KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2017.06.19

京急電鉄では2002年より新1000形を導入しているが、このほど仕様を一部変更したマイナーチェンジ車両が2016年11月より走っている。この新1000形マイナーチェンジ車両について、特徴などを簡単にまとめてみよう。

X65964.jpg

京急新1000形 1607編成
2017.6.18/井土ヶ谷

▲先に登場したマイナーチェンジ仕様の6両編成は新しく1600番台に。外観が1800番台と同様になったほか、M1u1車(浦賀方から2両目の車両)にパンタグラフを増設した
京急の伝統と先進性を調和したマイナーチェンジ車両

新1000形16次車にあたるマイナーチェンジ車両の売り文句は、「"京急の伝統"と"先進性"の調和」。外観は1800番台で取り入れたように赤いボディに白い帯というデザインとし、従来の京急電車のイメージとした。また、各種機器類についても最新のトレンドを盛り込んだ仕様となっており、室内用や急行灯、計器類のLED化はもちろんのことヘッドライトについても京急初のLED前照灯を採用するなど、省エネ対策もばっちりなのが今どきの車両らしい。まさに伝統と先進性が共存する新しい新1000形といった感じである。

車内に入ってまず目につくのは、大型化された袖仕切りと車端部のクロスシート。車端部のクロスシートは片側だけではあるものの、2006年度の新1000形6次車(ステンレス車)から廃止されていたので、10年ぶりの復活になった。さらにこのクロスシート部分にサービス用のコンセントを設置。乗客が使用可能なコンセントは各社とも特急型車両では普及しつつあるが、通勤型車両では珍しい採用となった。

また、ドア上カモイ部のLCD案内表示器は1車両あたり3台ほど増やし、これらを韓国語と中国語案内用とした。このほか放送機器も改良されており、車両側面に2ヶ所ずつ車外スピーカーを新設したほか、乗務員室内に簡易自動放送装置を新たに搭載。この簡易自動放送装置は直通各線にも対応している模様である。

X64561.jpg

京急新1000形 車端部付近の様子
2017.3.17/**

▲車端部付近の様子。大型化された袖仕切りと車端部のクロスシートが目立つ。ドアの内側がステンレスむき出しで無くなったのも改良点
X64557.jpg

京急新1000形 車端部のクロスシート
2017.3.17/**

▲車端部のクロスシート部分。クロスシートの形状はアルミ車と同一の模様。コンセントは窓の下に設置
8両編成は床下機器類を一新

8両編成については床下の主要機器類も一新され、フルSiC適用のVVVFインバーター(三菱電機製)が採用された。折しも京成3000形でも3003編成にてSiC-VVVFの試験搭載が実施されているところであり、四直各線にもSiC素子の波がやってきた格好である。

一方、6両編成は1300番台と同じ従来のタイプのままになっている。6両編成では1367編成で東芝製の4in1VVVFインバーターならびに全閉型永久磁石同期電動機(PMSM)が採用されている1)が、まだ試用段階なのか今回の16次車では採用が見送られた。

番号については、先に登場した6両編成が新しく1600番台となったので、8両編成も1200番台になるかと思われたが、こちらは既存の車両からの続番になった。6両編成が1601編成、1607編成、8両編成が1177編成、1185編成となっている。6両編成と8両編成で番号の扱いに違いが生じているのはよくわからないところだが、番台を改めることはそれだけ使わない番号が発生するということでもあるので、もしかしたら8両編成はこの先100両以上製造するという予定があるということなのだろうか。

