KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2017.12.31

​まもなく2017年が終わろうとしている。本年最後の記事として今年に登場したヘンテコ電車の話題を取り上げて、2017年を締めくくろう。

D29365.jpg

北総9800形 9808編成
2017.11.22/新鎌ヶ谷

▲2017年3月に登場した北総鉄道9800形。千葉ニュータウン鉄道カラーの3700形という格好

春は別れの季節であり、出会いの季節でもある。それは鉄道車両とて同じ。京成電鉄では年が明けてから新造車両が入ってくることがここ数年の定例になっており、車両の動きは年明けから年度末に集中することが多くなっている。今年は特に、3500形未更新車が引退となったほか、北総鉄道においても9000形9018編成が運用を終了、9000形が形式消滅になるなど大きな動きが目立った。

消える車両があれば、当然ながら新たに登場する車両がある。9000形9018編成の置換えにあたっては、3700形を千葉ニュータウン鉄道へリースして対応することになり、新たに9800形なる車両が爆誕した。車両番号の変更は次の通りである。

3738-3737-3736-3735-3734-3733-3732-3731

9808-9807-9806-9805-9804-9803-9802-9801

上記の通り、9808編成はもと3738編成である。3738編成は3月4日の8A26をもって京成車としての運用を終了。その後、宗吾車両基地において転属に伴う整備を行なった。北総仕様への改造については同じく3700形のリース車両である7800形に準じているものとみられるが、今回は千葉ニュータウン鉄道へのリースということで、これまでの3700形リース車と大きく異なるのはやはりその見た目。9200形と同じ水色と黄色の帯が巻かれた3700形はまるで"ウソ電"。誰がこんな車両の登場を予見できただろうか。なんじゃこりゃ。

D28973.jpg

北総9800形 9808編成
2017.10.4/平和島

▲京急線内を快特として走る9800形。行先表示ももちろん北総仕様に改修されており、3700形と違って「快特」を表示する(3700形は「快速特急」になってしまう
X64572.jpg

北総9800形 9808編成
2017.3.19/うすい〜佐倉

▲北総仕様への改造を終えて、印旛車両基地へ回送される9800形。9800形が初めて本線上を走った瞬間でもある

北総仕様への改造を終えた3738編成改め9808編成は、3月19日に89N運行で印旛車両基地に回送、21日の2130Nより営業運転を開始した。9018編成のラストランが20日であったから、9808編成はまさに9018編成と入れ替わるようにして運用に入った。以降、9808編成は北総車の一員として動いている。このほか、4月23日に運転された臨時特急「ほくそう春まつり」号に抜擢されたのは既報のとおり。

なお、京成としては3738編成をリース車として捻出するため、3000形3035編成を導入している。つまり、3035編成の新造→3738編成のリース→9018編成の廃車ということになり、3738編成を介して3035編成が9018編成を置換えた格好になった。言い換えれば、9202編成になるはずだった車両が3035編成に化けてしまった・・・とも言える。9000形の置換えについては、4年前の2013年、9008編成が9200形の新造によって代替となっており、9018編成の置換えで2本目の9200形、すなわち9202編成が登場するだろうというのが大方の予想だったと思われるが、事実は小説より奇なりとはまさにこのこと・・・。

X68329.jpg

北総9800形 9808号車(海側)
2017.11.22/新鎌ヶ谷

▲9200形と同じカラーリングとなった9800形の外観。ドア脇のプレートは7300形/7800形に準じたものだが、フォントが異なる
D29368.jpg

北総9800形 前面の車両番号
2017.11.22/新鎌ヶ谷

▲前面の車両番号。7800形ではオリジナルの車両との数字が近かったことから切り文字が使われたが、9800形ではプレートが貼り付けられる格好になった。これは3700形と7300形を合わせても唯一の形態

