KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2011.09.30

静岡鉄道では、10月1日にダイヤ改正を行なう。全線における運転時分の見直しと、平日の6〜8時台における急行および通勤急行の設定が主な内容となっている。静鉄のダイヤ改正は2009年2月以来約2年半ぶりとなるが、運転のパターンそのものが大きく変わるものとしては1996年4月の(旧)急行廃止以来で、実に15年ぶりとなっている。本記事ではプレスリリースの内容を元に、このダイヤ改正について、特に平日ダイヤについて考察してみたい。

まずは、プレスリリースより今回のダイヤ改正における改正点を拾ってみよう。以下、2009年2月1日におけるダイヤを「現行ダイヤ」、2011年10月1日におけるダイヤを「改正ダイヤ」などと記すことにする。

  • 平日朝、急行および通勤急行<を運転
    →今改正で最も大きな内容と言えるものである。2種類の急行が新設されているが、急行は新清水行のみ、通勤急行は新静岡行のみとなっており、それぞれ片方向だけの運転となっていることが大きな特徴である。停車駅は、急行が新静岡、県総合運動場、草薙、御門台、狐ヶ崎、桜橋、新清水で、通勤急行が新静岡、日吉町、古庄、草薙、御門台、狐ヶ崎、桜橋、新清水となっている。通過駅が新静岡方に偏っていることから、急行通勤急行が運転されている間、新静岡〜県総合運動場間に区間列車が運転される。運転本数は急行が9本、通勤急行が13本。新静岡〜新清水間の所要時間は16〜17分となっており、現行ダイヤの最速列車よりも全線で約4分の短縮が実現している。静鉄における急行の設定は1996年3月以来、実に15年ぶりとなっている。
  • 平日日中は6〜7分間隔で運転
    →今改正では急行通勤急行が走らない平日の日中にも大きな変更がなされており、現行ダイヤにおいて6分間隔であったものが、改正ダイヤでは6分40秒間隔との運転となっている。これより1時間あたりの列車本数が1本減となっており、10本から9本となっている。
  • 平日夕方は6分間隔で運転
    →16時台後半から19時にかけて6分間隔での運転となっている。現行ダイヤでは5分間隔での運転となっている時間帯で、1時間あたり最大で2本減便となっている。

以下、さらに詳しい考察を行なう。以下で触れる事柄は全て平日ダイヤの内容である。

車両の所要運用数について

改正ダイヤにおける車両の所要運用数は朝が11本、日中が8本、夕方が9本となっており、平日夕方が1本減となったほかは現行ダイヤと変わっていない。昨今、減量ダイヤと称して車両の所要運用数を削減したダイヤ改正を行なう事業者がみられるが、今回の静鉄のダイヤ改正では車両の所要運用数は維持された格好だ。車両の在籍が12編成で、11本使用+1本予備という体制に変更はない。

朝のダイヤについて
Z00006.gif

静岡鉄道2011年10月1日改正 平日6〜8時台のダイヤ

▲6〜8時台のダイヤ

現行ダイヤは普通列車のみの5分間隔運転であったが、改正ダイヤでは急行通勤急行の設定により内容が大きく変わっている。基本的には12分で1サイクルとなっており、この間に急行あるいは通勤急行が1本、全線通しの普通が1本、新静岡〜県総合運動場間の区間普通が1本走るという構成である。このため、新静岡〜県総合運動場間の急行あるいは通勤急行停車駅においては増便となっている駅がある一方で、県総合運動場〜新清水間の各駅は軒並み減便となっている。特に、県総合運動場以東でかつ急行通勤急行の停まらない県立美術館前と入江岡は現行ダイヤの半分以下の本数となってしまう。朝ラッシュ時における車両の所要本数は前述のとおり11本だが、その内訳は全線通しで走るものが8本、新静岡〜県総合運動場間を走る区間普通が3本となっている。また、朝ラッシュ時が終わった後に長沼に入庫する列車3本が全て柚木行となる(現行ダイヤは2本が柚木行、1本が回送)。このほか、6時台に県総合運動場で先発の普通を追い抜く通勤急行が2本設定されているのが特筆されよう。こればかりは15年前に在りし日の(旧)急行を思い出される方も少なくないはずである。

