2015.12.04
翌5日のダイヤ修正にて、ついに定期運行が取り止めとなる特急「シティライナー」。ダイヤ修正直前に恒例としている消える珍列車は、そのシティライナー・・・ではなく、シティライナーに付随して運転されていた回送列車を取り上げる。
- [土休日]15AE50a 回送
- 始発:東成田---- → 終着:成 田----
- ダイヤ:2013.10.26修正
- 備考:-
京成における列車番号の表示方法は、「始発駅発の時を表わす数に運行番号を併記するもの」とされている1)。しかし、それだけだと特に短い区間を走る列車で列車番号が重複してしまうことがあるため、重複した場合には末尾にa、b、・・・という具合に小文字のアルファベットを末尾に付すことにしている。例えば始発駅を12時台に発車するA01運行の下り列車が2本あったならば、12A01a、12A01bとして別のものとして扱っている。このことを踏まえた上で京成時刻表をパラパラとめくってみよう。現行ダイヤにおける上りシティライナーの列車番号は15AE50bである。ここで、15AE50bという列車があるということは15AE50aもあるはず・・・? しかし、時刻表上をいくら探しても15AE50aは見当たらない。15AE50aはどこにあるのあるのやら。
実は、上りシティライナーの送り込み列車が15AE50aとなっている。15AE50aは回送列車なので、時刻表には載っていないというわけだ。午後に運転される上りシティライナーに使用されるAE100形は、宗吾車両基地を出庫した後、いったん成田を通り過ぎて東成田まで回送される(14AE51)。東成田で折返し、成田まで回送されて成田からようやく営業列車シティライナー84号となるのだが、この東成田→成田の回送が15AE50aである。この回送列車も上りシティライナーも確かに始発駅を15時台に発車するAE51運行の上り列車となっているため、列車番号末尾にa、bを付して別のものとして扱っているというわけ。
この15AE50aだが、シティライナーが概ね現行時刻での運転となった2012年10月ダイヤ改正の時点では上りのシティライナーともども15AE50として設定されていた。すなわち、列車としては東成田から上野まで通しでの設定となっており、成田で回送からシティライナーへ種別を変更する格好になっていた。表題の15AE50aが設定されたのは翌2013年10月ダイヤ修正のことで、同時に上りシティライナーは15AE50bになった。勘のいい方もそうでない方もお気づきかと思われるが、これはもともとの15AE50を単に成田で分割しただけである。なぜ1本の列車として運転していたものをわざわざ成田で分けたのかはよくわからないところなのだが、いずれにせよ東成田始発成田行という珍妙な回送列車が出現することになった。その後、2014年11月ダイヤ改正で15AE50aは15AE50bともども平日の運転が廃され、現在は土休日のみの運転となっている。
それにしても、そんなのいちいち東成田まで行かないで成田で折返せばいいじゃん〜と思われるかもしれないが、シティライナーの発着する3、4番線(成田駅の3線あるうちの真ん中の1線)には15時12分まで芝山千代田行の電車が在線しており、折返し時間が確保できないための措置になっているものとみられる。・・・というわけで、シティライナー運行日のAE100形はいつも東成田まで入線していたのだった。シティライナーは2012年10月ダイヤ改正より成田〜成田空港の設定がなくなっているが2)、成田空港に未練のある亡霊であるかのように空港直下まで来ていたのであった。なんなら東成田からシティライナーとして営業運転しても面白いんじゃないかと思ったけど、ただでさえ人の少ない日中の東成田とただでさえ人の乗らないシティライナーのコンボなんて、やったところで結果は目に見えてるわな・・・3)。
なお、ダイヤ修正の記事で触れたように、シティライナーそのものは正月の多客対応などのために不定期列車として残るようである。したがって、この15AE50aも不定期列車として残存するものとみられる。そして京成電鉄によれば、2016年1月中の土休日に運転される臨時シティライナーはAE100形で運転されるということなので、AE100形の東成田入線がもう少しばかり見られそうである。
こちらもどうぞ:京成AE100形 特急「シティライナー」東成田折返しの回送列車 (YouTube)
- 1)列車運行図表(ダイヤグラム)に記載されている文言をそのまま引用。
- 2)実際には東日本大震災の影響により2011年3月より運転されていない。
- 3)いちおう、成田空港または空港第2ビルよりも東成田から京成本線に乗ったほうが運賃が安いという利点があるが、そこまでケチる人間が有料特急であるシティライナーに乗るはずがないわな・・・。
関連記事
四直珍列車研究 82 - 平日 1180H
祝、京急車の京成本線運用復活!!! ・・・という冒頭の文章を以前の記事では半ばふざけて使ったのだが、マジな意味で使う日が来るとは思わなんだ。2015年12月ダイヤ修正で一部運用の持ち替えが発生し...
四直珍列車研究 80 - 臨時回送 S3x
このシリーズでは数々の珍列車を取り上げてきたが、今回は80回記念ということで、本当に珍しい列車を取り上げてみよう。高砂〜宗吾参道間で運転される臨時回送である。不定期列車を示すSを冠する運行番号の...
四直珍列車研究 79 - 平日 500
京急の少数派普通車。平日500レは、平日朝のみに設定されている普通京急久里浜行である。京急久里浜線と言えば特急と快特しか走っていないというイメージがあるが、平日の朝に京急久里浜発着の普通車が...
四直珍列車研究 78 - 平日 740T
都営車の金沢文庫行と言えば、深夜特急1本のみという状況が長らく続いていたが、エアポート急行の登場以後は増えつつある。そのうちの1つ、平日740Tをみてみよう。平日740Tは早朝に走る都営車による...
四直珍列車研究 77 - 平日 505K・土休日 511K
成田スカイアクセス線開業5周年オメデトウ、というわけで、3050形の珍列車を取り上げてみよう。平日505K・土休日511Kは、早朝に設定されている宗吾参道始発成田空港行の普通列車である...
最新記事
最新記事
四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」
「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...
北総車の京急線内特急運転が復活
約19年ぶりに復活した北総車の京急線内特急運転を見る。京急線に大きな変化をもたらした2022年11月ダイヤ改正。京急自ら「23年ぶりの大改正」としたこのダイヤ改正では、特に日中時間帯の運行...