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エトセトラ

2022.03.07

新京成8000形の43年間を振り返る。

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新京成8000形 8510編成
2011.9.13/薬園台〜前原

▲1978年から2021年まで活躍した新京成8000形。その43年間を簡単に振り返ってみよう

2021年11月に引退、形式消滅となった新京成8000形。惜別企画として同形式の43年間にわたる活躍を簡単に振り返ってみたいと思う。

新京成初の完全オリジナル設計車、8000形

8000形が登場したのは1978年11月のこと。沿線の開発が進んで輸送力増強に追われていた新京成では1971年度より800形を導入していたが、800形の設計はその当時において既に古く、時代に見合った仕様を持つ新型車両への機運が高まっていた。こうして1975年度に800形の製造を終了させ、約3年間の準備の下、1978年度に8000形を導入したわけである。

8000形が画期的だったのは、新京成として初めて完全オリジナルで設計されたことだった。新京成はそれまでも250形や550形、800形を自社発注しているが、これらの設計にはいずれも多少なりとも親会社である京成の手が加わっていた。8000形の8000という数字には800形に対して全ての面で優れているという意味が含まれているというが、それはまさに新型車両に込められた当時の新京成の思いを十分に表したものだった。

制御方式は抵抗制御で、発電ブレーキ付。中間車はMM'ユニット方式を採用した電動車、先頭車が8500番台を名乗る制御車となる。ブロック工法で組み立てられた車体も800形より一新され、両開きドアは新京成では初採用。車内は完全無塗装として保守性が向上し、冷房も付いた。こうして書き連ねるとなんだかすごい新車のように思えるが、当時としてはごくありふれた仕様であり、8000形の登場でようやく他社に「追いついた」。

最初に製造された8502編成はマルーンとキャンディピンクのツートンカラーだったが、翌1979年度登場の8504編成はアイボリー+茶帯という新塗装で登場。以降、茶帯はカルダン駆動車の標準塗装になる。1981年度の8506編成からは省エネ意識の高まりを受けて制御方式を回生ブレーキ付の界磁チョッパ制御に変更。8000形の導入は1985年度まで続けられ、全部で9編成が製造された。

8000形の特徴は何と言っても前面のデザインにあろう。非貫通2枚窓の独特のスタイルから、自然発生的に「タヌキ」と呼ばれるようになった。なお、当初は当時上野動物園にやってきたばかりのジャイアントパンダの人気にあやかり、8502編成に「赤パンダ」、8504編成に「青パンダ」なる愛称が付けられていたようだが、結局は定着しなかった。だって、8000形はどう見ても「タヌキ」だもの。

千葉ニュータウンに進出

8000形はその生涯の中で、2度ほど直通運転で他社線に進出している。最初に乗入れた他社線は北総・公団線。北総・公団線は1991年3月の2期線開業まで新鎌ヶ谷1)までしか開通しておらず、北初富〜新鎌ヶ谷に設けられた連絡線を介して新京成線と相互直通運転を実施していた。その中で8000形も北総・公団線を走った。

北総・公団線への直通運転は8000形の中でも8510編成以降の編成に限定されていたが、新京成線に比べて圧倒的に線形がよい千葉ニュータウン区間を走るのはさぞ気持ちよかったろうと思う。私はこの時代の8000形を知らないけれど、千葉ニュータウンを快走する(爆走する?)8000形をぜひとも体験してみたかった。

8502編成「しんちゃん電車」
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新京成8000形 8502編成
2011.11.1/八柱〜常盤平

▲2001年6月に「レトロカラー電車」としてオリジナルのツートンカラーにリバイバルされた8502編成

2001年6月に8502編成が登場時のツートンカラーにリバイバルされ、「レトロカラー電車」として走り出した。いつしかこの編成は公式的に「しんちゃん電車」と呼ばれるようになり、2012年の引退時には「ありがとうしんちゃん電車」のヘッドマークも掲出されている。

京成千葉線への直通運転

そして、8000形の他社線進出第2号となるのが、2006年12月から始まった京成千葉線への直通運転である。直通運転にあたっては急行灯や運行番号表示器、IRアンテナなど京成線内での運転に必要な機器類が設置2)されて少し表情が変わったほか、N800形のデザインに合わせたマルーンのストライプ帯に装いが改められた。8000形にとってはオリジナルのツートンカラー、茶帯に次ぐ第3のカラーリングになった。

京成千葉線への直通運転は京成側の都合で6両編成とされたため、おのずと8000形が千葉線に大量進出することになった。直通運転開始時における新京成車の陣容はN800形1編成、8800形4編成、8000形9編成という具合であり、8両編成の陰に隠れていた8000形が一気に主役に躍り出たのである。

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新京成8000形 8506編成
2006.12.10/幕張本郷〜幕張

▲京成千葉線を走る8000形。写真は当時京成千葉線への直通運転をPRしていた"to Chiba"ラッピングの8506編成で、この編成が千葉中央行の一番列車を務めた

この時点で8000形は既に登場から28年が経ち、新京成の中では古参車両の部類に入っていたが、千葉中央行の一番列車に抜擢されたのが当時最新鋭のN800形でもなく直通運転のために6両編成化された8800形でもなく8000形だったのは、新京成の8000形に対する愛を感じずにはいられなかった。8000形の43年間の中でも、最も輝いた場面だったのではないだろうか。

(つづく)

  • 1)1991年に駅として開業するまで信号所。
  • 2)北総・公団線直通運転時に設置されたIRアンテナは撤去されていたので、改めて全編成で新たに設置された。
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