2019.08.21
東京都交通局、京成電鉄(芝山鉄道)、京急電鉄、北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)の様々な車両が入り乱れ、百花繚乱の直通運転を行っている"四直"。その中でも、唯一無二の形態を持つ車両たちが我々をさらに楽しませてくれている。そんな「四直の異端車たち」を適当に紹介していこう。
「四直の異端車たち」では、過去4回にわたり四直界隈の変な車両を取り上げてきたつもりである。そして、最終回となる5回目にご登場いただくのはやはりこの車両をおいて他にはないだろう、変なヤツof変なヤツ、京成3600形3668編成である。編成は上野方から3668-3621-3608-3601-3628-3661という6両編成だったが、2017年2月に3000形の増備に伴って中間の3608と3601が廃車になり、現在は4両編成として走っている。
3668編成が異端車であることは、まずその見た目からして明らかであろう。2+2+2というふうに組成されていた6両編成からは、明らかに何かありそうな雰囲気が漂っている。どうして先頭車ばかりの編成になっているか・・・は、広く知られているところだと思うが、改めて説明すると、編成を組み換えた際に余った車両を寄せ集めてつくったため。京成では1997年から1999年にかけて3600形の6両編成→8両編成化を実施したが、既存の車両だけで編成組み換えを行ったため、先頭車ばかりが6両余ってしまった。その6両を廃車にすることなく、有効活用した結果が3668編成だった。
そして、見た目だけではなく3668編成をさらに異端車たらしめているのが床下の機器類。元来の3600形の先頭車はモーターのない制御車であるため、それらを繋いだだけでは自走することができない。そこで、編成を組成するにあたり3668、3621、3628、3661の4両が電動車化され、3700形に準じたVVVFインバーター制御の電車になった。
他方、電動発動機(MG)や空気圧縮機(CP)といった補機類は3100形など赤電からの再用品とされている。この結果、3668編成は赤電世代のMGやCP、3600形世代のコルゲート付ステンレス車体、3700形世代のVVVFインバーターという3世代のものが同居することになった。3600形なのに古風なMGやCPの音がするかと思ったら、3700形と同じ音で走り出すわけである。こんなメチャクチャな電車、京成随一どころか全国的に見てもトップクラスの変態車両であろうかと思われる。
ただし、全ての車両が先頭車というのはあくまでも見た目だけ。各車の車種は3668(M1c)-3621(M2)-3608(T1)-3601(T2)-3628(M1)-3661(M2c)とされており、先頭車然とした中間車はれっきとした中間車である。中間車となった元先頭車の運転台は機能が殺されて使用不可となったため、乗務員室だった部分は完全なデッドスペースと化している。したがって、例えば2+2+2を分割して2両編成で走らせる、などといったことはできない。
そんな3668編成は「ターボくん」として親しまれている。もとは「ターボ車」として乗務員から広まった非公式な愛称(?)だが、今では広く認知されており、TwitterをはじめとしたSNSなどでもその名を目にすることができる。「ターボ」の由来は、一説によれば、3700形と同等の性能であるはずなのにどういうわけか3700形よりよく走りよく止まる(加速が良くてブレーキもよく効く)から、ということのよう。
さて、3600形の廃車が進んでいる現状において、3668編成ははたしてどうなるだろうか。3668編成の動向を考える上で難しいのが、3668編成がVVVFインバーター制御の4両編成ということ。3600形の廃車が進んでいるとは言え、それはあくまでもチョッパ制御の8両編成の話。3668編成とは分けて考える必要があろうかと思われる。
また、4両編成ということで、4両編成には3500形もいるということに注意したい。3668編成と3500形を比べた場合、3668編成の方が車体も足回りも新しい。したがって、3668編成よりも3500形の廃車の方が先行する可能性がある。他方、新車として導入される3100形が8両編成という点で、しばらく4両編成の置換えがなさそうな雰囲気も漂っている。これらを勘案すると、3600形の8両編成がいなくなっても3668編成だけはしばらく生き残りそうな感じ・・・?
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