2017.08.11
ってことで、アムステルダム駆け足訪問記の第2回。アムステルダム市電を少しだけ。
アムステルダムも路面電車の走る街である。路線網は特にアムステルダム中央駅を中心とした旧市街を中心に展開しており、2017年現在における系統数は141)、ヨーロッパでも有数のトラムネットワークを形成している。リスボンで見てきた路面電車がそうだったように、一般的にはモータリゼーションの発展とともに路面電車はバスその他に置換えられて縮小する傾向にあるが、アムステルダムでは旧市街の狭隘な道路のおかげでバスを満足に走らせられなかったとのことで、現在でも路面電車が元気にまちなかを走っている。世界遺産にもなっている運河のほとりを走る市電はアムステルダムの風景のひとつである。
運行は公共事業体であるアムステルダム交通局が担っている。アムステルダム交通局は路面電車のほかに地下鉄とバスも運行しており、アムステルダム市内の交通輸送を一手に引き受けている。
アムステルダム市電で現行で使われている車両は3種類のよう。ベルギーのBN製の部分低床車両が2種類と、シーメンス製の低床車両である。シーメンス製の低床車両は広島電鉄でもおなじみのコンビーノで、長さも広電のものと同じような5連節タイプを導入している。アムステルダムには全部で155編成ものコンビーノが走っており、アムステルダム交通局が世界最大のコンビーノホルダー。アムステルダム交通局が路面電車用として保有する車両の概ね3/4がコンビーノという状態になっている。そんなもんだから、ほんともう市内そこらじゅうコンビーノだらけという感じ。
各系統には他の都市の路面電車と同じように番号が振られている。系統番号は車両の行先表示にて表示を行っているが、ここにほかの都市の路面電車では見られない特徴がアムステルダム市電にはある。番号の横に表示されている四角い模様のようなもの、、、これは一体なんだろうか。
馬車軌道からスタートしたというアムステルダム市電は、その当時、複数の路線を走らせるにあたり、路線ごとに異なる模様の旗を掲出していたらしい。当時はいまよりも識字率が低く、馬車の行先を識別するのには系統番号や行先表示よりも模様を描いた旗の方が都合がよかったようだ。時代は進み、行先表示がLEDになってもその当時の慣習を受け継いでいるのは、まさに粋というほかあるまい。
市電のアムステルダム中央駅前電停は、前回の記事でご紹介した中央駅の駅舎の前の広場に設けられている。中央駅に乗入れる系統は8つあるため、電停も全部で8線という規模。アムステルダム中央駅は市電にとっても一大ターミナルなのだ。アムステルダム市電は基本的にはドアが片側にしかない車両を使用しているため、終端の電停は必ずループ線を形成する2)。アムステルダム中央駅前電停は各方面からやってきた線路が合流しつつ、ループ線を2つも形成する実に賑やかな配線になっている。気になったので帰国してからグーグルマップの航空写真を基に配線図を描いてみたが、、、なるほどこれはよくわからん!
- 1)2018年7月の地下鉄南北線開業に伴い再編が予定されている。
- 2)5系統のみ、一部区間で地下鉄と線路を共用する関係から両側にドアのある車両を使用している。同系統の終端となるBinnenhof電停はシーサスクロッシングを使用した折返し形態になっている。
関連記事
オランダ 少しだけアムステルダム 3 - ライツェ通りのトランジットモール
アムステルダム駆け足訪問記の第3回。アムステルダム中央駅から市内を散策し、ライツェ通りという通りに行き着いた。この通りはトランジットモールになっており、その様子を少しばかり観察してみた...
オランダ 少しだけアムステルダム 1 - アムステルダム中央駅
さて、ポルトガル旅行の様子をだらだらと書き綴ってきたが、これには少しばかりの続きがござる。リスボンへの飛行機がオランダのアムステルダムで乗換えだったので、ついでにアムステルダムにも行ってきました...
ポルトガル周遊の記 番外編 - リスボン市電のすごい配線
狭い街区の中をちょこまかと走るリスボン市電はその配線もすごい! ってことで、Twitterに掲載したらなかなか好評だったので、こちらにも改めて掲載したく思う。ちょっとだけ強引に敷かれたリスボン...
ポルトガル周遊の記 17 - リスボン市電28系統、狭隘路を走る
ポルトガルの首都、リスボンを走るリスボン市電。最後に、28系統の狭隘区間を見に行ってみた。リスボンを東西に走る28系統はところどころに狭い路地を走る区間が存在している。特に狭いのがアルファマ地区...
ポルトガル周遊の記 16 - リスボン市電あれこれ(路線篇)
前回の記事につづいてリスボン市電をば。今回は路線についてご紹介しよう。2017年現在、リスボンで運行されている路面電車は12、15、18、25、28の5系統。系統番号の数字が飛び飛びになって...
最新記事
京成電鉄 モーニングライナー・イブニングライナーの特急料金を改定
京成線、モーニングライナーとイブニングライナーを実質値上げ。11月23日、京成電鉄では京成本線で運行している座席指定制の特急列車モーニングライナーとイブニングライナーの特急料金の改定を実施した...
四直珍列車研究 136 - 平日 720T
唯一、かつ初めての羽田空港行。京成線や北総線、都営浅草線では、23日にダイヤ修正が実施される。ダイヤ修正前日の記事として、今回も消えてしまう珍列車を取り上げてみよう。平日720Tレ特急羽田空港行...
京成線 2024年11月23日ダイヤ修正
京成電鉄では、11月23日にダイヤ修正を行う。今回のダイヤ修正について、プレスリリースや15日発売の京成時刻表Vol.33などで明らかになっている情報を基に、その内容を見てみよう。本稿では...
四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...