運用は今のところ京急線内のみ
D28510.jpg

京急新1000形 1185編成
2017.6.18/金沢文庫

▲​フルSiC適用のVVVFインバーターを採用して主要機器を一新したマイナーチェンジ仕様の8両編成。今のところ京急線内のみを走行

今回登場した16次車マイナーチェンジ車両は新1000形の最新型車両なので都営線や京成線、北総線はもちろん成田スカイアクセス線への直通運転にも対応しているはずである。ところが、都営線においてフルSiC適用のVVVFインバーターやLED前照灯の実績がないということなのか入線許可を得られていない状態のようで、今のところの運用範囲は京急線内のみ。日中時間帯は2000形に混ざって横浜方面のエアポート急行に使用されており、やや持て余した状態である。今なら京成本線直通の珍運用81Hもあるのだし、早いところ新1000形マイナーチェンジ車が京成方面で見られるのを願うばかり。

走行音

最後に、走行音を掲載する。

京急新1000形デハ1191 仲木戸→横浜

京急新1000形デハ1191 井土ヶ谷→弘明寺

関連記事

京急新1000形「京急リラックマトレイン」運行

リラックマと京急電車のコラボ企画。京急電鉄では、8月1日より「京急リラックマトレイン」の運転を行っている。これは京急電鉄がリラックマとコラボした「リラックマ×京急電車企画」によるもの...

京急新1000形「京急リラックマトレイン」運行
京急新1000形1800番台 直通運用へ

京急新1000形1800番台、運用範囲を拡大中。3月上旬に営業運転を開始した京急新1000形1800番台だが、6月中旬よりいよいよ都営線や京成線、北総線への直通運転に入っている。営業運転開始以来...

京急新1000形1800番台 直通運用へ
京急新1000形1800番台 登場

京急電鉄では2002年より新1000形を導入しているが、このほど車両デザインを一部変更した1800番台が登場した。3月4日より4両編成2本が営業運転に入っている。1800番台の最大の特徴は貫通形...

京急新1000形1800番台 登場
京急新1000形「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」登場

京急線に「幸せの黄色い電車」が現る。京急電鉄では、5月1日より新1000形1065編成を黄色に塗装した「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」の運行を開始した。同社の発表によれば...

京急新1000形「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」登場
京急新1000形6両編成 登場

京急では2002年より新1000形を導入しているが、このほど新1000形としては初めてとなる6両編成が登場した。1301編成が4月25日より、1307編成が5月2日より運用に入っている。京急に...

京急新1000形6両編成 登場

最新記事

北総7500形 『鉄道むすめ』コラボヘッドマークを掲出

2人の「まきの」がコラボレーション。北総鉄道では、11月中旬から12月上旬にかけて、7500形7503編成において『鉄道むすめ』ヘッドマークの掲出を実施した。伊豆箱根鉄道とのコラボレーション企画...

北総7500形 『鉄道むすめ』コラボヘッドマークを掲出
東洋バス路線図 2024年12月1日版

当Webサイトでは2024年5月に「東洋バス路線図2024年5月1日版」を公開していたところであるが、本稿において約7ヶ月ぶりとなる改訂版を発行する。東洋バスでは12月1日に路線の改廃を含む...

東洋バス路線図 2024年12月1日版
北総線 西白井駅で『ウマ娘 プリティーダービー』特別装飾を実施

「ウマ娘」たちが北総線西白井駅を駆ける。北総鉄道では、10月中旬より西白井駅において『ウマ娘 プリティーダービー(以下、ウマ娘)』の特別装飾を実施している。『ウマ娘』とは、株式会社Cygames...

北総線 西白井駅で『ウマ娘 プリティーダービー』特別装飾を実施
「都営フェスタ2024 in浅草線」開催

5年ぶりの祭典。11月30日、東京都交通局馬込車両検修場で車両基地公開イベント「都営フェスタ2024 in浅草線」が開催された。三田線の志村車両検修場と交互で概ね2年に1度に開催されるイベント...

「都営フェスタ2024 in浅草線」開催
京成電鉄 モーニングライナー・イブニングライナーの特急料金を改定

京成線、モーニングライナーとイブニングライナーを実質値上げ。11月23日、京成電鉄では京成本線で運行している座席指定制の特急列車モーニングライナーとイブニングライナーの特急料金の改定を実施した...

京成電鉄 モーニングライナー・イブニングライナーの特急料金を改定