2020.04.15
スカイライナー、一部列車の青砥停車始まる。

京成AE形 AE1編成
2017.5.26/小室〜千葉ニュータウン中央
京成電鉄では、4月11日よりスカイライナーの一部列車の青砥停車を開始した。対象となるのは、平日と土休日ともに京成上野を6〜7時台に発車する下り列車(スカイライナー3号〜13号)と成田空港を20時30分以降に発車する上り列車(同72号〜82号)で、それぞれ6本計12本。乗降可能なのはいずれも成田空港方面に対する乗車のみで、上野・日暮里〜青砥という乗り方はできない。青砥にスカイライナーが定期的に停車するのは、1978年のスカイライナー運転開始以来初めてのことになる。
さて、今回のスカイライナーの一部青砥停車だが、そもそも今回の発表が京成公式Webサイトで通常の「プレスリリース」ではなく「お知らせ」として出されていることを含めて、端々から怪しさが漂っている。表向きは押上や都営浅草線、京急線方面の成田空港アクセスの向上を謳っているものの、その裏では何やら事情がありそうだ。そのあたりを深読みしてみよう。
急展開すぎるスカイライナー一部青砥停車
ひとつ目の突っ込みどころは、やはりプレスリリースから実際の停車開始までの期間の短さであろう。6日の発表から11日の実施というのは、いくらなんでも急すぎるのである。また、スカイライナーの停車駅追加というほどのことが、ダイヤ改正でも修正でもないタイミングで実施されるというのもなんとも奇妙な話。ましてや、スカイライナーは2019年10月に抜本的なダイヤ改正をしたばかり。テコ入れという形で青砥停車をするなら絶好のタイミングがあったはずなのである。
そんなようなことから、スカイライナーの一部青砥停車は、中長期的な計画に基づいて行われるものではなく、急遽決まって急にやることになった施策なのではないかという印象が拭えないのである。
実施期間の設定
実施期間が設定されている点も特筆すべきことである。実施は当面の間として明確な終了日を明らかにしていないものの、こういう書き方をしている以上はいずれ終了する可能性のある、一時的な施策だということを示している。スカイライナーの一部青砥停車は、現時点では恒久的なものではないのである。
そして、当面の間とは何なんだろうか。不確定な要素を含んでいる表現である。今はまだ明言することはできないが、その時期が来たら終了するということだとしても、その時期とはいったいどういったタイミングなのだろうか。
中途半端なチケット販売方法
座席指定制であるスカイライナーに乗車するためにはスカイライナー券が必要となるが、青砥発着のスカイライナー券(1000円)は通常とは異なる発売方法を採っている。このあたりからもスカイライナーの一部青砥停車が臨時的なものであることがうかがえるのだが、発売方法は以下のとおりとなっている。
- 下り:青砥駅3階ホーム上野方(スカイライナー乗車口の8号車付近)にて、駅係員が当該列車の発車前に手売りで発売。座席指定はなく、空席を利用する。
- 上り:京成上野までのスカイライナー券を割引額250円1)の企画券として発券した上で、券面における京成上野の部分を青砥に訂正したものを発売。取扱いは成田空港駅・空港第2ビル駅のスカイライナーカウンターまたはSKYLINER & KEISEI INFORMATION CENTERのみ。
いずれの措置もライナー券を発売するシステムが青砥発着に対応していないためで、チケットレスサービスも利用することができない。前売り券も発売していない。
◆ ◆ ◆
以上、状況証拠の積み重ねでしかないが、スカイライナーの一部青砥停車はやはり昨今世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響を受けたものである可能性が高いと考えられる。ここ最近のスカイライナーは傍から見ても乗客が激減しているのが丸分かりで、まさに惨状という表現以外にない状況にある。なにせあれだけいたインバウンドはほとんどいなくなってしまっているし、空港に行っても飛行機は飛ばないし、そもそも外務省は海外に行くなと言っているしで、空港勤務の人を除けば成田空港に用事のある人がいないのだ。とにかく乗車人員が落ち込んでしまっているので、少しでも乗客を増やしたいというようなことが見え透けてくる。
