2015.05.22
バルセロナその4。路面電車に乗ってみましたよっ。
バルセロナもかつては路面電車が市中を走り回る都市だったが、地下鉄網の拡充等により1970年代までに全路線が廃止となった過去を持つ。今日、バルセロナの街を走っている路面電車は2004年に"復活"したもの。1990年代後半より、環境に対する意識の高まりやストラスブールの成功などをきっかけにして特に西欧で路面電車の復権の動きが見られていたが、バルセロナはまさにその時流に乗ったものだと言えるだろう。バルセロナの路面電車では車両は全て新型の低床車で統一され、各停留所には券売機が設置されているなど、LRTのお手本のような構成となっている。
ただし、バルセロナの路面電車は市内中心部には乗入れていないという特徴を持つ。路線網は大きく2つ存在しており、Francesc Macià(フランセスク・マシア広場)を起点として西の方面へ走るT1〜T3系統、Ciutadella | Vila Olímpica(シウタデリャ・オリンピック村)を起点に北東の方面へ走るT4〜T6系統がある。いずれも起点は市内中心部から少し外れたところにあり、地下鉄やバスからの乗り継ぎを前提にしているものとみられる。なお、これらはちょうどバルセロナの市街を斜めに横断するディアゴナル大通りの互いに反対方向に位置しているので、ディアゴナル大通り上に線路を敷設してT1〜T3とT4〜T6を連結する計画もあるようだが、実現には至っていない。このように市内中心部には乗入れておらず、また沿線にもこれといった観光スポットはないので、今のところバルセロナの路面電車はほとんど地元の人々の乗り物といった趣きとなっている。
運賃は以前の記事でご紹介したように地下鉄やバスと共通となっており、全線がゾーン制の1 zone内に含まれているので、実質的には均一運賃である。チケットを各停留所に設けられている券売機にて事前に購入し、乗車時に車内に備え付けられている刻印機に乗客自らがチケットを通すといういわゆる信用乗車制になっている。前述のように路面電車は市内中心部に乗入れていないということで必然的に電車やバスとの乗り継ぎが前提となっているが、1 zone用のチケットはチケットへの刻印から1時間15分間有効なので、この時間内に目的地に到達すればいくら地下鉄やバスを乗り継いでもチケットの使用は1回分で済むようになっている。やはり乗り継ぎが前提ならば運賃は通しで計算するのが道理であり、チケットの効力が時間によって定められているのは複雑なネットワークを有する都市部の交通では有用に思われる。
車両はフランスのAlstom製で、AlstomにてCitadis(シタディス)というシリーズで世界中に展開している低床トラムである。バルセロナでは5連接の302というタイプが使用されている。ホワイトとグリーンを貴重としたおちつきのあるデザインは緑の多いバルセロナの街ともマッチしていて、とてもいい感じ。こうした最新型の低床トラムが走ることで、街全体もよりお洒落に感じられる。
例によって走行音を録ってきたので、掲載する。
バルセロナ市電211-52 Auditori/Teatre Nacional→Glòries
バルセロナ市電211-52 Fluvià→Selva de Mar
なおCitadisについては、JR東日本グループの総合車両製作所とAlstomが日本国内での導入にむけた協力体制構築に関する覚書を締結しているようが、今のところ日本での導入事例はない。おりしも宇都宮市が市内の基幹交通としてLRTの導入を推し進めているが、同市のLRTあたりにはCitadisがボリューム的にもちょうどいい車両なんじゃないかと勝手に思っている。ぜひとも採用してくれませんですかねえ。
このほか、Tramvia Blau(青い路面電車)というかつてバルセロナを走っていた路面電車を動態保存的に残して営業している短い路線があるようだが、今回はノータッチ。
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