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2018.05.10

新年度が始まって早1ヶ月。大型連休も終わってしまい、なんとなく憂鬱な気分の中で鉄道趣味界隈におけるこの時期の楽しみといえば、各社から発表される鉄道事業設備投資計画であろう。京成電鉄でも8日の夜に発表1)があったところなので、これを読んで今後の動きを探ってみよう。

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京成3000形 3027編成
2016.4.24/実籾〜八千代台

▲今年度は8両編成2本、6両編成2本が導入される3000形。少なくとも3042編成まで登場することが確定になった
車両関連 - 3000形を導入 ほか

車両についての内容は以下のとおりである(主な内容を抜粋)。

  • 3000形を導入(8両編成2本+6両編成2本)
  • 3000形、3700形のドア上カモイ部のLED案内表示器をLCDに更新
  • 3700形、3400形にスタンションポールを設置
  • 来年度以降に導入する新形通勤型車両の設計に着手

今年度も引き続き3000形を導入する。内訳は8両編成と6両編成が2本ずつとなっており、2年ぶりに6両編成の新車が登場する予定である。結論から言うと、この6両編成2本の使い道が今年度の車両の動きのポイントになりそうな感じ。これらはもちろん単純に6両編成の経年車2本、すなわち6両編成を組成している3500形2本の置換え用ということも考えられるが、プレスリリースを読み進めていくとどうもそうにはならなさそうなのだ。

まず注目したいのが輸送力の増加というキーワード。今年度の新車導入により、金町線・東成田線以外の全列車を6両編成以上で運行することが可能となるとのこと。来たるダイヤ改正において、4両編成の列車のさらなる削減が実施されそうな書きぶりである。現行ダイヤにおける4両編成の本数は予備を含めて6本となっているが、金町線・東成田線の運用を回すのに必要な4本2)を残しながら、京成本線と千葉・千原線にわずかに残る4両編成の列車の6両編成化が見込まれる。

京成ではここ数年のダイヤ改正で4両編成を可能な限り削減してきたが、それは3500形の編成組換えとダイヤの工夫という合わせ技によって実施したものであった。しかし今回、プレスリリースの輸送力の増強という文言は、新車で導入する3000形6両編成2本を充てて4両編成の6両編成化を行うということを示唆している。これは前述の、4両編成6本のうちの2本の6両編成化の本数とも一致しており、6両編成2本による4両編成2本の置換えで少なくとも4両分が純増になる可能性がある。

また、近年の傾向では新造した車両の数と同じ分の車両を廃車としていたが、2017年度は導入した3000形8両編成3本の24両分が京成と北総で合わせてそのまま純増になるという異例な動きとなったのは記憶に新しいところである。この24両はデジタル無線導入に伴う車両改修を実施するための予備車確保のためとみられるが(詳しくは7828編成の記事を参照)、現在の京成の車両の陣容では8両編成の予備車を6両編成あるいは4両編成の予備車とすることができない3)ことから、デジタル無線導入に伴う車両改修のために6両編成の予備車の導入も必要になるものと思われる。今年度に導入される3000形6両編成2本を前述の4両編成の列車削減用(輸送力の増強用)とデジタル無線導入に伴う予備車を兼ねたものと考えるならば、昨年度の8両編成の例を踏まえれば4両分どころか12両分が丸々純増になる可能性さえありそうだ。

他方、8両編成は前述のとおり昨年度の新車でデジタル無線導入に伴う予備車が確保されているので、今年度に導入される8両編成2本は単純に経年車の置換え用とみられる。3400形にはスタンションポールが付くようなので、廃車の対象はやはり3600形になるだろうか。

そして、例年なら「また3000形が増えるのかよ・・・」で終わってしまいそうなところ、ここにきて新形通勤型車両という文言が飛んできた。ビッグニュースである。来年度以降の導入に向けて設計に着手とあるので、近いうちに新形式の車両が登場するのは間違いなさそうな雰囲気。2002年度より16年間にわたり製造され4)、一大勢力となった3000形の増備がまもなく終了を迎えようとしている。

駅・設備関連 - 上野駅のリニューアル工事が完了 ほか

続いて駅・設備関連を見てみよう(主な内容を抜粋)。

  • 上野駅のリニューアル工事が完了
  • 日暮里駅(0番線)と空港第2ビル駅にホームドアを設置
  • 非常停止ボタン5)のC-ATS連動化
  • デジタル方式の列車無線装置への更新
  • 立石駅付近の連続立体交差化工事の推進
  • 検見川駅と菅野駅をバリアフリー化
  • 列車走行位置情報の配信

車両の動きに大きな影響を及ぼしているデジタル方式の列車無線装置への更新がプレスリリースに初登場。今年度に入ってから実車にも動きが出てきており、このほど3001編成がデジタル無線の準備とみられる工事が施工されている。

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京成3000形 デジタル無線のアンテナ台座
2018.5.5/**

▲先頭車両の屋根上に真新しいアンテナ台座がお目見えした3001編成。アンテナ本体の姿はないので、とりあえず準備段階ということだろうか

このほか、日暮里駅の0番線と空港第2ビル駅にホームドアが設置される。日暮里駅の0番線は当初固定柵の予定だったが、ホームドアに計画が変更になっている。日暮里駅0番線と空港第2ビル駅に共通するのは、一般型車両とAE形でホームを共用しているということ。扉の位置が異なるこれらの車両に対して、どのような格好のホームドアが設置されるかどうか気になるところである。

※5/11多少加筆しました

  • 1)2018年度 鉄道事業設備投資計画(pdf)
  • 2)4両編成4本で金町線と東成田線+芝山鉄道線の運用を回す場合、考えられる運用の例→1:終日金町線、2:終日金町線→宗吾回送(夜)、3:東成田線+芝山鉄道線(現行81運行)、3':宗吾→高砂回送(夜)。3は午前中のみの運用、3'は夜だけなので、3と3'は同一編成の充当が可能。
  • 3)現在、常用している8両編成が全て8両固定編成のため。逆に、6両編成あるいは4両編成の予備車を8両編成として使うことは可能で、3500形のいわゆる突発8両がその例。
  • 4)3050形を含む。ただし2008年度と2011年度は製造なし。
  • 5)従来は「非常通報ボタン」と称していたが、4月1日より「非常停止ボタン」に名称変更。

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