2012.05.05
・・・"看板車"と言っても、看板娘のような電車ではない。方向幕を装備していないなどの理由で、文字通り看板を掲げた車両のことである。方向幕が普及する前は当たり前のように走っていたが、今はもう風前の灯となっており、特に大手私鉄においては、今まで細々と走り続けてきたものが、最近になって消滅になっている例が相次いでいる。今回はこの看板車にスポットを当ててみよう。
阪急今津線である。今津線は西宮北口で運行系統が分断されているが、そのうち西宮北口〜宝塚の通称今津北線で3000系の看板車が走っていた。阪急では他にも伊丹線、箕面線でも看板車が走っているが、ここ今津線のものは伊丹、箕面両線で使用しているような単純な1枚ものの方向板ではなく、いわゆる"めくり板"と呼ばれる複数の運行系統に対応したものを使用しているのが特徴であった。西宮北口〜宝塚間を往復するだけの今津線で複数の行先とは、と思われるかもしれないが、上の写真の「宝塚〜西宮北口」のほかに「仁川〜西宮北口」が収録されており、阪神競馬開催時などに運転される仁川折返しの臨時列車に必要だったのである。
今津北線を舞台にした映画「阪急電車 〜片道15分の奇跡〜」(有川浩原作)では、撮影で3058編成が主に使用されたとのことで看板車が象徴的に登場しているが、9000系増備による玉突きの車両転属で、2011年9月をもって今津線は全て方向幕を装備している車両での運行となっている。
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