KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2018.07.17

バンコクを走るBTSスカイトレイン。交通渋滞の激しいバンコク中心部を移動するには大変便利な乗りものだが、既存市街地の中を高架で建設しただけあってところどころにちょっとこれ強引じゃね? と思ってしまいたくなるような箇所が存在する。そんなスカイトレインのちょっと強引な線形を見ていこう。

X62828.jpg

バンコクBTS
2016.10.24/**

▲サイアム駅付近の高架線を走るBTSスカイトレイン。奥に見える屋根が2層高架のサイアム駅。高架全体がスクンヴィット通りの直上に構築されている

要塞と呼ばれている駅がある。要塞駅とはなんぞや・・・これは具体例を挙げれば分かりやすいだろうか。京成青砥、近鉄布施、京急蒲田、名鉄太田川etc... 要すれば、路線が二股に分岐するために多層高架で作られた駅の俗称である。確かに、これらの駅は駅そのものが巨大で、駅の中も一般的な駅と比較すると複雑な構造になっている。誰が言い出したか知らんけど、要塞とはなかなか言い得て妙な表現のように思ってしまう。

さて、多層高架の巨大駅を要塞駅と定義するならば、BTSスカイトレインにも要塞と言えるような駅が存在する。BTSが運行している2路線、スクンヴィット線とシーロム線が交わるサイアム駅は2層の高架駅となっており、要塞というのにふさわしい。しかも、サイアム駅は駅そのものがスクンヴィット通りの直上に作られているので、さながら空中要塞のようになっている。そして、それに続くマッシヴなコンクリート造の高架線が作り出す風景は、まさに都会の電車が走るところといった趣だ。

もとよりBTSスカイトレインは道路の直上に建設された高架線を走っており、駅も全て道路の直上につくられている。そのため、駅も道路の幅員に収めなければならず、通常であれば1面2線あるいは2面2線が限界。そんな中、2路線分の駅をスクンヴィット通りの空中に強引に押し込めたのがサイアム駅。サイアム駅が1面2線を重ねた構造の2層高架になったのは、スペースの関係で自然な流れと言える。っていうか、ほぼほぼこうするしかなかったのだろう。

Z00003.jpg

サイアム駅付近の航空写真

▲中央にあるグレーの長方形がサイアム駅。スクンヴィット線が左上からシーロム線に合流してきて、シーロム線が右下の方向へ分岐していく。左で見切れているのはシーロム線の都心側の終点、国立競技場駅
X62833.jpg

バンコクBTS
2016.10.24/**

▲ひとつ隣の国立競技場駅からサイアム駅方面を見たところ。サイアム駅から続く二層の高架線を走るスカイトレインの電車がよく見えて楽しい。スクンヴィット線の電車(左)とシーロム線の電車(右)がサイアム駅を同時発車に近いかたちで走ってきた

サイアム駅の構造は結果的に乗換えの利便性にも寄与しており、同じ方向の電車であれば対面乗換えになるし、反対方向の電車でも1回の上下移動だけで済む。先に挙げた日本の要塞駅でも感じられることだが、これはやはり便利な構造だ。スクンヴィット線とシーロム線の接続は特に考慮されていない模様だが、待てばすぐ次の電車がやってくるのでストレスはあまり感じない。赤坂見附駅での銀座線と丸ノ内線の乗換えの感じに近いと思う。

関連記事

バンコクBTSのちょっと強引な線形 3 - チョン・ノンシーのシケイン

バンコクを走るBTSスカイトレイン。交通渋滞の激しいバンコク中心部を移動するには大変便利な乗りものだが、既存市街地の中を高架で建設しただけあってところどころにちょっとこれ強引じゃね? と思って...

バンコクBTSのちょっと強引な線形 3 - チョン・ノンシーのシケイン
バンコクBTSのちょっと強引な線形 1 - 戦勝記念塔のΩカーブ

バンコクを走るBTSスカイトレイン。交通渋滞の激しいバンコク中心部を移動するには大変便利な乗りものだが、既存市街地の中を高架で建設しただけあってところどころにちょっとこれ強引じゃね? と思って...

バンコクBTSのちょっと強引な線形 1 - 戦勝記念塔のΩカーブ
タイ国鉄 泰緬鉄道の旅 4 - 『戦場にかける橋』クウェー川鉄橋

タイ国鉄ナムトック支線をナムトックまで乗り通し、カンチャナブリーまで戻ってきた。カンチャナブリーの1つ手前、クウェー川鉄橋駅で列車を降りる。泰緬鉄道のハイライトとも言えるのが、タイ国鉄...

タイ国鉄 泰緬鉄道の旅 4 - 『戦場にかける橋』クウェー川鉄橋
タイ国鉄 泰緬鉄道の旅 3 - ナムトック支線を行く

泰緬鉄道を訪ねてみようってことでバンコクからの1dayトリップ。バンコクのトンブリー駅から客車に揺られて3時間弱、泰緬鉄道観光の要所カンチャナブリーに着いた。ここからさらに4時間ほど列車に乗り...

タイ国鉄 泰緬鉄道の旅 3 - ナムトック支線を行く
タイ国鉄 泰緬鉄道の旅 2 - ナムトック行鈍行257レ

さて、泰緬鉄道を訪ねてみようってことでバンコクからの1dayトリップ。バンコク=トンブリー駅からナムトック行の鈍行列車257レに乗る。列車は機関車+客車6両という構成。最後尾の1両が業務用を...

タイ国鉄 泰緬鉄道の旅 2 - ナムトック行鈍行257レ

最新記事

2025.04.15

京成グループ 車両の動き(2024年度)

京成グループにおける2024年度の車両の動きをまとめてみよう。2024年度の車両の動きの目玉は、やはり3100形以来6年ぶりの新型車両となる3200形が登場したことであろう。今年度は日本車両製の...

  • 京成
  • タグはありません
京成グループ 車両の動き(2024年度)

2025.04.10

京成電鉄 松戸線が開業

Hello! Matsudo Line 4月1日、京成電鉄は新京成電鉄の吸収合併を実施した。これに伴い、新京成線は同日より京成松戸線として運行を開始。1947年12月に新津田沼〜薬園台で産声を...

京成電鉄 松戸線が開業

2025.04.06

京成3000形 「桜に染まるまち、佐倉」ヘッドマーク(2025年)

今年も桜に染まるまち、佐倉。京成電鉄では、3月中旬より3000形において「桜に染まるまち、佐倉」ヘッドマークの掲出を行った。同社と佐倉市が毎年この時期に実施している観光キャンペーン「桜に染まる...

京成3000形 「桜に染まるまち、佐倉」ヘッドマーク(2025年)

2025.03.31

新京成線 新津田沼駅の0キロポスト

歴史の証人。まもなく終わりを迎える新京成線。そんな同線の歴史を開業から見守り続けてきたものがある。新津田沼駅に設置されている、0キロポストだ。新京成線の距離上の起点が、ここ新津田沼にあることを...

新京成線 新津田沼駅の0キロポスト

2025.03.28

京成3500形 3556編成など6両が営業運転終了

京成3500形に廃車が発生。新型車両3200形の導入に伴い、3500形に廃車が発生している。廃車となったのは、3556〜3553と3552、3551で、導入された3200形と同数となる6両...

  • 京成
  • タグはありません
京成3500形 3556編成など6両が営業運転終了