2015.11.24
12月5日のダイヤ修正にてついに定期運行が取り止められることとなった特急「シティライナー」。9月のある日に乗る機会があったので、その時の様子などを適当に記してみる。
今回乗車したのはシティライナー84号、午後に運転されている上り列車である。始発の成田から終着の上野まで、全区間まるまる乗ってきた。シティライナーは成田スカイアクセス線の開業に合わせた2010年7月ダイヤ改正で、それまでのスカイライナーの代替となるように新設された特急列車だが、乗るのなんざ初めて。AE100形に乗るのもそのダイヤ改正以前のいつだかに乗ったイブニングライナー以来となるだろうか。いかんせん停車駅が少ないので、沿線の利用者にはあまり縁のない列車である。
シティライナー84号は成田始発にもかかわらず宗吾車両基地のある上り方ではなく、下り方から入線してくる。さも成田空港から運転してきたかのような空気を出しているが、これは東成田からの回送列車。シティライナー84号となるAE100形は、宗吾車両基地を出庫の後、いったん成田を通りすぎて東成田まで回送、折返し成田まで戻ってきてシティライナー84号となる。シティライナー84号が使用する2・3番線が直前まで芝山千代田行の電車で埋まっており、折返し時間が確保できないためである。そのため、成田駅での停車時間はわずか1分。始発駅のはずなのだが、なんとも始発駅という感じのない、せわしない旅の始まりだ。
空席だらけのシティライナー84号
乗車。シティライナー券は車内で買うことに決めていたので、空席を探して適当に車内をぶらついてみる。といっても空席だらけなのだが・・・。乗っているのは1つの車両あたり数名といったところだろうか。もはやシティライナーの代名詞となっている空気輸送だが、まさしくその通りになってしまっている。そして上野方先頭車、8号車に足を踏み入れるとそこは見事に無人! ってことで、8号車に陣取ることにした。この車両に乗っているのは私だけ、1両まるごと貸切である。
発車後、しばらくして車掌氏がやってきた。シティライナー券を買うついでに本日の乗車人数をうかがったところ、「20名くらいですかね」と苦笑しておられた。別の日にこの列車に乗った知人もそれくらいの印象だったということなので、特に何もない日のアベレージはだいたいそんなものなのだろう。AE100形の編成での定員が430名だから、乗車率は5%にも届いていないことになる。何とも寂しい限り・・・。
シティライナー84号の見事な走りっぷり
さて、空気輸送となっているシティライナー84号だが、その走りっぷりは紛れもなく特急列車である。ダイヤとしては、20分毎に運転されている京成本線特急2本の間を走るように設定されており、成田を特急の3分前に発車、上野にその1本前の特急の6分後に到着するようなスジとなっている。すなわち、成田→上野を特急よりも9分早く走るというわけである。
特に列車密度の低い京成津田沼以東でスジが立っており、全区間で全速力運転となっていたかつての京成本線経由のスカイライナーを思い出させるような走りを見せてくれる。佐倉と八千代台を通過する営業列車というのも、今となってはシティライナーだけだ。普段から見ているはずの車窓も、AE100形の座席からは少し違って見えて、逆に新鮮に感じられる。
京成津田沼では先行の快速を追い抜き。いつもは追い抜かれる立場になることの方が多いので、この時ばかりは気分が良い。そして船橋停車。船橋からどれくらい乗ってくるのか気になっていたが、1名だけ乗車口に並んでるのが見えた。上りのシティライナーの場合、たいていは船橋では乗る人数より降りる人数の方が多いので、船橋から先はさらに空気輸送となる。
京成津田沼から西側は線形が悪くなり、列車の本数も増えるので速度がぐっと落ちる。これまで快調に走ってきたシティライナー84号も、とうとう市川真間の付近から先行の各駅停車につかえてのんびり運転となってしまった。これは小岩で追い抜くまでの辛抱である。とはいえ、先行列車に詰まったのはこの区間だけ。他の区間は順調だったので、ダイヤとしてはよくできていると言える。
青砥、日暮里と停車し、シティライナー84号は定刻通り上野に到着。1時間ばかりのシティライナーの旅は終わりを迎えた。折返しの高砂への入庫回送を見送って、私は上野駅を後にした。
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