2016.12.10
「トワイライトエクスプレス」は進化する。
世の中にはいろいろな列車が走れど、優美さや気品を兼ね備えたものは少ない。JR西日本の寝台特急「トワイライトエクスプレス」はまさにそれらを持ち合わせた列車だったのではないかと思う。オリエント急行をモデルにしたという車両はブルートレインの豪華版であり、JR西日本のフラッグシップトレインと言える存在であった。臨時列車扱いながらその走行距離は日本一。残念ながら2015年3月ダイヤ改正にて定期的な運行を終えたものの、その後しばらくは団体臨時列車としてJR西日本管内を走り回ったのも記憶に新しい。
車両自体は国鉄時代に製造された24系客車を改造したもので、れっきとした国鉄型車両である。牽引は青森まではEF81形電気機関車、青函区間はEF79形電気機関車、北海道内はDD51形ディーゼル機関車がそれぞれ担当しており、これらも全て国鉄型。車体は列車名の由来にもなっているトワイライトをイメージした深い緑色に塗り替えられているが、全体的には国鉄の残り香が強く漂う列車であった。特にEF81形は24系の深緑色に合わせた塗装の車両が専用機として運用されており、編成全体が青色で統一されたブルートレインとはまた別の美しさを魅せていた。
私としては24系の「トワイライトエクスプレス」を撮ったのは2回ほど。1枚目は言わずと知れた北陸本線新疋田~敦賀の有名撮影地、通称"ダンロップカーブ"を行く姿。485系の特急「雷鳥」を目当てにして出かけた時のものだけど、さすが有名な撮影地だけあって平時にもかかわらずカメラの砲列が凄かった記憶である(特急「雷鳥」の終焉が近づいていた頃合いだったとはいえ)。2枚目は写真としてのデキはちょっとアレだれど、大阪で客扱いを終えて宮原総合運転所(現・網干総合車両所宮原支所)への入庫列車を塚本にてお手軽撮影。「トワイライトエクスプレス」をお目にかかったのはこの2回だけだけども、深い緑色は強く私の目に写った。
さて、「トワイライトエクスプレス」用の24系客車だが、最後まで残っていた数両がこのほど宮原支所から吹田総合車両所に回送されたとのこと。事実上の廃車回送のようである。そんなこともあってこの記事を作ったわけだけど、最初は本稿を「さようなら トワイライトエクスプレス」というタイトルにしようと思ったところ「トワイライトエクスプレス」自体は消えるわけではないので、「国鉄型車両を訪ねて」の1本として記事を作った。「トワイライトエクスプレス」の名前はJR西日本の新しいクルーズトレインに引き継がれ、「トワイライトエクスプレス 瑞風」として2017年6月より運行が開始される予定である。私にとっては24系の「トワイライトエクスプレス」以上に縁のない列車になりそうなのだが(笑)、「トワイライトエクスプレス」は進化するのである。
関連記事
国鉄型車両を訪ねて 22 - JR西日本583系 寝台急行「きたぐに」
国鉄型車両を訪ねて、その22は583系による寝台急行「きたぐに」。寝台急行「きたぐに」は、大阪〜新潟を結んでいた夜行列車である。車両は京都総合運転所に所属していた583系の担当で、これは...
国鉄型車両を訪ねて 20 - JR貨物EF66 27
贅沢な行き掛けの駄賃。時は静岡鉄道A3000形を目当てに静岡を訪れた4月某日。せっかく静岡まで来たのだから何かついでに撮れればいいなあと思っていたところ、貨物列車の目撃情報を調べてみたらあらまあ...
国鉄型車両を訪ねて 19 - キハ66系国鉄急行色
時には運も必要さ。この時は確か、九州のバスが乗り放題となる「SUNQパス」を使った旅行をしていたんだったかと思うのだが、佐世保からの高速バスを長崎駅で降りた私は、せっかく長崎駅にいるのだから...
国鉄型車両を訪ねて 18 - JR九州・筑肥線の103系1500番台
そう言えばこれも国鉄型だったよなあということで(?)、JR九州の筑肥線・福岡市営地下鉄線直通用の103系1500番台である。個人的にいかんせんあまり国鉄型という感じを受けないのだが、そもそも...
国鉄型車両を訪ねて 17 - JR北海道711系
11月末に札幌〜旭川間を移動する機会があったので、せっかくだから引退間近となっている711系に乗ってみた。現在残っている711系は1980年の室蘭〜札幌電化に伴って製造された後期グループだが...
最新記事
最新記事
四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」
「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...
北総車の京急線内特急運転が復活
約19年ぶりに復活した北総車の京急線内特急運転を見る。京急線に大きな変化をもたらした2022年11月ダイヤ改正。京急自ら「23年ぶりの大改正」としたこのダイヤ改正では、特に日中時間帯の運行...