京成線 4両編成の現況(2025年)
2025.02.10
京成線の4両編成の今。

京成3600形 3668編成
2023.2.24/京成高砂〜柴又
京成線にわずかに残る4両編成。弊サイトでは2020年12月にもその運用状況をレポートしたところだが、2022年11月ダイヤ改正におけるワンマン運転開始や新型車両3200形の導入など、4両編成を取り巻く状況は大きく変化している。このあたりで改めて、京成線の4両編成の状況について整理しておこう。
※2020年12月の記事はこちら
京成本線と千葉・千原線で4両編成の定期運用が復活
京成線の4両編成について、最近の最も大きなトピックは何と言っても2022年11月ダイヤ改正でのワンマン運転開始である。ワンマン運転の対象を金町線と千原線、東成田線、芝山鉄道線としたことで、千葉・千原線とそれに付随する格好で京成本線に4両編成の定期運用が復活。2018年12月ダイヤ改正で極限まで縮小された4両編成は、再び拡大に転じた。
運用数は金町線が2本、千葉・千原線と京成本線で1本、東成田線と芝山鉄道線で1本の計4本となっている。対して4両編成は5本しかいないので、車両運用は意外にカツカツ。特に、京成高砂〜宗吾参道の臨時回送が走る際には4両編成5本がフル稼働となる。検査などで4両編成が1本でも長期離脱した際には運用が回らなくなる場合があるので、4両編成の運用を6両編成が代走することがある。

京成線 4両編成の運用範囲(2025年2月現在)
現在、4両編成として走ってるのは、3500形3508編成と3516編成、3544編成、芝山鉄道に籍を置く3540編成、3600形3668編成である。いずれの編成も、ワンマン運転開始に合わせてワンマン運転を実施するための改造を行っている。以前は3500形の編成組み換えによって4両編成の顔ぶれに多少変化が生じることがあったが、デジタル列車無線への移行やワンマン運転の実施の影響で近ごろは編成組み換えをほとんどしなくなったため、これら5編成は事実上の4両固定編成となっている。
なお、まもなく4両編成としても運用可能な新型車両3200形がデビューを控えているが、3200形はまず6両組成の3500形を先行して置き換えていきそうな雰囲気なので、3200形が4両編成として走るのは早くとも2〜3年後になるだろうか。
以下、それぞれの運用について少し細かく見ていこう。
金町線71、73運行
4両編成しか対応していない京成金町駅有する金町線は4両編成の主戦場となっており、71運行と73運行の2本の終日運用が設定されている。運用は基本的に線内で完結しており、2010年5月の金町線運用分離以来、4両編成2本が京成高砂〜京成金町をひたすら往復するという体制が続いている。京成高砂では金町線専用ホームとなる5番線で折返しを行うほか、同ホームで4両編成唯一となる車庫外停泊が設定されていて、金町線の運用に入った編成は必ず2日連続で同線を走る運用が組まれている。
2022年11月ダイヤ改正では一部時間帯でワンマン運転が始まったものの、運用そのものに変化はない。ワンマン運転開始に伴う変化といえば行先・種別表示が変わったことくらいで、「京成高砂⇔京成金町」という矢印付きの行先表示は、他のワンマン運転を行う線区では見られない金町線だけの特徴になっている。
このほか、大晦日から元日にかけて実施される終夜運転において、押上線への直通列車が走るようになったことも4両編成の大きな話題であろう。都営浅草線で終夜運転が実施されなくなったこと終夜運転において都営浅草線との直通運転を行わなくなったことに伴って2021年〜2022年の大晦日終夜運転ダイヤから実施されているもので、普段は金町線内に封じ込められている4両編成2本が終夜運転に限って、押上まで足を伸ばす。動揺測定(後述)が6両編成で運転されるようになった今となっては4両編成にとっての押上線への貴重な入線機会であるほか、普段は回送列車しか走らない京成高砂(地上)〜柴又の連絡線に乗車できる数少ないチャンスにもなっている。
千葉・千原線B51運行
ワンマン運転が開始された2022年11月ダイヤ改正で、4両編成復権の象徴となったのが千葉・千原線を走るB51運行である。千原線でワンマン運転を行うために設定されたもので、2018年12月ダイヤ改正で消滅していた千葉・千原線の4両編成が約4年ぶりに復活することとなった。

京成3500形 3508編成
2024.11.22/京成幕張本郷〜京成幕張
いちおう4両編成ということで、朝夕のラッシュ時間帯を避ける格好で日中の閑散時間帯のみの運用となっているのが特徴で、走るのはワンマン運転が行われる9時台から16時台だけとなっている。ラッシュ時間帯のみの運用となっていた以前のB51運行(消滅末期)とは対照的である。後述の51運行と一体的な運用が組まれており、B51運行充当車は宗吾車両基地からやってきて宗吾車両基地に帰っていく。
京成本線51運行

京成3500形 3544編成
2024.7.26/京成臼井〜京成佐倉
51運行は、京成本線京成津田沼〜宗吾参道で設定されている運用である。前述のB51運行とともに設定されたもので、千葉・千原線で運転されるB51運行への宗吾車両基地からの送り込みと入庫のために運転される。したがって、運転されるのは午前中の上り列車と夕方の下り列車のそれぞれ1本のみ。種別はいずれも回送である。一般の旅客は乗車することはできないが、京成本線でも4両編成の定期運用が再び見られるようになった。
東成田線・芝山鉄道線81運行
東成田線と芝山鉄道線を走る4両編成の運用として設定されているのが81運行である。2018年12月ダイヤ改正時点では、平日午前中に数往復だけして早々に入庫してしまう寂しい運用だったが、2022年11月ダイヤ改正でのワンマン運転開始に伴い運転時間帯が大幅拡大。平日は16時台まで走るようになったほか、従来は運用のなかった土休日も走るようになった。運用の性質上、芝山鉄道所属の3540編成が充当することが多い。

京成3500形 3544編成
2025.2.3/京成成田
なお、ワンマン運転を行う関係で、従来は宗吾参道から普通芝山千代田行として営業運転を行っていた出庫列車は、回送での出庫に変更されている。宗吾参道→京成成田で乗車することができなくなった。
臨時回送83運行
83運行は、京成高砂〜宗吾参道で設定されている不定期回送である。運用として直接的な繋がりのない宗吾車両基地と高砂車庫の間で車両の移動が必要な際に、運転される。ごくまれに、運用調整などで4両編成以外もこの運用を活用して臨時回送が実施されることがある。
そのほか
以前の記事の掲載時点(2020年12月)で4両編成の列車の運転実績のなかった成田スカイアクセス線は、2024年になって3200形導入に伴う試運転が同線内で4両編成で実施されたため、事例が生じている。また、金町線と成田スカイアクセス線を除く京成全線を試運転として走り回る動揺測定S73運行は、2023年から6両編成で運転されるようになり、現在は4両編成が充当されることはなくなっている。
※2/22記事訂正
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