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京急1000形 20年間の軌跡 3 - 進化、そして・・・

2022.06.05

2002年4月15日、ある車両がデビューした。その名は1000形。それから20年が経つが、1000形は驚くべきことにいまだ導入が続けられている。そんな1000形という車両に敬意を表して、1000形の20年の歩みを簡単に振り返ってみよう。その1その2

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京急1000形 1185編成
2017.6.18/金沢文庫

▲2016年度に登場したマイナーチェンジ仕様の1000形。8両編成はフルSiC適用のVVVFインバーターを採用するなど主要機器を一新。車体も1800番台と同様のフルラッピングとなったが、結果的には過渡期的仕様となり8両編成と6両編成とも2本ずつの少数派に
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京急1000形 1643編成
2021.10.5/金沢八景

▲翌2017年度には車体を塗装した仕様に変更。「京急らしさ」が戻った??
マイナーチェンジ仕様の車両が登場

2015年度のPMSM仕様と1800番台を除いて変化に乏しかった1000形ステンレス車だが、2016年度になって大きな変化が訪れる。車体を1800番台と同じフルラッピングとし、機器類も一部変更したマイナーチェンジ仕様と称される車両が登場した。特に8両編成ではフルSiCを適用したVVVFインバーターを採用するなど、主要機器類を一新。他の鉄道事業者では新形式の車両においてフルSiCのVVVFインバーターを新規採用する事例が多いなかで、京急では1000形がそのまま「進化」してしまった。

さらに、フルラッピングでは飽き足らなくなったのか、翌2017年度の車両から塗装した車体になった。ステンレスの車体を塗装するのは事例がないわけではないが、異例なこと。ここにきて塗装した車両に戻した理由は、「赤い電車」という京急らしさを取り戻すためとのことだが、そんなこと言われたら2015年度までのステンレス車の立場は・・・。

マイナーチェンジに伴い、8両編成と6両編成ともに番号が飛んで1200番台、1600番台になった。ただし、2016年度に導入された8両編成を除く。一見、謎のように思える番号の扱いだが、これはただ単に京急創立120周年となる2017年度に1200番台の車両を登場させたかっただけのようである。

なにはともあれ、1000形は新たなるスタイルを確立した。この仕様で2019年度まで導入が続くことになる。

L/C座席仕様の1890番台「Le Ciel(ル・シエル)」
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京急1000形 1892編成
2021.5.28/生 麦

▲2021年度にデビューした1890番台「Le Ciel」。現時点で4両編成5本が在籍している。車体から床下機器から番号の付け方までフルモデルチェンジしたかのような車両だが、これも1000形の仲間

さらに1000形の進化はとまらない。というか、斜め上に進化してしまったのが2021年度にデビューした1000形1890番台「Le Ciel」である。4両編成ながらウィング号や貸切列車でも使用できるようにロングシートとクロスシートが切り替えられるL/C座席を採用したのが最大の特徴で、トイレも付いた。1000形の一形態ではあるものの新形式の車両に準じた扱いを受けており、京急としては2000形以来となる鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞している1)

L/C座席やトイレに目が行きがちだが、車体や床下機器も一新されたという点でやはりエポックメイキングな車両である。車体はレーザー突合せ溶接を使用して表面を完全にフラット化した新構体のステンレス車体を採用。床下については東洋電機製のハイブリッドSiC-VVVFインバーターを採用し、機器類の構成を大きく変えて2M2Tの編成になった。いやはや、この内容で新形式の車両じゃないのだから・・・もうわけがわからん。

今後、1890番台以外の1000形の導入が再開された場合に、1890番台の仕様が盛り込まれるのかどうか注目される。

アルミ車の車体更新・機器更新

1000形の導入が続く一方、2017年度から車体更新が始まった。車体更新ではフリースペースの設置や内装の全般的なリニューアル、LCD案内表示装置、照明のLED化が実施され、登場から15年経過して少々古くなっていた部分が綺麗になった。また、側面の一部の窓が開閉できるよう改造され、外観にも大きな変化が生じた。前面には2100形と同じく「けいきゅん」のステッカーが貼付され、リニューアル車の証となっている。

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京急1000形 1009編成
2020.3.22/ユーカリが丘〜京成臼井

▲2018に車体更新が実施された1009編成。2100形と同じく前面に「けいきゅん」のステッカーが貼付されたほか、開閉可能な側窓やLED式の前照灯など、外観にも細かいところで変化が生じている
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京急1000形 VVVFインバーター装置
2020.11.8/**

▲ある意味で京急を象徴していたドイツ・シーメンス製のVVVFインバーター装置。機器更新により残念ながら2022年度に消滅する見込み

車体更新と並行して、2100形と同じくシーメンス製の制御装置を国産メーカーのものに換装する機器更新も実施している。2100形の機器更新では全ての編成が一律に東洋電機製となったが、1000形では東洋電機製のほか三菱電機、東芝に換装した編成も出現。東洋電機だけだとつまらないので、趣味的にはありがたいところである。また、3M1Tの編成は機器更新で2M2Tに変更されたのも特徴的。もともと3M1Tに変更したのは空転対策だったが、制御装置も時代ととも進歩しているので、2M2Tでも空転や滑走に対応できるという判断であろう。

車体更新より機器更新の方を先行して実施している編成も多く、シーメンス製の制御装置は急速に数を減らしている。2022年度にも16両の機器更新が実施される予定で、シーメンス製の制御装置が消滅する見込み。

◆ ◆ ◆

以上、1000形の登場から20年間を振り返ってみた。記事にして3本文、文章が少々冗長になってしまった感はあるが、これはやはり1000形がいかにバリエーションに富み、話題に事欠かない形式であることの裏返しであろう。1000形と同じく長期間にわたり導入が続けられた京成3000形で同じようなことをやったとしても、こうにはなるまい。

はたして京急はいつまで1000形を作るのか? と誰もが思っていることと思うが、一方で特に1890番台の扱いを見るにつけ、京急はすべての車両を1000形という形式の中に収めようとしている節も見受けられる。仮に今後も仕様がどうあれ1000形の導入が続くとしたら、0系新幹線よろしく1000形が1000形を置き換える、もしかしたらそんな時代がやってくるのかもしれない。

(おわり)

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