2018.02.24
2017年度も年度末に近づくにつれ、京成電鉄や京成グループで車両の動きが出てきている。北総鉄道では、7800形7828編成が登場した。
7800形7828編成は京成3700形のリース車両となっている。車両番号の変更は次の通り。
3778-3777-3776-3775-3774-3773-3772-3771
↓
7828-7827-7826-7825-7824-7823-7822-7821
上記の通り、7828編成はもと3778編成である。3778編成は2月5日のS11運行1)をもって京成車としての運用を終了。その後、宗吾車両基地において転属に伴う整備を行なった。北総仕様への改造については、車両番号のプレートなどに細かな違いが見られるものの、これまでの7800形と同様。帯の貼換えや行先表示器のROMの書換えなどが行われて、北総車として生まれ変わった。
改造を終えた3778編成改め7828編成は、24日の93N運行で印旛車両基地へ回送。何もなければ近日中にも営業運転に入るものとみられる。
◆ ◆ ◆
さて、7800形としては3編成目となった7828編成だが、ご存知の通り7800形は過去に経年となっていたリース車両を置き換えてきた車両である。7808編成は7050形7094+7054編成を、7818編成は7260形をそれぞれ置き換えた。また、昨年度に京成電鉄から千葉ニュータウン鉄道へのリースによって登場した9800形も、9000形9018編成の廃車に伴うものであった。
ところが、今回は置き換えられるべき車両が不在という状況だ。北総鉄道が管理する車両としては、昨年度の9000形の引退によって全て平成生まれの車両2)となっており、特にこれといって経年の車両は見当たらない。それだけに、3778編成→7828編成という動きは異例中の異例とも言えるできごと。いったい何が起きようとしているのだろうか。
京成電鉄が先ごろ2月9日に提出した四半期報告書3)にヒントがある。この中で気になるのは、重要な設備の新設等の計画における列車無線設備更新という記載。同社が2016年3月に発表した中期経営計画「E3プラン」の中に盛り込んでいたデジタル列車無線の導入が、いよいよ具体的に動き出すようなのだ。京成において列車無線の更新があるならば、直通している北総にも何らかの動きがあるのは自明であろう。
都営浅草線を中心とするいわゆる四直において、デジタル列車無線の導入が先行しているのは京急電鉄である。京急線では2015年7月よりデジタル列車無線の使用を開始4)、合わせてデジタル列車無線用のアンテナを搭載した車両も出現してきている。このように、デジタル列車無線の導入においては地上の設備更新だけでなく、車上の無線装置やアンテナの新設といった車両側の改修も必要になる。
デジタル列車無線の導入に係わる車両側の改修がどの程度のものになるのか、どのようにして施工していくのかは、実際に工事が始まってみないとよくわからないところ。しかし、車両側の改修を行うにあたり、現行の車両数では車両が足りなくなるのは確かと言える。京急の例からすると改修工事は1〜2日そこらで終わるようなものではなさそうで、車両を順繰りに改修していくとしても、全般検査や重要部検査などで離脱する車両のほかに、常にいずれかの車両が無線の改修工事で離脱した状態になるためだ5)。
したがって、今回の3778編成→7828編成という動きは、北総におけるデジタル列車無線の導入に係わる予備車の確保とみられる。北総車は7828編成の導入分が純増となり、一時的に13編成になる。また、デジタル列車無線の導入で予備車の確保が必要なのは京成も同じなので、京成としても3037編成、3038編成の導入分が純増になる可能性がある。すなわち、今年度は廃車が発生しない、ということも考えられよう。
前出の四半期報告書によれば、無線設備の更新は2018年3月から始まり、2023年3月で完了の予定とされている。この5年間については、例年とは異なる車両の動きが展開されるかもしれないので、車両の動きについては引き続き注視していきたいところである。
※2/25記事修正
- 1)本来であれば8A24レで宗吾車両基地に入庫するはずだったが、この日は東中山駅における人身事故によるダイヤ乱れのため、運行途中でA03運行に振替えになり8A02レとして
京成津田沼まで走った模様。京成津田沼到着後、八千代台まで走った模様。八千代台到着後、折返しS11臨時回送で宗吾参道△。 - 2)現在、北総鉄道が管理する車両で最も古いのは、1991年にデビューした7300形7308・7318編成。
- 3)四半期報告書 - 第175期第3四半期(平成29年10月1日〜平成29年12月31日)
- 4)現行のIR無線と併用。デジタル無線を使うのは改修済みの車両のみ。
- 5)全般検査や重要部検査のタイミングに合わせて施工という可能性もあるが、この場合は入場期間がその分だけ延びるので、いずれにせよ現行の車両数では回せなくなる。
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