4月7日の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令にあたり、政府は鉄道事業者に対する減便や終電繰り上げなどの要請はしないとしているものの、現実には中小事業者を中心に乗客減に合わせた列車の減便等を実施するところが出てきている。京成としては緊急事態宣言発出後の運行ダイヤについて、通常ダイヤで運行するという発表を9日にしているが、これも状況によってはどうなるかわからない。スカイライナーの一部青砥停車に続く、第2、第3の施策が実施される可能性も大いにある。
2019年10月ダイヤ改正で終日20分間隔での運転を実現したスカイライナーは、本来であれば今ごろは東京オリンピック・パラリンピックの開催を目前に控える中でウハウハ状態だったはず。そんなタイミングで、目下ほとんど空気だけを運ぶ存在に成り下がってしまっているのは、本当に気の毒としか言いようがない。空港アクセス輸送の負の側面だと言われればそうかもしれないが、やはり願わくば新型コロナウイルスの蔓延がいち早く終息し、事態が好転することを望みたいところである。
- 1)京成上野〜空港第2ビル・成田空港のスカイライナー券が1250円なので、250円を割り引いて1000円での発売としている。
関連記事
京成線 スカイライナーの一部列車の運休を実施
スカイライナー、一部列車の減便を実施。京成電鉄では、5月1日よりスカイライナーの減便の実施を開始した。新型コロナウイルス感染症に伴う政府からの緊急事態宣言、および外出自粛要請等を踏まえたものに...
京成AE形 臨時シティライナー「成田山開運号」運転(2020年)
令和最初の臨時シティライナー「成田山開運号」。京成電鉄では、成田山への多客対応として1月の土休日ダイヤ実施日に臨時シティライナー「成田山開運号」を運転した。今年で4年目となる「成田山開運号」だが...
京成AE形「ありがとう3500万人」ヘッドマーク
祝、3500万人。京成電鉄では、10月上旬よりAE形AE7編成に「ありがとう3500万人」ヘッドマークの掲出を行っている。2010年7月の成田スカイアクセス線開業による新型スカイライナーの...
京成AE形AE9編成 登場
京成AE形AE9編成が登場。8月末より、AE形の新造車であるAE9編成がお目見えしている。AE形が新造されるのは9年ぶりのことで、成田スカイアクセス線が開業してから初めての増備車となる。かねて...
京成AE形 行先表示に小変化
京成AE形の行先表示に小変化。9月中旬よりAE形の行先表示が改修され、その表示内容に変化が見られている。今回のAE形の行先表示改修でのポイントは、1.従来の経由表示に代わって「全席指定」という...
最新記事
2025.03.31
新京成線 新津田沼駅の0キロポスト
歴史の証人。まもなく終わりを迎える新京成線。そんな同線の歴史を開業から見守り続けてきたものがある。新津田沼駅に設置されている、0キロポストだ。新京成線の距離上の起点が、ここ新津田沼にあることを...
2025.03.28
京成3500形 3556編成など6両が営業運転終了
京成3500形に廃車が発生。新型車両3200形の導入に伴い、3500形に廃車が発生している。廃車となったのは、3556〜3553と3552、3551で、導入された3200形と同数となる6両...
- 京成
- タグはありません
2025.03.24
京成3200形 営業運転開始
まさに「令和の赤電」。2月22日、京成電鉄の新型車両3200形デビューした。2024年度導入分の6両が、3204+06-05という編成を組んで6両編成として運用に入っている。遅ればせながら...
2025.03.17
さようなら JR東日本E217系
さようなら、E217系。3月15日、JR各社を始めとした3月の全国的なダイヤ改正が実施された。列車や車両が新しく生まれ、または消えていく。そんな季節が今年もやってきた。JR東日本の横須賀・総武...
2025.03.12
京急600形・2100形 側面の行先表示器をLED化
京急600形と2100形、側面の行先表示器がLEDになる。京急600形と2100形で、側面の行先表示器のLED化が進んでいる。2024年10月下旬にLEDとなった602編成と607編成、2157...