2014.10.26
京成電鉄では11月8日にダイヤ改正を行う。成田空港及び羽田空港へのアクセス強化が主な内容のダイヤ改正となっているが、京成電鉄と直通各社局のプレスリリース、および11月4日発売の京成時刻表Vol.27(11月8日ダイヤ改正号)などを参照しながら、今回のダイヤ改正における変更点を考察してみよう。
本稿では、2013年10月26日におけるダイヤを「現行ダイヤ」、2014年11月8日におけるダイヤを「新ダイヤ」などと記すことにする。
1.スカイライナーの増発
7時台に上り列車1本(新2号、成田空港7時28分(土休日は同34分)発)、18時台に下り列車1本(新53号、上野18時20分発)を増発する。このうち、新2号は回送列車を営業列車としたものである。この新2号、スジが寝ている回送列車のダイヤを多少いじって営業列車にしたものということだけあって、新4号(旧2号)ともども空港第2ビル〜日暮里間に49分(平日)も要する鈍足なスカイライナーとなっている。
2.イブニングライナーの運転本数と時刻の見直し
18時台に下りスカイライナーが1本増発となったため、イブニングライナーの運転本数が1本減って7本となる。また、18〜20時は30分間隔、20時以降は40分間隔での運転となっていたが、これを見直して18〜20時台は40分間隔、20時以降は60分間隔での運転に変更、あわせて上野23時00分発のイブニングライナーが登場となる。上野23時00発の列車の設定は成田空港からの翌日早朝フライトの利用に対応したものとなっており、成田空港行として運転される。
3.シティライナーの運転見直し
ダイヤ改正が実施されるたびに運転本数の削減が続いてきたシティライナーだが、今改正ではいよいよ平日の運転がなくなり、土休日のみの運転となる。運転時刻にあまり変更はない。なお、土休日に設定されている臨時列車は残存している模様。これにより、シティライナーについてはAE100形1本、あるいはAE形を使用してそれだけでも運行できる体制となるため、現在2本の編成が残るAE100形のさらなる廃車、最悪は全廃ということも考えられようか。
4.日中時間帯、都営浅草線のエアポート快特増発に伴う押上線列車の種別格上げ
都営浅草線で日中時間帯のエアポート快特が40分毎から20分毎となるのに伴い、40分毎の運転となっている羽田空港〜高砂間(京急線内快特、京成線内普通)の運行系統が、京成線内快速特急に格上げされる(同時に主に青砥発着に変更)。これにより、羽田空港〜青砥間を京急線内快特、都営浅草線内エアポート快特、京成線内快速特急で走る新しい運行系統が登場する。日中時間帯の都営浅草線内エアポート快特は、京急線羽田空港駅が開業した1998年11月のダイヤ改正から一貫して40分毎(エアポート特急を含む)での運転とされてきたが、運転開始から16年にして初めて大増発となった。
また、押上線内のみではあるものの、日中時間帯に京成線内で快速特急が運転されるのは2008年の快特新設以来初めてのことになる。さらに、この快速特急は青砥において京成本線特急と接続を行うほか、同時に上りのアクセス特急も青砥で本線特急と接続するようになる(現行ダイヤでは下りアクセス特急のみ接続)ため、本線特急は青砥で必ず快速特急またはアクセス特急と接続するようになり、京成本線から押上および都営浅草線方面への利便性が大幅に向上となる(成田→新橋で最大10分短縮)。
5.成田空港の早朝フライトに対応する列車の増発
成田空港の早朝フライトへの対応として、早朝と深夜に普通成田空港行が新設される。早朝に運転される成田空港行は成田5時2分発、宗吾参道5時25分発と5時50分発の3本。前者2本は出庫時間をそれぞれ30分ほど早めて成田空港まで運転するようにしたもので、成田〜成田空港2往復分が純増である。3本目の成田空港行はアクセス特急への回送列車を営業運転化したものとなり、アクセス運用が高砂以東の京成本線において営業運転を行う初めての事例となる。
深夜に新設される成田空港行は、羽田空港21時38分発(京成線内通勤特急、土休日は上野21時51分発の快速)および前述の上野23時00分発のイブニングライナーである。新たに成田空港行となる現行平日2173Kレと土休日21A17レは現行ダイヤでは共に成田行として運転されているが、実は車両自体はそのまま入庫のため成田空港まで回送されているので、この成田〜成田空港間も営業列車とし、全区間で営業運転を行うようにするものである。
6.平日7時台千葉・千原線列車の6両編成化
千葉・千原線最混雑時間帯(7時台後半下り)に運転されている4両編成の列車2本を6両編成に変更する。今回のダイヤ改正では4連運用が3本減、6連運用が2本増となっており、これにより一部列車の編成両数が変更となる。千葉・千原線では、増えた6連運用2本のうちの1本と、4連運用を最混雑時間帯から遠ざけるように運用の流れを変えることで最混雑時間帯の4連列車2本の6連化を実現した格好となる。
7.都営浅草線からの6連撤退と上野線列車の編成両数変更
平日早朝に1往復だけ設定されていた都営浅草線直通の6両編成である95K運行を8両編成とする。これにより、都営浅草線の全列車8両編成化が達成される。上野線だけを走る95運行(8両編成)との単純な運用のトレードとなっている模様。それだけだと上野線の輸送力が2両分減ることになってしまうが、上野線を1往復だけ走る4両編成の57運行を6両編成とし、トータルの輸送力は変わらないようにしている(上記の6.で触れた2本増となった6連運用のうちの1本となっている)。
前述のように4連運用が3本減って6連運用が2本増えるが、これに伴う車両の動きは3500形の4両編成3本を6両編成2本に組み換えれば済む話なので、車両数に変更はないものとみられる(AE100形を除く)。ただし、編成数は1本減となるため、8時台下りの芝山千代田行列車1本をうすいまでに短縮することで、所要編成本数の削減を図っている。
◆ ◆ ◆
以上、11月8日のダイヤ改正をざっくりと概観した。今回のダイヤ改正は総じて、回送列車の有効活用を図ったダイヤ改正という印象である。そして今回のダイヤ改正もやはり、珍列車と呼べるような列車も多数現れているが、それは別途紹介していくことにしよう。
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