2018.11.11
2018年2月より使用している日暮里駅のホームドア。京成線としては初めてとなるホームドアだが、先日同駅を利用した際にその動作状況を少しばかり見てきたので、レポートしよう。
昨今、特に利用者の多い駅で広がりを見せているホームドア。国土交通省では、旅客の相次ぐホームからの転落事故を受けて10万人以上の利用者数のある駅についてホームドアを原則2020年までに設置することを数値目標として示しており、ホームドアの普及はこの流れに沿ったものである。
そんな中、いよいよ京成にもホームドアがやってきた。2018年2月24日より日暮里駅の下りホームにて使用開始されたホームドアが、京成線における初めてのホームドアとなっている。日暮里駅はそもそも10万人前後の利用があること、扉の位置が一般の通勤型車両とスカイライナーなどに使用されるAE形とで異なる京成において、一般列車とライナー列車で乗車ホームを分けており、ホームドア設置に対する障壁が比較的少なかったことが、日暮里駅をホームドア第1号にさせたものと思われる。
ホームドアの動作は車両との連動でドアが開閉する事例が多いが、京成では車両に対する改修等の負担を避け、乗務員(車掌)が車両のドアとは別にホームドアの開閉を操作する方式1)を採用。また、ホームドア設置に伴い列車の停止位置がよりシビアなものとなるが、これについてもTASC2)などの運転支援機器に頼らずに乗務員(運転士)が気合で合わせることとした。この停止位置の厳格化とホームドア操作に必要な時間の確保のため、2017年10月ダイヤ改正において上野線の運転時分が見直され、上野→青砥の所要時間が1分近く延びたのは以前の記事でお伝えしたとおりである。
このほか、ホームドア設置に伴い日暮里駅周辺における信号機の建植位置が新設を含めて変更されており、あらゆる部門を巻き込んで大がかりなものとなっている。社会的な要請からホームドアの設置は急務となっているものの、実際にやるとなるとこれはなかなか大変だったのでは・・・と思う。なお、ホームドア本体の設置については、このタイプのホームドアは列車で輸送してそのまま現場で設置できるような設計となっているため、そのための列車が宗吾参道〜上野間で運転されている。ホームドアの設置は1月13日と20日の終電後に実施され、S95運行なる臨時列車が宗吾参道〜上野間で運転された3)。
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さて、前置きが長くなってしまったが、ホームドアの動作状況を見てみよう。前述のようにホームドアの開閉は車掌の操作によっており、列車の到着から発車までにホームドア開→車両のドア開→乗降→車両のドア閉→ホームドア閉という順序で扱いが行なわれる。この記事を公開した時点でホームドアの使用開始から既に9ヶ月、ホームドアの動作状況を観察するために列車を何本か見送ったが、さすがに現場はもう慣れたもので、各列車とも違和感なくスムーズに発着していく様子を見ることができた。
このほか、日暮里駅のホームドアについて興味深いものとして2番線の最後部のホームドアのみを開けるという機能が備わっている模様。2番線側のAE形用ホームドア操作盤にそのようなボタンがあるのを確認することができた。通常、スカイライナーの乗車は1番線からとなるが、スカイライナー利用者が誤って2番線に現れることを想定したものとみられ、そのような者を便宜的にAE形8号車の最後部ドアから乗車させることを図ったものである。もとよりこのタイプのホームドアは各ドアについて個別操作が可能となっているが、スカイライナー利用者が2番線に現れるというよくあるであろう事象に対する取扱いをあらかじめシステム内に組み込んでおり、その点でよく考えられたものになっているという印象である。
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京成では引き続きホームドアを整備するとしており、2018年度中に日暮里駅上りホーム(0番線)4)と空港第2ビル駅において、2020年までに成田空港駅においてホームドアの使用を開始させる予定である。
- 1)同様の事例として、身近なところでは京急線の羽田空港国際線ターミナル駅がある。ただし、都営浅草線大門駅で試験していたようなQRコードを用いた車両とホームドアの連動技術が実用化されれば、将来的に乗務員に対する負担軽減のため日暮里駅のホームドアもこの方式に移行する可能性がある。
- 2)Train Automatic Stop-position Controller。列車定位置停止装置。
- 3)13日は3438編成が、20日は3408編成がそれぞれ充当。
- 4)日暮里駅0番線はもともと固定柵を設置する予定であったが、ホームドアに計画が変更になっている。京成電鉄の11月1日付のプレスリリースにて、12月23日に使用開始予定となることがアナウンスされている。
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