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2022.11.25

さようなら、北総急行。

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北総7500形 7501編成
2015.8.19/東松戸

▲今回のダイヤ改正で廃止となる北総線の急行。写真のような北総車の北総急行は2015年12月ダイヤ改正で消滅したっきり、復活することなく終焉を迎えることになる
  • [平日]1723N 急行印旛日本医大
  • 始発:羽田空港国内線ターミナル1742 → 終着:印旛日本医大1920
  • ダイヤ:2014.11.8改正
  • 備考:品川までエアポート急行、京成高砂まで快速

まもなくダイヤ改正が実施される。ダイヤ改正直前の四直珍列車研究は、恒例の消えてしまう珍列車のご紹介。今回は、ダイヤ改正で廃止となる北総線の急行列車(北総急行)を惜別企画として特集しようと思う。最終的には下り2本のみ、存在そのものが珍列車と化していた北総急行のこれまでを簡単に振り返ってみよう。

拡充期:1993年4月〜2010年7月

北総急行が登場したのは、北総線の2期線(京成高砂〜新鎌ヶ谷)開業から2年後の1993年4月ダイヤ改正のこと。平日朝ラッシュ時間帯の所要時間短縮を目的に、上り普通5本を急行に格上げしたのが最初だった。平日夜間に運転される下り急行は1995年4月ダイヤ改正での登場。こちらは3本のみで、18時台後半から20時台前半の比較的早い時間帯に設定されていたのが特徴であった。停車駅は当初京成高砂、新柴又、矢切、新鎌ヶ谷以遠の各駅で、2009年2月より東松戸にも停車するようになる。

2001年9月ダイヤ改正では、京成押上線八広駅の待避線完成に伴って京成線内も特急運転を行う北総特急を新設。上り北総急行は全てこの特急に格上げされる格好で消滅となった。一方の下り北総急行は急行のまま増強され、運転時間帯を22時台まで拡大する格好で列車の本数が6本に倍増した。

さらに、2002年10月ダイヤ改正で北総急行の一部が京成線内も急行運転をするようになり、さらなる速達化が図られた。この京成線内の急行運転は、2010年7月ダイヤ改正での京成線の急行全廃により種別が快速に変更されることとなるが、今にしてみればこの頃が下り北総急行の最盛期だったように思う。

衰退期:2012年10月〜2022年11月

2012年10月ダイヤ改正では、下り北総急行のうち1本だけ京成線内を普通として走っていた列車が北総線内の急行運転を取り止め。北総急行は1本減って、5本体制となる。これにより、全ての下り北総急行が京成線内で快速となって運行パターンは単純化されたものの、急行運転の取りやめで乗車機会を均等にする流れはこの時から始まっていた??

そして、北総急行の行く末を決定づけたのは、やはり2015年12月ダイヤ改正であろう。このダイヤ改正では夜間下りにおいても特急を設定したことで、全体的な利便性が向上。しかし、北総急行にしてみれば運転縮小、3本体制に逆戻りした。しかも、京成線内の快速運転も取り止められたため、一気に中途半端な存在になったのは否めなかった。

この後しばらく北総急行は3本のまま推移するが、2022年2月ダイヤ改正で2本に削減。そして、今回のダイヤ改正で北総急行はついに全廃されることとなる。

◆ ◆ ◆

というわけで、北総急行のこれまでを簡単に振り返ってみた。その上で、北総急行廃止の要因は、ひとえに北総急行そのものが時代に合わなくなってきたからと言えそう。北総急行の設定から30年近く経つが、30年もすれば街も人の流れも変わってくるというもの。その中で、当初は急行を停車させる価値がないと判定されたがゆえの急行通過駅でも、急行が通過することによる弊害もいろいろと出てきているのであろう。急行運転の取りやめによる乗車機会の均等化は、まさにその結果である。北総急行は役割を終えたのだ。

とはいえ、北総急行がなかったら北総特急もなかっただろうし、北総急行が北総線の発展に寄与した列車であることは間違いないはず。設定から29年7ヶ月、本当にご苦労さまである。

なお、冒頭の写真は2014年11月のダイヤにおける1723N急行印旛日本医大行である。当時3本あった北総車の北総急行のうちの1本だったが、翌2015年12月ダイヤ改正で3本全てが他社局車への運用持ち替えや特急格上げにより消滅。結果的に、北総車の北総急行は2014年11月のダイヤが最後となり、復活することなく終焉を迎えることとなった。

2015年12月以降、北総急行は都営車あるいは京急車のみでの運転となるわけだが、自社の列車のはずなのに自社の車両で見られないなんとも言えないもどかしさも、相互直通運転の面白さのひとつだったりして?

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