2017.04.09
前回の記事につづいてリスボン市電をば。今回は路線についてご紹介しよう。
2017年現在、リスボンで運行されている路面電車は12、15、18、25、28の5系統1)。系統番号の数字が飛び飛びになっているあたりで察しがつくと思われるが、リスボンでは1960年代から70年代にかけてと、90年代に段階的に路線が大幅に削減された過去があり、それの生き残りである。いわゆるモータリゼーションの波はリスボンでも例外でなく、そのほとんどは路線バスに転換された。最盛期には27もの系統が運行されていて、市内を縦横無尽に電車が走っていたという。今の路線網からはちょっと想像できないが、市電が走っていた通りではどういうわけか今でも軌道が剥がされずに残っている箇所がところどころ存在しているので、廃止された区間でも路面電車が走っていた頃の面影をなんとなくは感じることはできる。
現行の5つの路線の中でも何と言っても有名なのは28系統。28系統はMartim MonizとCampo Ourique (Prazeres)を結ぶ路線で、現行5路線の中では最長の距離を走る系統でもある。リスボンを東西に横断する28系統は、特にその東側、バイシャ〜アルファマ〜グラサの区間で旧市街のど真ん中を抜けていくこともあって、沿線には観光地も多数存在。リスボン観光には欠かせない存在になっている。大聖堂を背景にして走るリスボン市電・・・という市電が走る風景としておそらく最も多く撮られているであろう風景もこの区間。観光客で四六時中混雑しているのもこの区間である。そして、私が以前ネット動画で見た市電が市街地の中のどエラい狭いところを抜けていくというのもこの区間なのあった。丘の上につくられた都市を走るだけあって路線のアップダウンも激しく、市電に乗るのならこの28系統がダントツで楽しいと思う。リスボンに来て何をしようか迷った際には、とりあえずこの市電の28系統に乗っておくことを強くオススメしておく。いや、乗ってくださいマジで。
また、フィゲイラ広場を起点にして時計回りで循環する12系統も面白かった。28系統ほどの華やかさは無いが、こちらも狭隘な旧市街を走っていくのでなかなかの乗り応えがある。循環路線なので、元の場所に戻ってくるのも安心だろうかと思う2)。20分程度で一周するので、暇つぶし(?)にはちょうどいいかもしれない。
さて、環境意識の高まり等から路面電車が復権してきて久しい昨今、ここリスボンでもそれに同調する動きが出てきているようである。1990年代に廃止となった路線の一部、具体的にはかつて走っていた24系統を2017年あるいは18年を目標に復活させようとする動きがある模様。関係者いわく「今思えば1990年代の路線削減はちょっとやりすぎだったから、一部の区間を復活させたるわ」とのこと。その24系統が走っていたルートをグーグル・ストリートビューでたどってみると、軌道どころか架線もほぼそのままの形で残されており、あたかも現役で市電が走っているかのような雰囲気。もちろんこの路線の復活にあたっては多少の設備の改修は必要であると思われるが、新規にレールを敷くよりハードルははるかに低いだろうから、その実現には大いに期待が持てるところである。
- 1)正式には番号に後ろにElétricos(電車)を表すEが付いており、時刻表などでは12E、15E、18E、25E、28Eというように案内されている。
- 2)ただし、系統の起終点になっているフィゲイラ広場を越えて乗車することはできない。
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