2017.10.04
東洋バス1107号車は2009年に導入された中型ロング車である。
型式は三菱ふそうPDG-AJ820NANで、スペースランナーJPのOEM版となるエアロミディSである。当時、三菱ふそうでは日産ディーゼルと提携しており、大型ノンステップ車両と中型車についてはエアロスターS、エアロミディSという格好で、スペースランナーのOEM車のみの取扱いになっていた。長らく三菱ふそう製の車両を導入してきた東洋バスにおいては、自然な流れでエアロスターSとエアロミディSの導入に移行。2008年にエアロスターSとエアロミディS(通常の中型車)を3台ずつ導入したところで、翌2009年に1107号車がまさかの中型ロング車両として登場する。
東洋バスにおける中型ロング車両は2006年に導入した647号車と648号車、691号車以来、3年ぶりのことだった。ところが、1107号車は主に宮ノ台線で使用されているこれら3台の増備車的な存在なのかと思いきや、実際には大型車の扱い1)として動いており、米本団地や村上団地、高津団地など駅と団地を結ぶ路線を中心に運用されている。長尺のワンステップ車両も走る団地路線への投入は収容力が心配になるが、何食わぬ顔をして大型車に混ざる姿を見る限り、特に問題ない模様・・・?
とは言え、中型ロング車両の導入はこれをもって打ち止め。結果的に1107号車は東洋バスで一点ものの車両になった。結局のところ何のために導入したのやらさっぱりわからんのだが、ダウンサイジングを画策したものの上手くいかなかったとかそんなところなのだろうか。
そして、この中型ロング車両PDG-AJ820NANは、よくよく調べるとスペースランナーJPではないエアロミディSとしての導入は全国でもわずか20台ほどということのよう。特に首都圏では、この東洋バスの1台のほかは京王バスグループでしか見られない珍車なのだそうだ。こんなものはよほど三菱ふそうに入れ込んでなければ導入しない車両であろう。そういった意味では、三菱ふそうのヘヴィユーサーたる東洋バスらしい1台と言えるのかもしれない。
- 1)大型車のダイヤで使用されているだけでなく、車庫内における駐車場所も大型車の島の中に指定されている。
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