硬券乗車券で新幹線に乗る
2013.05.18
硬券乗車券で新幹線に乗る。SuicaやPASMOなどの便利なIC乗車券が普及し、列車に乗るためにきっぷを買うという機会そのものが減っている昨今、そしてもはやチケットレスで新幹線に乗れるというこの時代に、こともあろうにわざわざ昔ながらの硬券乗車券で新幹線に乗ってみようという企画(?)である。前々からやってみたかったのだが、2月のある日、ついに実行してみたのだ。

岳南鉄道硬券乗車券+新幹線自由席特急券
やり方は簡単である。岳南鉄道1)の吉原駅(吉原本町駅でも可)に行き、窓口で吉原から東京山手線内までのきっぷを買う。吉原から三島までは東海道線の普通列車で移動し、三島で新幹線に乗換える(その際、もちろん新幹線の特急券を買うのを忘れずに!)。これだけで、硬券乗車券で新幹線に乗れてしまう。用意するものは多少のお金と時間だけなので、お手軽旅行のコースとしていかがだろう。
これは単純に、岳南鉄道がJR線内で有効な乗車券を昔ながらの硬券で発売しているためである。岳南鉄道では吉原駅でJR線と連絡しているため、同鉄道にて購入したJR線への連絡乗車券がJR線内で使えるきっぷとなるわけだ。ちなみに、岳南鉄道では東海道線との連絡駅である吉原駅の窓口でもJR線への連絡乗車券を取り扱っているので、JR線内で完結する区間の硬券乗車券が買えるということでもある。これは2013年現在ではかなり珍しい事例の模様。なお、岳南鉄道はJR東海としか連絡運輸を行っていないので、東京までの乗車券は必然的に新幹線経由のきっぷとなる2)が、乗車券の規則として新幹線経由のきっぷでも在来線に乗ることができるため、新幹線を使わずに東海道線で東京まで帰ってくることも可能とのことである。

岳南鉄道 吉原駅
2013.2.25/**
要するに、JR線との連絡運輸(もちろん新幹線区間を含む)を行っていて、かつ今でも硬券できっぷを発行している事業者を利用すれば、硬券乗車券で新幹線に乗ることができるということ。このような鉄道事業者は岳南鉄道のほか、大井川鉄道や北近畿タンゴ鉄道3)あたりが該当するようだ。本稿のように実際に硬券乗車券で新幹線に乗りましたぜ〜、というレポートはネット上にもゴロゴロ転がっているので、ぜひとも参考にしてみよう。
ところで、硬券乗車券では当然ながら自動改札を通過することができないので、改札は有人の通路を通ることになる。三島駅新幹線乗換口の駅員は岳鉄の硬券乗車券を見る機会がしばしばあるようで、流石に慣れた対応であった。東京駅の若い駅員氏がいいリアクションをしてくれたのでニヤリである。今ではほとんど見かけなくなったこのきっぷをプロに見せた時の反応も、また一興と言えよう。
(注)岳南電車では2017年3月のダイヤ改正でJR東海との連絡運輸を縮小したため、東京山手線内までの硬券乗車券は買えなくなってしまった模様です。(2019年3月追記)
- 1)岳南鉄道は2013年4月1日付で鉄道事業を分社化し、現在は岳南電車となっている。
- 2)在来線だと熱海から東がJR東日本となるため。
- 3)北近畿タンゴ鉄道は2015年4月1日より京都丹後鉄道としてWILLER TRAINSによる運行となったが、硬券乗車券は引き続き発売されている模様。
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