2020.02.08
千葉県を中心に大きな被害をもたらした、2019年10月25日の大雨。佐倉市を中心に運行しているちばグリーンバスでは、この大雨により佐倉営業所のすぐ近くを流れる鹿島川の水が氾濫し、車庫が水没するといった甚大な被害を受けた。本稿は、ちばグリーンバスの被害状況と、それに対する復旧支援車両を簡単にまとめたものである。
豪雨により甚大な被害を受けたちばグリーンバス
2019年10月25日に発生した記録的な大雨は、千葉県を中心に大きな被害をもたらした。佐倉市に本社を構えるちばグリーンバスでは、近くを流れる鹿島川の氾濫により佐倉営業所が水没。特に大きな被害を受けている。一面に広がる水の中に数台のバスが浸かっているという、報道ヘリからの衝撃的な空撮映像や写真を記憶されている方も多いことかと思われる。
ことが起きたのは大雨の翌26日未明だった。報道等によれば、午前3時ごろに鹿島川が氾濫。営業所ではあっという間に胸の高さまで水がきてしまったという。その場に居合わせた職員の尽力により一部の車両は営業所外の高台などに逃がすことができたものの、所属車両約60台のうち40台ほどが水に浸かってしまったとのこと。最終的に、特に被害の程度が大きい十数台ほどが廃車とされている。廃車された車両の中にはCG-157号車(2005年式のワンロマエアロスター)やCG-177号車(京成タウンバスから移籍してきた小型のHR)、CG-305号車(全国的に珍しいエルガJ)などが含まれていた。
車庫が水没し、車両の半数以上が使えなくなったことから、ちばグリーンバスは26日の始発より全便が運休するという事態に見舞われた。同日夕方ごろになんとか運行を再開させたものの、その時点で運行できたのは通常の4分の1程度であった。その後、営業所の排水や水没車両の復旧、後述する京成バスグループ各社からの復旧支援車両の登場もあり、28日、11月5日、9日と段階的に運行本数を回復させ、11月16日になってようやく全線において通常本数での運行に戻すことができた。
ちばグリーンバスへの復旧支援車両たち
前述のとおり、水没により廃車となってしまった車両が多数発生したため、京成バスグループ各社から復旧のための車両が集められることになった。復旧支援車両は京成バス本体はもちろんのこと、グループ子会社、ついには関東鉄道からもやってきており、まさしくグループ総出での支援といった格好になっている。
復旧支援車両の一覧を以下に記す(表は横方向にスクロールできる)。
社番 | 登録番号 | 型式 | 年 | 特徴など | 元所属 |
---|---|---|---|---|---|
CG-751 | か3181 | いすゞKL-LV280L1改 | 04 | ノン・青白塗装 | 京成トランジットバスM111 |
CG-752 | え177 | 日野PJ-KV234L1 | 05 | ワン・ちばシティカラー | ちばシティバスC177 |
CG-753 | か3188 | いすゞKL-LR233J1 | 03 | ワン・京成カラー・特定 | ちばシティバスC451 |
CG-754 | か3182 | いすゞPJ-LV234N1 | 07 | ノン・京成カラー | 京成バスE288 |
CG-755 | か3183 | いすゞPJ-LV234N1 | 07 | ノン・京成カラー | 京成バスE291 |
CG-756 | か3184 | いすゞPKG-LV234L2 | 07 | ワン・青塗装・貸切 | 京成バス2921 |
CG-757 | か3185 | 日野PJ-KV234Q1改 | 06 | ワン・カモメカラー | 京成バス4455 |
CG-758 | か3186 | 日野BDG-HX6JLAE | 07 | ノン・白塗装 | 京成バス0805 |
CG-759 | か1688 | いすゞPJ-LV234L1 | 06 | ワン・京成カラー | 京成バス5215 |
CG-760 | か3187 | いすゞPJ-LV234N1 | 07 | ノン・京成カラー | 京成バス8101 |
CG-761 | か3190 | 日野KL-HR1JNEE | 03 | ノン・関鉄カラー | 関東鉄道9410 |
CG-762 | か3191 | 日野KL-HR1JNEE | 03 | ノン・関鉄カラー | 関東鉄道9406 |
CG-763 | か3193 | いすゞPA-LR234J1 | 06 | ノン・特定 | 京成タウンバスT024 |
CG-764 | か3194 | いすゞPDG-LR234J2 | 07 | ノン・特定 | 京成タウンバスT026 |
CG-302 | か3192 | いすゞKL-LV280N1 | 03 | ワン・京成カラー | ちばグリーンバスCG-302 |
CG-823 | か1172 | 三菱KL-MS86MS | 04 | 高速 | 千葉交通N-823 |
※登録番号は「千葉200」(CG-752号車のみ「千葉230」)を省略してある。特徴欄の「ノン」はノンステップ車両、「ワン」はワンステップ車両を表す。
通常、ちばグリーンバスでは他社からの移籍車両にCG-300番台を付番しているが、今回の復旧支援車両はCG-750番台となっているのが特徴である。このことから、復旧支援車両は通常の移籍車両とは何か扱いが異なっている可能性がある。これらの車両は時間的な余裕もなかったことから、いずれももといた会社の塗装のまま営業運行に投入されている。ちばグリーンバスの営業エリアで見られないような塗装の車両が多数走るという異例の事態は、今回の被害がいかに甚大かということを物語っている。
CG-302号車はもともと同番号でちばグリーンバスに所属していたが、2019年夏ごろに除籍、中古バス屋に売却していたものを買い戻した車両である。CG-823号車は12月下旬に千葉交通からやってきた車両で、特定・貸切用車両に付しているCG-800番台の続番となっている。この2台はCG-750番台でないため厳密に言えば復旧支援車両ではないのかもしれないが、こういった事態にならなければ再登録あるいは移籍することはなかっただろうから、表に含めた。
以下、写真の羅列。
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