2014.11.22
以前の記事でご紹介したように、バルセロナの地下鉄は全部で11もの路線が走っている。バルセロナ滞在中に何度と利用したので、バルセロナ交通局の路線を中心にその様子をご紹介しよう。
地下鉄は11路線あるが、バルセロナ交通局(Transports Metropolitans de Barcelona、TMB)がそのうちのL1〜L5およびL9〜L11を、カタルーニャ公営鉄道がL6〜L8を運行している。いちおう地下鉄各線にラインカラーが設定されているが、バルセロナ交通局については車両の塗装は共通で、白いボディを基調としてバルセロナ交通局のコーポレート・カラーと思われる赤色が屋根肩部にアクセントとして入れられたデザインのものが走っていた。
車両は何種類かのものが走っている様子。少し調べてみると、どうやら路線ごとに使われている車両が固定されているらしい。例えばL4は2100番台と9000番台の車両が混在、L2は9000番台の車両で統一されているようだった。
最も新しいのは9000番台の車両で、フランスのアルストム(Alstom)製である。アルストムでメトロポリス(Metlopolis)というシリーズで展開されている車両で、ブダペスト(ハンガリー)やアムステルダム(オランダ)、ワルシャワ(ポーランド)などで同シリーズのものが走っているほか、全く同じものがサン・ドミンゴ(ドミニカ)とリマ(ペルー)で走っているとのこと。アルストム製の車両は日本じゃ走ってないから、それに乗るというだけでもテンションあげあげ。それ以外はCAFという自国スペインのメーカーによるものであった。
編成は5両編成で運行している路線が多く、ホームも狭くて日本の地下鉄と比較してしまうとかなりコンパクトな印象を受ける。バルセロナはスペイン第2の都市であるが、この程度のキャパシティでこと足りてしまうのだろう。集電は架空電車線方式(剛体架線)で、ヨーロッパの地下鉄で第三軌条方式でないのは珍しいのかもしれない。先頭車両に小さいシングルアーム式パンタグラフが付いていた。
このほかバルセロナの地下鉄に関するトピックとしては、路線として最も新しいL9とL10において完全な自動運転を行っているとのこと。混雑の激しい日本では完全な自動運転を行っている地下鉄の路線は今のところないけれど、世界的にはパリメトロの1号線を皮切りにドバイメトロや韓国の新盆唐線などで例を見ることができ、将来的には自動運転が世界の地下鉄のスタンダードになっていくことを予感させられる。
L9とL10は今のところ郊外側のみで部分開通しており、かつての都営12号線練馬〜光が丘のような状態となっているが(ゆえに乗る機会はなかった)、将来的に市の西側をぐるっと回ってバルセロナの空の玄関口であるエル・プラット空港まで延伸する計画があるようなので、空港と市内を結ぶ便利な路線となることが期待される。
関連記事
スペイン バルセロナ交通散歩 3 - 地下鉄に乗るっ その2
バルセロナその3。例によって地下鉄の走行音を録ってきたので、掲載したく思う。まずはL4を走る2100番台車両をば。自国スペインのCAFという車両メーカー製ながら、制御装置のVVVFインバーターは...
スペイン バルセロナ交通散歩 1 - バルセロナの交通あれこれ
当サイトとしては3本目の海外特集(?)である韓国ソウル篇が進んでいるが、並行してスペイン・バルセロナの様子も紹介したい。バルセロナはスペインの北東部、地中海に面する都市で、カタルーニャ州の州都で...
中央ヨーロッパ交通見聞録 7 - プラハ市電
旅も終盤、チェコの首都プラハである。プラハも路面電車がたくさん走っている都市で、2010年現在23の系統が設定されており、市民あるいは観光客の足として活躍している。さらに、プラハ市電はNight...
中央ヨーロッパ交通見聞録 4 - ウィーン地下鉄
前回に続き、ウィーンの公共交通について見てみよう。今回は地下鉄を取り上げる。ウィーンの地下鉄はドイツ語圏のためメトロでもなくサブウェイでもなくU-Bahn(ウー・バーン)と呼ばれる。2010年...
中央ヨーロッパ交通見聞録 1 - ブダペスト市電
当Webサイト始まって以来、初の海外篇。今月の中旬に所用と旅行を兼ねて中央ヨーロッパを訪れたので、現地で体験した中央ヨーロッパの交通事情を簡単にご紹介しよう。まず最初はハンガリーの首都ブダペスト...
最新記事
京成線 2024年11月23日ダイヤ修正
京成電鉄では、11月23日にダイヤ修正を行う。今回のダイヤ修正について、プレスリリースや15日発売の京成時刻表Vol.33などで明らかになっている情報を基に、その内容を見てみよう。本稿では...
四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」
「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...