KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2016.01.26

タイ国鉄メークロン線その3。メークロン線のマハーチャイ〜バーンレーム間は大きな川によって線路が分断されており、この区間は徒歩と渡船にて連絡を行なう。メークロン側で乗る予定なのはバーンレーム駅8時5分発の列車。1日に3往復しか運行のないメークロン側のこの列車を逃してしまうとこの日のスケジュールは崩壊必至なので、なんとしてでも間に合わなければならない。

D23507.jpg

マハーチャイ〜バーンレームの渡船
2015.2.13/**

▲マハーチャイとバーンレームを結ぶ渡船

マハーチャイ駅から渡船のりばへは、駅前の商店街を抜けていく。マハーチャイは港町の様相を呈していて、活気のある商店街からは魚介類のにおいがそこらじゅうから匂ってくる。人の多さから察するにそこそこ大きい街のようだ。マハーチャイの街そのものも面白そうでいろいろと見て回りたい気持ちもあるが、いかんせん時間に余裕がないので今回はスルー。5分ほど歩いて渡船のりばに着いた。

X53735.jpg

マハーチャイ〜バーンレームの渡船
2015.2.13/**

▲シンプルな構造の渡船

渡船はフラットな床に屋根をつけただけのシンプルなもので、船内は申し訳程度のベンチとただだだっ広い空間がひろがるのみ。バイクや自転車にまたがったまま乗船できるようにしているためのようである。ラッシュ時間帯ということで2隻の船が互いに反対方向に行ったり来たりしている。ラッシュの方向はバーンレーム側からマハーチャイ側のようで、向こう岸に大量のバイク客を乗せた船が見える。こちらはガラガラなので、向こう側の乗船完了を待って出航だ。10分もかからずにあっさりと対岸の船着場に到着。乗船料金は5バーツであった。

バーンレーム側の渡船のりば1)から、これまた商店街の細い路地を抜ける。交差点に出て地図とにらめっこしていると、地元の人が駅はあっちだよと教えてくれた。タイの人はやはり親切である。あとはバーンレーム駅までまっすぐ歩くのみ。5分ほど歩いて本当に駅がこっちのほうにあるのかどうか不安になりかけるが、それでも構わずに進むと急に駅が現れる。時刻は7時55分、間に合った。

◆ ◆ ◆

バーンレーム側はマハーチャイ側の喧騒とはうってかわって静か。たまたまそうだったのかもしれないけど、人の姿がほとんどない。バーンレーム駅も街の外れにあるということもあって、ずいぶんと閑散とした駅である。それでもメークロン線のメークロン側の運行拠点の1つとなっており、駅員も常駐している。メークロンまでの乗車券を出してもらったが、フアランポーン駅やウォンウィエンヤイ駅で出してもらったものと同じ様式のものが発券され、こんな小駅ながらもタイ国鉄の乗車券発行システム(?)にオンラインで繋がっているようだ。

D23510.jpg

タイ国鉄 バーンレーム駅
2015.2.13/**

▲のんびりとした雰囲気のバーンレーム駅
X53739.jpg

タイ国鉄 放置された無蓋貨車
2015.2.13/สถานีรถไฟบ้านแหลม

▲線路の終端付近で放置された無蓋貨車(絶賛脱線中)
X54654.jpg
▲タイ国鉄 乗車券

バーンレーム駅の構内はややカーブした1面1線となっており、駅のすぐメークロン寄りに車両交換用の短い側線が1本設けられている。本線上にジャッキアップ装置が備え付けてあり、これを使ってメークロン側に閉じ込められている車両の検査を行なうようである。このほか線路の終端側に予備の気動車2両が留置されていたほか、線路の終端で脱線したまま放置されている無蓋貨車の姿があった。

それにしても、線路がずいぶんとヘロヘロなのが気になるところである。これからこのヘロヘロな線路の上を走る列車に乗って、メークロンまで向かうのである。

  • 1)バーンレーム駅のすぐそばにも船着場があり、列車の時刻に合わせて運航する渡船があるらしいのだが、そちらのほうはよくわからず。

関連記事

タイ国鉄の旅 6 - やばすぎるローカル線 メークロン線の旅

バーンレーム駅に着いてきっぷを買っていると、折返し9時5分発メークロン行の列車がやってきた。だいぶヘロヘロな線路の上をTHN系ディーゼルカーが車体を盛大に揺らしながらこちらに向かって走ってくる...

