2020.12.18
京成線の4両編成の今。
2018年12月ダイヤ修正で大幅な削減が実施された京成線の4両編成。今やすっかり影が薄くなり、見かける機会も少なくなった4両編成の現在の状況を少しばかり整理しておこう。
4両編成の定期運用は金町線と東成田線、芝山鉄道線のみ
まずは2018年12月ダイヤ修正以降、4両編成がどこを走っているか確認しておこう。現在のダイヤで4両編成の定期運用が設定されているのは、金町線と宗吾参道〜芝山千代田(京成本線の末端部と東成田線、芝山鉄道線)のみとなっている。運用数は金町線が2本、宗吾参道〜芝山千代田の区間運用が1本の計3本。それぞれの運用の詳細は後述するが、4両編成はまさに必要最低限を残しているといった状態だ。
臨時列車やダイヤが乱れたときなどには上記以外の区間である京成上野や成田空港、押上線や千葉・千原線にも入ることがあるので、定期運用区間外においても停車目標など4両編成の運転に必要な設備は残されている。成田スカイアクセス線は開業以来4両編成の運転実績が1度もない1)。
これに対して、4両編成の車両は5本ある。京成3500形3本、3600形1本、芝山鉄道3500形1本である。京成3500形は2両単位で編成を組み換えることが可能だが、ここ数年は3516編成と3524編成、3536編成が4両編成として定着している。3600形は2017年2月より4両編成になった3668編成が該当する。芝山鉄道3500形は2013年4月に京成からリースされた3540編成が京成の4両編成に混ざって走る。
検査による離脱や3500形の編成組み換えで多少の増減はあるが、基本的にはこの4両編成5本で3本の運用を回している。これらは形式や所属の違いにかかわらず、共通運用となっている。
以下、それぞれの運用について少し細かく見ていこう。
金町線71、73運行
4両編成しか対応していない京成金町駅有する金町線は4両編成の主戦場となっており、71運行と73運行の2本の終日運用が設定されている。今や4両編成の終日運用はこの2本のみ。かつては本線や押上線から金町線に直通する列車もあったが、2010年7月の京成高砂駅5番線(金町線専用ホーム)の新設に伴い、運転系統を完全に分離。以降、現在に至るまで4両編成2本が線内をひたすら往復するという体制が続いている。
京成高砂駅5番線入庫で停泊する73運行が翌日の71運行として出庫することから、金町線に入った車両は必ず2日連続で同線を走るような運用が組まれている。ただし、臨時の車両交換や、花火開催時などの増発ダイヤを実施した場合はこの限りではない。
逆説的には、京成は金町線のために4両編成を残しているとも言える。そうであるならば、京成金町駅を6両編成に対応しさえすれば4両編成をなくすことができると考えられるが、これがまたなかなか難しい。京成金町駅のホームのすぐ脇には踏切(柴又第6号踏切)があるし、車止めの先には商店街。それなら高架化だと思って空を見上げれば国道6号の高架橋が、地下化しようにも金町浄水場につながる水道管がそれぞれ邪魔をしていて、まさしく八方塞がりの状態になっている。
東成田線・芝山鉄道線81運行
宗吾参道〜芝山千代田を走る4両編成が平日に1本のみ、81運行として設定されている。現在のダイヤでは4両編成が京成本線を走る唯一の定期運用となっている。81運行がどれくらい走るかはその時々のダイヤで異なる。2013年10月ダイヤ修正での運用新設当時は1往復のみというさみしい状態だったが、翌2014年11月ダイヤ改正で2往復になる。その後再び1往復に戻るが、2019年10月ダイヤ改正では一挙4往復もするようになった。いずれにせよ午前中には入庫してしまう、なんとも気楽な運用である。
上の写真は81運行に入る3668編成をたまたま捉えたものだが、運用の性質上、芝山鉄道に籍を置く3540編成が充当することが多い。
臨時回送83運行
83運行は京成高砂〜宗吾参道で設定されている臨時回送である。前述のように4両編成の運用範囲は2018年12月ダイヤ修正で金町線と宗吾参道以東のみとなったが、これにより高砂検車区と宗吾車両基地の間で4両編成の定期的な車両のやりとりがなくなってしまった。こうした中、運用上言わば孤立した状態となった金町線の4両編成の送り込みと返却のため、新設された運用である。
京成高砂→宗吾参道が午前中に、宗吾参道→京成高砂が夜間に運転される。運行番号は一見すると定期列車のようだが、不定期列車として設定されており、車両のやりくりの中で必要な時にだけ運転される。
動揺測定S73運行
変わり種としては、動揺測定のS73運行が4両編成で運転されている。動揺測定については過去の記事でも紹介しているので詳細は省くが、金町線と成田スカイアクセス線を除く京成全線を1日で踏破する業務用の不定期列車である。
現在の行路には金町線が含まれていないので6両編成で運転しても問題なさそうだが、ほかに何か理由があるのか依然として4両編成が使われている。かつては3200形や3300形で運転されていたが、今は専ら3500形更新車がその任に就いている。4両編成が京成上野や成田空港、押上、ちはら台に入るのはよほどのことがない限り動揺測定だけなので、動揺測定は4両編成に貴重な機会を与えてくれている。不定期列車ではあるが、4両編成の花形運用と言えるだろう。
- 1)京成高砂〜印旛日本医大では北総線列車として実績がある。
関連記事
まだまだ頑張る京成3500形更新車
まだまだ頑張る京成3500形更新車。京成では現在3100形の導入と、3600形と3400形の廃車が進められていることは車両の動きでもお伝えしているとおりである。そんな3600形や3400形を...
京成線 2018年12月8日ダイヤ修正
京成電鉄では、12月8日にダイヤ修正を行う。今回のダイヤ修正について、京成電鉄と直通各社のプレスリリース、および12月7日発売の京成時刻表などを参照しながら、今回のダイヤ修正の内容を見てみよう...
京成3500形3532編成 営業運転終了
3500形更新車に初の廃車が発生。京成3000形3039編成・3040編成の導入により、3500形3532編成が営業運転を終了した。廃車とされたのは9月末だった模様だが、9月11日に3039編成...
芝山鉄道3500形 京成金町線を走る
京成金町線を走る3500形。一見すると何ら変哲のないごく普通の日常のように映るけれども、よく見たら番号が3540だし、車体の側面には緑色のプレートと成田空港の広告がチラチラ見えとるし...
京成3600形3668編成 金町線を走る
金町線に還ってきた、我らがアイドル京成3600形3668編成。2016年度末に中間車両の3608-3601が廃車され、4両編成になった3668編成。4両編成になったということで金町線の運用にも...
おすすめの記事
2024.07.20
四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...
2024.07.15
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...
2024.07.10
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...
2024.07.04
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」
「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...
2024.06.30
北総車の京急線内特急運転が復活
約19年ぶりに復活した北総車の京急線内特急運転を見る。京急線に大きな変化をもたらした2022年11月ダイヤ改正。京急自ら「23年ぶりの大改正」としたこのダイヤ改正では、特に日中時間帯の運行...