2021.09.10
幻と化した東京オリンピック・パラリンピック臨。
7月23日〜8月8日および8月24日〜9月5日、昨年より延期されていた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催された。同大会の開催にあたっては、試合時間が深夜まで及ぶ競技もあることから、首都圏の鉄道事業者では列車の混雑や競技会場からの帰宅の需要に対応するため、東京都と東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会からの要請によって深夜時間帯に臨時列車を運転する予定であった。
ところが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い7月12日に東京都で緊急事態宣言1)が発出されたことから、1都3県ではオリンピック・パラリンピックを無観客で開催することを決定。これにより、臨時列車を運転する理由がなくなったため、臨時列車は全て取り止めとなった。臨時列車の運転取り止めは、運転時刻が発表されてから改めて決まるという異例の展開であった。
列車の運転が取り止めになったことから、運転時刻などは既に公式Webサイトから削除されている。しかし、そういった運行計画があったことは確かなので、ここにそれを記録として残しておくことにする。
都営浅草線
都営浅草線では、北行で5本、南行で4本の臨時列車を運転する予定であった。運転時刻は以下のとおりである。種別はいずれも普通。平休共通。
▽北行
- 西馬込24:03→押上24:38・・・(1)
- 西馬込24:23→押上24:58・・・(3)
- 西馬込24:44→押上1:20・・・(5)
- 西馬込1:05→押上1:41・・・(7)
▽南行
- (京成高砂24:11→)浅草橋24:30→泉岳寺24:59・・・(2)
- 押上24:46→泉岳寺1:10・・・(4)
- 押上1:06→泉岳寺1:30・・・(6)
- 押上1:31→浅草橋1:37・・・(8)
- 押上1:49→浅草橋1:56・・・(10)
臨時列車は4本の編成を使用し、(1)→(4)、(3)→(6)、(5)→(8)、(2)→(7)→(10)という流れで運用する計画だったものとみられる。(2)は定期列車の2452Tレ(土休2426Tレ)浅草橋行を西馬込まで延長したもの、(1)と(3)、(5)はそれぞれ西馬込止まりの列車から折返しだろうか。
ただし、臨時列車をこの通りに運転すると車両の停泊場所1)が通常ダイヤのそれと一致しなくなることから、これらのほかにも運用調整のための臨時回送や停泊場所の変更などの設定も合わせてなされていたはずである。
京急線
京急線で運転する予定だった臨時列車は以下のとおり。平休共通で、種別はいずれも特急。
- 泉岳寺24:30→品川24:33→横浜24:55→金沢文庫1:11
- 泉岳寺1:00→品川1:03→横浜1:25→金沢文庫1:41
臨時列車は都営浅草線とは異なり片道のみの運転となることから、単純に2本の編成を検車区などから泉岳寺まで回送し、折返し特急金沢文庫行として運転する計画だったものと考えられる。
京成線・北総線
京成線と北総線では観客の有無にかかわらず臨時列車の運行をしない予定だったが、2019年3月の時点では臨時列車を運行する検討が行われていた。大会組織委員会の発表によれば、京成本線京成上野〜京成津田沼と押上線、北総線で(平日ダイヤの終電時刻と比べて)概ね60分程度遅い時刻まで列車を運行することが検討されていた模様である3)。
これが実現していれば、京成上野→京成津田沼と押上→印旛日本医大で京急線と同様にそれぞれ2本程度の列車が運転されていたことだろうと思う。しかし、いずれにせよ臨時列車は運転されることはなかった。
- 1)8月2日より埼玉県と千葉県、神奈川県でも緊急事態宣言を発出。
- 2)都営浅草線内における車庫外停泊は、浅草橋と泉岳寺の1本ずつ。
- 3)東京2020オリンピック競技大会期間中の東京圏における鉄道の運行について - 東京2020大会の2019年3月15日付プレスリリース
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