タイ国鉄の旅 6 - やばすぎるローカル線 メークロン線の旅
タイ国鉄の旅 4 - マハーチャイ線の通勤列車

前回に引き続き、メークロン線に乗る。まずはマハーチャイ線区間のマハーチャイまで向かう。車両はTHN系と呼ばれる日本製のディーゼルカー。前面の表情や側面のコルゲートなど、日本で走っていてもあまり...

タイ国鉄の旅 4 - マハーチャイ線の通勤列車
タイ国鉄の旅 3 - 早朝のバンコク=ウォンウィエン・ヤイ駅

タイ国鉄その3。前回、前々回は華やかな本線系の様子を取り上げたが、それとは別にメークロン線というローカル線に乗ってきたので、こちらもご紹介しよう。タイ国鉄メークロン線は、バンコクとメークロンを...

タイ国鉄の旅 3 - 早朝のバンコク=ウォンウィエン・ヤイ駅
タイ国鉄の旅 2 - 特急"スプリンター"9レに乗る

タイ国鉄の旅、前回はフワランポーン駅の様子を紹介したが、フワランポーン駅に来たのは他でもない、列車に乗るためである。アユタヤ王朝の遺跡群で有名な、古都アユタヤへ向かう。ボロの客車列車に後ろ髪を...

タイ国鉄の旅 2 - 特急
タイ国鉄の旅 1 - バンコク・フアランポーン駅の喧騒

バンコクの交通事情に引き続き、タイ国鉄のあれこれを取り上げていこう。まずはバンコクの中央駅、フアランポーン駅の様子をば。フアランポーン駅はタイ国鉄の主要幹線、タイ北部最大の都市チェンマイに向かう...

タイ国鉄の旅 1 - バンコク・フアランポーン駅の喧騒

最新記事

北総線 西白井駅で『ウマ娘 プリティーダービー』特別装飾を実施

「ウマ娘」たちが北総線西白井駅を駆ける。北総鉄道では、10月中旬より西白井駅において『ウマ娘 プリティーダービー(以下、ウマ娘)』の特別装飾を実施している。『ウマ娘』とは、株式会社Cygames...

北総線 西白井駅で『ウマ娘 プリティーダービー』特別装飾を実施
「都営フェスタ2024 in浅草線」開催

5年ぶりの祭典。11月30日、東京都交通局馬込車両検修場で車両基地公開イベント「都営フェスタ2024 in浅草線」が開催された。三田線の志村車両検修場と交互で概ね2年に1度に開催されるイベント...

「都営フェスタ2024 in浅草線」開催
京成電鉄 モーニングライナー・イブニングライナーの特急料金を改定

京成線、モーニングライナーとイブニングライナーを実質値上げ。11月23日、京成電鉄では京成本線で運行している座席指定制の特急列車モーニングライナーとイブニングライナーの特急料金の改定を実施した...

京成電鉄 モーニングライナー・イブニングライナーの特急料金を改定
四直珍列車研究 136 - 平日 720T

唯一、かつ初めての羽田空港行。京成線や北総線、都営浅草線では、23日にダイヤ修正が実施される。ダイヤ修正前日の記事として、今回も消えてしまう珍列車を取り上げてみよう。平日720Tレ特急羽田空港行...

四直珍列車研究 136 - 平日 720T
京成線 2024年11月23日ダイヤ修正

京成電鉄では、11月23日にダイヤ修正を行う。今回のダイヤ修正について、プレスリリースや15日発売の京成時刻表Vol.33などで明らかになっている情報を基に、その内容を見てみよう。本稿では...

京成線 2024年11月23日ダイヤ修正