での列車交換が復活。羽田空港〜成田空港を約95分で走る現行ダイヤに対し、新ダイヤでは約110分かかるようになる。また、成田スカイアクセス線と京成本線でパターンダイヤがズレが生じたため、青砥または京成高砂における京成本線快速特急との相互接続は解消。さらに、押上での緩急接続も行わなくなる。

所要時間の増加に伴い、所要運用数も1本増えて6本体制となる。現行ダイヤのようなアクセス特急の根古屋信号所をスルーする運転は2012年10月ダイヤ改正で確立したものだが、残念ながらそれ以前の運行形態に戻ってしまうようである。

5.日中時間帯、押上線列車の種別変更

日中時間帯、青砥・京成高砂から京急線三崎口・京急久里浜を発着する列車のうち、押上線内で特急として運転している列車は普通に格下げ。また、基本的に青砥発着となる。羽田空港〜青砥を走る列車は運転区間を京成高砂に延長した上、押上線内快速特急に変更される。

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都営浅草線〜京成押上線 運行パターン

▲現行ダイヤと新ダイヤにおける都営浅草線〜京成押上線の日中時間帯40分サイクルの運行パターンのイメージ図(筆者作成、西馬込〜泉岳寺の区間列車は省略)

平日において朝から日中への移行時間帯に、北総車が片道だけ羽田空港〜京成高砂の運行系統に入る(羽田空港発快特→快速特急京成高砂行)。京成線で史上初めて北総車の快速特急が走るようになる。

6.平日、松戸線〜千葉線直通列車を増発

松戸線〜千葉線の直通列車について、平日に増発を行う。新たに直通列車となるのは、松戸7時58分発と8時21分発、16時00分発、同20分発、千葉中央9時29分発、同39分発、17時18分発、同41分発の4往復分。松戸線〜千葉線の直通列車が平日に増発されるのは、2006年12月の新京成線〜千葉線直通運転開始以来初めてのこととなる。

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京成8800形 8811編成
2025.11.17/三咲〜滝不動

▲京成となってから初めてダイヤ改正を迎える松戸線では、平日に千葉線直通列車の増発を行う

直通列車の増発に伴い、平日では松戸線車両(もと新京成車)の千葉線乗入れ運用は2本増の10本となる。逆に非乗入れの終日運用は4本となる(現行6本)ため、現時点で千葉線に乗入れができない80000形と8900形は何もなければ出番が減ることになりそう。

6月に京成の新社長となった天野氏は千葉日報のインタビュー2)にて、京成が新京成を吸収合併したことについて「『京成になって良かった』と実感してもらえるように沿線価値を高めていく」としていた。新京成線が京成松戸線になって初めて迎えたダイヤ改正で、直通列車の増発としてひとつ実行に移された格好である。

なお、松戸線の列車について、列車番号の付け方に変更はない模様。新京成時代からの方式を踏襲している。

7.京成本線そのほか
  • 日中時間帯のパターンダイヤは、現行ダイヤを基準にして下り方向は全体的に約10分繰り上がり、上り方向は約10分繰り下がっている。京成佐倉発着の快速と京成臼井発着の普通の行先交換は、ここらへんのことが影響しているものと考えられる。一方で朝ラッシュ時間帯と夕方〜夜間は現行ダイヤをほぼ踏襲する格好となるため、朝から日中に移行する時間帯に西馬込発快速特急成田空港行や、成田空港発特急羽田空港行など、これまでにこの時間帯に見られなかった変わり種列車が登場している。
  • 平日昼過ぎに、京成臼井→京成上野→京成佐倉を快速として走る6両編成が設定されている。このほか6両編成の快速は、17〜18時台にも京成高砂〜京成上野を1往復する運用が登場するなど、全体的に増加基調。
  • 土休日18〜19時台、羽田空港から京成本線に直通する快速特急と京成上野発京成本線快速が青砥または京成高砂で接続する新たなパターンが登場。これらの列車は数分差で京成高砂を発車するため、この時間帯の京成本線下り優等列車に運転間隔の不均等が生じている。
  • 京急車の京成本線乗入れは、日中時間帯の運行系統の変更に伴い一新。新ダイヤでは、平日は75H運行と79H運行が、土休日は21H運行と75H運行が京成本線を走る。いずれも京成本線から羽田空港を発着する列車として走った後、夕方〜夜に京急線方面に帰っていく。
8.北総線関連

北総線においてもダイヤ改正を行う3)。日中時間帯、羽田空港を発着していた北総線列車は全て西馬込発着に変更される。前述の、京成本線〜都営浅草線直通の快速と行先をトレードする格好。北総線の列車は、1991年3月の京成高砂〜新鎌ヶ谷開業に伴う都心方面直通開始より一貫して京急線直通を基本としていたが、今回のダイヤ改正でそのことが崩されることとなった。

都心直通列車については、平日において1往復分の増となっている。印旛日本医大9時16分発矢切行を羽田空港行に変更するほか、新鎌ヶ谷10時7分発印旛日本医大行区間列車が都心方面からの直通列車となる。

土休日において新鎌ヶ谷〜印西牧の原で1往復分の増発を行う。増発となるのは印旛日本医大19時21分発新鎌ヶ谷行と、その折り返しとなる新鎌ヶ谷同55分発印西牧の原行。印旛日本医大19時9分着で折返し印西牧の原まで回送入庫していた運用を北総車に変更した上で延長したものとなっている。

◆ ◆ ◆

以上、12月13日のダイヤ改正を概観した。日中時間帯のみながら運行パターンが変更されるなど、プレスリリースの内容の薄さからは想像できないよう大きなダイヤ改正となった。とにかく変更点が多いので、大きな内容をかいつまんで記載している点にはご容赦いただきたい。より細かいところについては、各々が時刻表を読み解いていただければ幸いである。

それにしても、何か目的があるにせよ、結果的にツギハギだらけの汚いダイヤに仕上がってしまったという印象は否めない。現行ダイヤにおける日中時間帯の運行パターンは2012年10月のダイヤがベースとなっているが、都営浅草線内におけるホームドア設置に伴う運転時分の増加や途中駅停車タイプのスカイライナーの設定などがありながらもなんとか保てていたバランスが、ここにきてついに耐えきれなくなって崩壊してしまった感じである。そして、こうしたさまざまな変更を「一部の列車において発着時刻や運転区間、種別等を変更する」の一文だけで済ませてしまう京成の広報の姿勢に疑問を感じつつも、今回のダイヤ改正においてもやはり珍列車と呼べるような列車が出現しているので、それらは別途紹介していくことにしよう。

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