現行ダイヤが普通列車のみ5分間隔での運転という極めて単純で分かりやすいものだっただけに、改正ダイヤにおける評価は利用者によって大きく分かれそうである。大雑把には、比較的長い区間を利用する者にとってはプラスになりそうな事例がある一方、短距離利用者にとっては不利になりそうなダイヤである。

日中のダイヤについて

日中の6分間隔運転という地方私鉄では突出した高頻度運転が特徴となっている静鉄だが、前述のとおり、今改正で列車の運転間隔が6分から6分40秒となっている。列車本数が減っている一方、車両の所要運用数が8本のままとなっているのは、普通列車の新静岡〜新清水間の所要時間が現行ダイヤの20〜21分から22分〜23分になったことと、新静岡および新清水における折返し時分に余裕を持たせたためである。

夕方〜夜間のダイヤについて

現行ダイヤの日中と同じように6分間隔のダイヤとなっているが、車両は日中に使用した8本に加え、16時台に長沼を回送で出庫する1本を加えた9本の使用となっている。現行ダイヤの夕方が10本使用であったため、車両の所要運用数が唯一減っている時間帯でもある。

1日の終わりに長沼に入庫する列車だが、現行ダイヤでは全て新静岡から回送での入庫であったのに対し、改正ダイヤでは新清水方から入庫する列車が設定されており、20時台に3本の新清水始発長沼行が運転される。このほか、22時台に1本が新静岡から回送で長沼に入庫、3本が新静岡に入庫、2本が新清水に入庫となる。

関連記事

静岡鉄道 臨時急行「セノバ号」運転

静岡鉄道では、12月10日より土休日において臨時急行「セノバ号」の運転を行なっている。臨時急行運転日においては車両運用や乗務員の行路が通常の土休日ダイヤとは大きく異なることから、土休日セノバ...

静岡鉄道 臨時急行「セノバ号」運転
静岡鉄道 2011年夏

17ヶ月ぶりの静鉄詣で。久々に静岡鉄道に乗ってきた。静鉄の話題は度々取り上げているが、今回は実に17ヶ月ぶりの訪問。名古屋に出かけるついでの冷やかし程度の訪問のつもりであったが、流石に17ヶ月...

静岡鉄道 2011年夏
静岡鉄道 2010年春 5 - 長沼のヌシ、デワ1

長沼車庫で開催されたリバイバル1007編成の撮影会だが、合わせて同車庫に保存されているデワ1も展示された。5月に開催される「静岡ホビーショー」に合わせての車庫公開や、8月の「静鉄電車まつり」にて...

静岡鉄道 2010年春 5 - 長沼のヌシ、デワ1
静岡鉄道 2010年春 4 - 静鉄1000形 走行音

これまで静岡鉄道に関する記事をいくつか掲載してきたが、写真ばかりだったので今回は走行音を掲載してみよう。静鉄の雰囲気を味わっていただければ幸いである。運転士による気合の入った喚呼にも注目...

静岡鉄道 2010年春 4 - 静鉄1000形 走行音
静岡鉄道 2010年春 3 - リバイバル1007編成@長沼車庫撮影会

前面のカラーフィルムが撤去され、製造当時の姿に戻った静岡鉄道の1007編成。3月20日、その1007編成の入場に合わせて、長沼車庫にて撮影会が実施された。前回の記事にて、急行電車のリバイバル...

静岡鉄道 2010年春 3 - リバイバル1007編成@長沼車庫撮影会

最新記事

最新記事

四直珍列車研究 134 - 平日 1681K

京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...

四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)

空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...

京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える

都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...

都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」

「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...

船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」
北総車の京急線内特急運転が復活

約19年ぶりに復活した北総車の京急線内特急運転を見る。京急線に大きな変化をもたらした2022年11月ダイヤ改正。京急自ら「23年ぶりの大改正」としたこのダイヤ改正では、特に日中時間帯の運行...

北総車の京急線内特急運転が復活