2022.10.14
祝・快速と通勤特急、運行開始から20周年。
今から20年前となる2002年10月12日に実施されたダイヤ改正は、京成史上でもまれに見る大きなものであった。通勤特急を新設してラッシュ時間帯の運行パターンを一新。押上線を除いて急行を廃止し、準速達の種別として快速が新たに走り出した。その後、京成線のダイヤは2006年12月の快特(現・快速特急)新設、2010年7月の成田スカイアクセス線開業、2022年2月の日中時間帯における特急運転取り止めなどで時代とともに形を変えているが、いずれにおいてもベースにあるのは2002年10月のダイヤであり、大きく言えば2002年10月の体制が現在まで続いているのである。
というわけで、現行の快速と通勤特急は今年で運行開始から丸20年となった。いまやすっかりとベテランの域に達している快速と通勤特急の20年間を振り返ってみよう。まずは快速編。
※以下、種別における飛行機マークを(飛)と表記している。
快速という種別
快速は京成本線ならびに押上線、都営浅草線直通の新たな準速達列車として誕生した。当初の停車駅は京成上野、日暮里、青砥、京成高砂、京成小岩、京成八幡、東中山、京成船橋、船橋競馬場、京成津田沼、京成津田沼以東の各駅と押上で、2010年7月ダイヤ改正で千住大橋が停車駅に加わっている。種別色は今やお馴染みのピンク色だが、運行開始当初は違和感しかなかった。
快速新設の意図は、それまでの急行に代わって走り出したことからも明らかなように、ひとえに急行のリニューアル、速達化であった。急行は、現行の快速停車駅に加えて町屋と堀切菖蒲園、国府台、市川真間、谷津、京成曳舟、京成立石に停まっていたのでとにかく鈍足。そもそもその停車駅はそれ以前の急行三種(○急、台形急行、通勤急行)それぞれの停車駅を単純に足し合わせただけだったので深い意味はなく、時代にも合わなくなっていたのである。
なお、当初は都営浅草線内をエアポート快特として走る上り快速に対して、飛行機マークを付した「(飛)快速」という種別もあった。種別色は当時のエアポート快特に合わせた緑色で、駅や車内に掲出される「停車駅のご案内」においても(飛)快速は独立した種別として描かれていた。
2010年7月ダイヤ改正で日中時間帯の快速が羽田空港発着から西馬込発着に変更されると、(飛)快速は早朝の1本を残して消滅。結局、2013年10月ダイヤ修正で種別の飛行機マークの使用は取り止められることになり、(飛)アクセス特急とともに廃止された。
運行区間の変遷
快速について興味深いのは、特に日中時間帯の都営浅草線直通の列車について何度かのダイヤ改正を経て運行区間が変化していったこと。それは、快速の準速達列車という性質ゆえだと思うが、どう変わっていったのかを以下に羅列する。
- 2002年10月ダイヤ改正・・・設定当初の日中時間帯の快速は羽田空港〜京成成田(一部成田空港)の運行を基本としていた。一部に成田空港行が設定されていたが、それはそれまで走っていた羽田空港〜成田空港間直通特急の名残。ただし、逆方向となる成田空港始発の列車はなかった。
- 2006年10月ダイヤ改正・・・京成本線末端側の輸送力調整のため、京成佐倉折返しに変更した。合わせて、特急を京成佐倉〜京成成田で各駅停車化。「成田空港方面佐倉」なるへんてこな方向幕が生まれたのはこの時だった。
- 2010年7月ダイヤ改正・・・西馬込発着に変更。成田スカイアクセス線開業で登場したアクセス特急を羽田空港発着としたため。
- 2019年10月ダイヤ改正・・・京成本線特急の半分が京成成田発着の快速特急に変更され、京成佐倉折返しの快速の半分が成田空港まで延長された。
- 2022年2月ダイヤ改正・・・日中時間帯の京成本線特急の運転取り止めに伴い、もう半分の快速も成田空港発着に変更。都営浅草線直通の快速は基本的に西馬込〜成田空港を走るようになった。なお、京成本線特急は京成佐倉発着の快速に格下げされたため、西馬込発着の列車と合わせて40分に3本の快速が走るようになっている。
重要度が高まる快速
以上、快速の20年間を簡単に俯瞰してみた。こうして振り返ってみると、快速は輸送力の調整役として重宝されているように見受けられる。特に、2022年2月ダイヤ改正では前述のように京成本線特急の格下げで日中時間帯に京成上野〜京成佐倉を走る快速が新たに設定されたほか、平日夜間ラッシュ時間帯においても都営浅草線からの快速が登場、下り最終列車も京成上野からの快速になるなど、本数が一気に増加。新型コロナウイルス感染症の影響で利用状況が流動的な中で、快速の存在感が増している。
快速というとどうしても特急や快速特急、アクセス特急などのより速い種別の脇役という印象は拭えないが、花形が輝くのは快速のような脇役があってこそ。快速にはこれからも京成線の名バイプレーヤーとして沿線の利便を支えてもらいたいものである。
(つづく)
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