9800形の登場により、千葉ニュータウン鉄道としては引き続き3形式もの車両を保有することになった。・・・全部で5編成しか持っていないにもかかわらず。千葉ニュータウン鉄道の自己顕示力の強さのおかげで、都営浅草線直通系統の百花繚乱っぷりがさらに増しているということは言うまでもなかろう。しかし、車両の管理は北総鉄道に任せてあるのだから、9100形はともかくとして9200形と9800形はそれぞれ7500形と7800形と共通のカラーであっても良いような気がしないでもないところ。芝山鉄道を見習いなさい。あいつこそ我を出すべきだと思うのだが、京成車に擬態しているんだぞっっ。

(注)これまで当Webサイトでは7808編成・7818編成を「7300形」と表記してきましたが、北総鉄道の公式Webサイトなどに倣って「7800形」とします。過去の記事についても表記を順次改めます。

関連記事

北総7800形7828編成 登場

2017年度も年度末に近づくにつれ、京成電鉄や京成グループで車両の動きが出てきている。北総鉄道では、7800形7828編成が登場した。7800形7828編成は京成3700形のリース車両となって...

北総7800形7828編成 登場
臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2017年)

今年も春がやってきた。​4月23日、北総鉄道が主催する千葉ニュータウン中央駅での「ほくそう春まつり」開催に合わせて、臨時列車「ほくそう春まつり号」が運転された。2009年以来運転されている...

臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2017年)
京成グループ 車両の動き(2016年度)

年度末ということで、京成グループにおける2016年度の車両の動きをまとめてみよう。今年度の新造車両は3000形8両編成2本(3033編成、3035編成)、6両編成1本(3034編成)の計26両...

京成グループ 車両の動き(2016年度)
北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)9000形 営業運転終了

北総9000形が引退へ。北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)9000形が営業運転を終了した。定期列車としての最終運行は17日の35N、2334N(印旛日本医大→印西牧の原の入庫回送)であった。また...

北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)9000形 営業運転終了
北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)9200形 登場

1月18日、北総鉄道9200形9201編成が総合車両製作所(金沢八景)から印旛車両基地へ回送された。北総9200形は千葉ニュータウン鉄道所属の新型車両である。9200形を管理することになる...

北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)9200形 登場

最新記事

北総線 西白井駅で『ウマ娘 プリティーダービー』特別装飾を実施

「ウマ娘」たちが北総線西白井駅を駆ける。北総鉄道では、10月中旬より西白井駅において『ウマ娘 プリティーダービー(以下、ウマ娘)』の特別装飾を実施している。『ウマ娘』とは、株式会社Cygames...

北総線 西白井駅で『ウマ娘 プリティーダービー』特別装飾を実施
「都営フェスタ2024 in浅草線」開催

5年ぶりの祭典。11月30日、東京都交通局馬込車両検修場で車両基地公開イベント「都営フェスタ2024 in浅草線」が開催された。三田線の志村車両検修場と交互で概ね2年に1度に開催されるイベント...

「都営フェスタ2024 in浅草線」開催
京成電鉄 モーニングライナー・イブニングライナーの特急料金を改定

京成線、モーニングライナーとイブニングライナーを実質値上げ。11月23日、京成電鉄では京成本線で運行している座席指定制の特急列車モーニングライナーとイブニングライナーの特急料金の改定を実施した...

京成電鉄 モーニングライナー・イブニングライナーの特急料金を改定
四直珍列車研究 136 - 平日 720T

唯一、かつ初めての羽田空港行。京成線や北総線、都営浅草線では、23日にダイヤ修正が実施される。ダイヤ修正前日の記事として、今回も消えてしまう珍列車を取り上げてみよう。平日720Tレ特急羽田空港行...

四直珍列車研究 136 - 平日 720T
京成線 2024年11月23日ダイヤ修正

京成電鉄では、11月23日にダイヤ修正を行う。今回のダイヤ修正について、プレスリリースや15日発売の京成時刻表Vol.33などで明らかになっている情報を基に、その内容を見てみよう。本稿では...

京成線 2024年11月23日ダイヤ修正