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京成電鉄 松戸線が開業

2025.04.10

Hello! Matsudo Line

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京成N800形 N838編成
2025.4.2/三咲〜滝不動

▲松戸線開業記念のヘッドマークを掲出した新京成N800形改め、京成N800形。行先表示はこれまで行先のみを大きく表示していたところ、松戸線への移行で京成本線と同じく種別も表示するようになった
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京成3000形 3030編成
2025.4.6/勝田台〜志津

▲松戸線開業のヘッドマークは3000形3030編成にも掲出。京成本線側でも松戸線の開業をPRする

4月1日、京成電鉄は新京成電鉄の吸収合併を実施した。これに伴い、新京成線は同日より京成松戸線として運行を開始。1947年12月に新津田沼〜薬園台で産声を上げた新京成線は、開業から78年目にして新たなスタートを切ることとなった。本稿では、新京成線から京成松戸線への移行で変化したりしなかったりしたところを、それぞれ筆者が観察した限りで適当に挙げていってみよう。

車両

新京成に在籍していた4形式156両の車両は、そのまま京成の車両となっている。形式名に変更はない模様で、京成8800形、8900形、N800形、80000形が誕生することとなった。京成への移行にあたっては、車体に表記していた新京成ロゴの消去や社紋が入った番号プレートの交換などが行われ、ひとまずは最小限の改修のみで4月1日の「京成化」を迎えている。

塗装については、順次京成と同じ赤と青を基調としたカラーリングに改められることが明らかになっている。塗装変更は全般検査あるいは重要部検査のタイミングで実施されるため、全編成が京成カラーになるまで3〜4年かかる見通し。現在、N800形N818編成と8800形8807編成が検査のために入場しており、これらが京成カラー化の第1号になるだろう。

ダイヤ

京成への移行に伴うダイヤ改正は実施されていないため、新京成線として最後に改正した2024年3月のダイヤが現行となっている。列車番号も今のところ変更はなく、千葉線内で新京成所属車両が担当する列車に付されていたアルファベット「F」もそのまま使用されている。

車両運用

こちらも変更はない。もと新京成車は京成本線とは異なる松戸線仕様の車両として、引き続き松戸〜京成津田沼および千葉中央で限定的に運用されている。また、京成本線側の車両も松戸線への定期運用を行っていない。

千葉線との直通運転における取り扱いも現時点では大きな変更はないものとみられ、松戸線〜千葉線直通列車は従前と同じく松戸線内を新京成モードで、千葉線内を京成モードでそれぞれ走っている。新京成モードでは運行番号表示器が動作しないため、松戸線の列車は運行番号を表示していない。

車両の検査についても、今のところくぬぎ山車両基地で実施している。

行先表示

車両の行先表示は改修が実施され、松戸線内でも他の京成各線と同様に「普通」の種別表示を行うようになった。新京成時代に実施していた駅ナンバリングの表示も引き継がれたため、特に前面については本線では見られない松戸線独自の行先表示になっている。

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京成8800形 行先表示「普通千葉中央」(側面)
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▲京成への移行で改修を実施した行先表示。松戸線内においても種別「普通」を表示するようになった。新京成時代に続いて駅ナンバリングも表示しているため、写真の8800形の表示器では文字がぎゅうぎゅう詰めになる
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新京成N800形 N848編成
2024.11.5/京成稲毛〜みのり台

▲直通列車で実施していた直通の表示は取り止めに(※合併前に撮影したもの)

なお、千葉線直通列車はこれまで「千葉中央」と「京成津田沼方面京成線直通」の交互表示を行っていたが、直通の表示は取り止められた。また、京成津田沼での新京成仕様と京成仕様の行先表示の切り替えもなくなり、松戸時点の行先表示を終点の千葉中央まで表示するようになった(逆方向も同じ)。

自動放送

列車内の自動放送も松戸線への移行によって変化が生じている。特に、日本語パートのアナウンス担当が京成本線と同じ森谷真弓氏の担当となったため、全面的な録り直しが行われた。英語パートは引き続きクリステル・チアリ氏の担当で、新京成時代のものを再利用しつつも京成移行に伴い新規収録した部分が混ざっている。

【普通京成津田沼行】北習志野発車後

【普通京成津田沼行】薬園台到着前

今回の京成への合併で、今のところ最も大きく変わったといえるのは駅の表情である。京成仕様の駅名標や案内サインなどの準備は合併前の早いうちから実施され、新京成色がほとんど排除された状態で4月1日を迎えた。路線図も新京成独自のものから、京成で使用されている共通のものに切り替わっている。

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新津田沼駅 ホーム
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▲京成の色に染まった新津田沼駅。案内サインなどの交換は合併前から実施、新京成仕様のものを仮設化して、3月31日の終電後に一気に京成仕様への切り替えが行われた
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新津田沼駅 駅名標
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▲駅名標ももちろん京成仕様となっている。駅ナンバリングは新津田沼「KS-66」〜松戸「KS-88」に変更された

列車内の自動放送が一新されたのに対し、奥華子さんと濱田龍臣さんが担当している駅構内の列車接近放送と到着放送は、一部を改変した上でそのまま使われている。

運賃

当初より報道されていた通り、変更はない。京成津田沼をまたいで利用する際に適用される乗継割引も引き続き設定されている。

キャラクター

新京成のキャラクター「しんちゃん」と「けいちゃん」は卒業という扱いとなり、惜しまれつつも引退となった。また、トミーテックが展開している『鉄道むすめ〜鉄道制服コレクション』には、2021年4月に新京成に入社した駅係員という設定の「五香たかね」というキャラクターがいるが、こちらは今のところ公式的な発表が一切ないため、行方がわからなくなっている。

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しんちゃん・けいちゃん
2019.2.2/みつわ台車庫

▲さようなら、しんちゃん・けいちゃん

◆ ◆ ◆

以上、4月1日の京成松戸線の開業に伴う変化を簡単にまとめてみた。「京成化」はひとまず乗客の目に見える範囲では徹底的に行われているものの、それ以外のほとんどのところは新京成時代のまま変わっていない印象である。

とはいえ、会社が合併した以上は、車両の仕様をはじめとしたさまざまなものが統一される方向に進むはずである。本質的に京成松戸線となっていくのはまだまだこれから、どのように変化していくのか楽しみだ。

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