KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2016.12.10

「トワイライトエクスプレス」は進化する。

D03794.jpg

JR西日本 敦賀運転センター車両管理室 EF81 113号機
2009.9.21/新疋田〜敦賀

▲通称"ダンロップカーブ"を行く「トワイライトエクスプレス」

世の中にはいろいろな列車が走れど、優美さや気品を兼ね備えたものは少ない。JR西日本の寝台特急「トワイライトエクスプレス」はまさにそれらを持ち合わせた列車だったのではないかと思う。オリエント急行をモデルにしたという車両はブルートレインの豪華版であり、JR西日本のフラッグシップトレインと言える存在であった。臨時列車扱いながらその走行距離は日本一。残念ながら2015年3月ダイヤ改正にて定期的な運行を終えたものの、その後しばらくは団体臨時列車としてJR西日本管内を走り回ったのも記憶に新しい。

車両自体は国鉄時代に製造された24系客車を改造したもので、れっきとした国鉄型車両である。牽引は青森まではEF81形電気機関車、青函区間はEF79形電気機関車、北海道内はDD51形ディーゼル機関車がそれぞれ担当しており、これらも全て国鉄型。車体は列車名の由来にもなっているトワイライトをイメージした深い緑色に塗り替えられているが、全体的には国鉄の残り香が強く漂う列車であった。特にEF81形は24系の深緑色に合わせた塗装の車両が専用機として運用されており、編成全体が青色で統一されたブルートレインとはまた別の美しさを魅せていた。

D02793.jpg

JR西日本 敦賀運転センター車両管理室 EF81 113号機
2009.8.21/塚 本

▲大阪までの営業運転を終え、宮原総合運転所へと回送される「トワイライトエクスプレス」

私としては24系の「トワイライトエクスプレス」を撮ったのは2回ほど。1枚目は言わずと知れた北陸本線新疋田~敦賀の有名撮影地、通称"ダンロップカーブ"を行く姿。485系の特急「雷鳥」を目当てにして出かけた時のものだけど、さすが有名な撮影地だけあって平時にもかかわらずカメラの砲列が凄かった記憶である(特急「雷鳥」の終焉が近づいていた頃合いだったとはいえ)。2枚目は写真としてのデキはちょっとアレだれど、大阪で客扱いを終えて宮原総合運転所(現・網干総合車両所宮原支所)への入庫列車を塚本にてお手軽撮影。「トワイライトエクスプレス」をお目にかかったのはこの2回だけだけども、深い緑色は強く私の目に写った。

さて、「トワイライトエクスプレス」用の24系客車だが、最後まで残っていた数両がこのほど宮原支所から吹田総合車両所に回送されたとのこと。事実上の廃車回送のようである。そんなこともあってこの記事を作ったわけだけど、最初は本稿を「さようなら トワイライトエクスプレス」というタイトルにしようと思ったところ「トワイライトエクスプレス」自体は消えるわけではないので、「国鉄型車両を訪ねて」の1本として記事を作った。「トワイライトエクスプレス」の名前はJR西日本の新しいクルーズトレインに引き継がれ、「トワイライトエクスプレス 瑞風」として2017年6月より運行が開始される予定である。私にとっては24系の「トワイライトエクスプレス」以上に縁のない列車になりそうなのだが(笑)、「トワイライトエクスプレス」は進化するのである。

関連記事

国鉄型車両を訪ねて 22 - JR西日本583系 寝台急行「きたぐに」

国鉄型車両を訪ねて、その22は583系による寝台急行「きたぐに」。寝台急行「きたぐに」は、大阪〜新潟を結んでいた夜行列車である。車両は京都総合運転所に所属していた583系の担当で、これは...

国鉄型車両を訪ねて 22 - JR西日本583系 寝台急行「きたぐに」
国鉄型車両を訪ねて 20 - JR貨物EF66 27

贅沢な行き掛けの駄賃。時は静岡鉄道A3000形を目当てに静岡を訪れた4月某日。せっかく静岡まで来たのだから何かついでに撮れればいいなあと思っていたところ、貨物列車の目撃情報を調べてみたらあらまあ...

国鉄型車両を訪ねて 20 - JR貨物EF66 27
国鉄型車両を訪ねて 19 - キハ66系国鉄急行色

時には運も必要さ。この時は確か、九州のバスが乗り放題となる「SUNQパス」を使った旅行をしていたんだったかと思うのだが、佐世保からの高速バスを長崎駅で降りた私は、せっかく長崎駅にいるのだから...

国鉄型車両を訪ねて 19 - キハ66系国鉄急行色
国鉄型車両を訪ねて 18 - JR九州・筑肥線の103系1500番台

そう言えばこれも国鉄型だったよなあということで(?)、JR九州の筑肥線・福岡市営地下鉄線直通用の103系1500番台である。個人的にいかんせんあまり国鉄型という感じを受けないのだが、そもそも...

国鉄型車両を訪ねて 18 - JR九州・筑肥線の103系1500番台
国鉄型車両を訪ねて 17 - JR北海道711系

11月末に札幌〜旭川間を移動する機会があったので、せっかくだから引退間近となっている711系に乗ってみた。現在残っている711系は1980年の室蘭〜札幌電化に伴って製造された後期グループだが...

国鉄型車両を訪ねて 17 - JR北海道711系

最新記事

2025.02.15

新京成8800形8813編成 復刻塗装電車(オリジナル色)が登場

千葉線直通色に続いて旧塗装「茶帯」の8800形も復活! 4月にも京成に吸収合併され、会社の解散を予定している新京成電鉄。N800形と8800形で「お客さまに当社の歴史を振り返り、懐かしさを感じて...

新京成8800形8813編成 復刻塗装電車(オリジナル色)が登場

2025.02.10

京成線 4両編成の現況(2025年)

京成線の4両編成の今。京成線にわずかに残る4両編成。弊サイトでは2020年12月にもその運用状況をレポートしたところだが、2022年11月ダイヤ改正におけるワンマン運転開始や新型車両3200形の...

京成線 4両編成の現況(2025年)

2025.02.05

京成バスシステムKS-7602号車 三菱ふそうエアロスターPJ-MP37JM

1台だけのエアロスター。京成バスシステムKS-7602号車は、2006年式の三菱ふそうエアロスター(PJ-MP37JM)である。俗に「ペタノン」などと言われる独特なスタイルを持つエアロスターの...

京成バスシステムKS-7602号車 三菱ふそうエアロスターPJ-MP37JM

2025.01.31

新京成N800形 「マイメモリーズトレイン」運転

新京成の78年間の思い出を乗せて。4月1日に予定されている京成電鉄への合併により、まもなく終焉を迎えようとしている新京成電鉄。車両に掲示されているコーポレートロゴが消えたり、駅の案内サインが京成...

新京成N800形 「マイメモリーズトレイン」運転

2025.01.26

京成AE形 臨時シティライナー「成田山開運号」運転(2025年)

毎年恒例、臨時シティライナー「成田山開運号」。京成電鉄では、臨時シティライナー「成田山開運号」を、大晦日〜翌元日に実施される終夜運転および1月の土休日ダイヤ実施日において運転した。成田山新勝寺へ...

京成AE形 臨時シティライナー「成田山開運号」運転(2025年)