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2020.11.27

新型コロナウイルス感染症の流行による深夜の鉄道利用の減少と、夜間の保守作業の時間確保を目的に、JR東日本を始めとした首都圏の各鉄道事業者では終電の繰り上げがひとつのトレンドになっている。このほど、京成電鉄でも終電の繰り上げと始発の繰り下げを行うことを発表した1)ところなので、その内容を見ながら新しいダイヤがどうなるのかを考察してみよう。

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京成3000形 3029編成
2020.3.20/菅野〜京成八幡

▲2021年春に終電繰り上げと始発繰り下げが実施されることになった京成線。新型コロナウイルス感染症の流行による深夜の鉄道利用の減少と夜間の保守作業の時間確保を目的に、首都圏の各鉄道事業者では終電の繰り上げがひとつのトレンドになっている
2021年春に終電繰り上げと始発繰り下げを実施

まずはプレスリリースの内容を確認しておこう。今回発表された内容は以下のとおりである。

  • 最終列車の繰り上げ:京成高砂〜京成津田沼で10分程度、京成津田沼〜京成佐倉※で15〜20分程度、京成佐倉〜京成成田で20分15分程度(※一部の駅は現行通り)
  • 始発列車の繰り下げ:京成上野〜青砥と京成高砂〜京成津田沼で10分程度、青砥〜京成高砂と京成津田沼〜宗吾参道で5分程度
  • 2021年春に実施

大雑把に言えば、平日ダイヤの終電時刻を土休日ダイヤと同じくらいにしたいということのよう。変更されるのは京成本線の一部区間のみで、成田スカイアクセス線などのそのほかの線区は現行通りとなる。ここ最近の京成では、成田空港の運用時間延長に伴う上り終電の繰り下げやスカイライナーの増発など景気のよいダイヤ改正が続いていたので、それだけに深夜時間帯の列車の削減はなんとも寂しい限り。しかし、社会情勢を考えると致しかたないところか。

実施時期を2021年春と明言したことも大きな内容と思われる。直通先の京急電鉄でも同じく終電の繰り下げが発表されており2)、2021年春に四直全体でダイヤ改正(あるいはダイヤ修正)が実施されることが確定した。京急ではダイヤの詳細を1月に発表するとしており、そこから逆算するとダイヤ改正日は3月あたりになるだろうか。終電繰り上げという内容を含んでいることを考えると、同じく終電繰り上げを実施するJR各社・首都圏私鉄のダイヤ改正日に合わせてくる可能性もある。

新ダイヤを予想する

さて、以上の内容を実際のダイヤに落とし込んでみよう。現行のダイヤがベースになると仮定して、以下のような感じになると思われる。

  • 2361K(最終の通勤特急京成佐倉行):普通京成高砂行に変更
  • 2307(京成上野23時12分発普通宗吾参道行):京成成田行に変更
  • 2313(最終の普通京成成田行):京成佐倉行に変更
  • 23B17(最終の普通京成津田沼行):京成高砂行に変更
  • 2391(京成上野23時35分発普通京成高砂行)を快速京成佐倉行に変更する可能性もある(その場合は2313が京成津田沼行になる)
  • 2324H(上り最終アクセス特急金沢文庫行):西馬込行に変更
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新ダイヤを予想する

▲新ダイヤを予想してみたの図。左が現行ダイヤ、右が新ダイヤを表す。1目盛10分。単に普通列車を短縮させるだけだとあまりに可哀想なダイヤになるので快速を1本増やしてみたが、結果的に土休日ダイヤとほぼほぼ同じになる。※関係列車のみ記載

この中でほぼ確実に廃止が見込まれるのが、現行の京成本線下り終電となる2361K通勤特急京成佐倉行である。種別行先が普通京成高砂行に変更となり、運転区間の大幅な短縮が予想される。京成佐倉に24時59分に到着する都営浅草線からの最終優等列車は1992年4月ダイヤ改正で登場したものだが、設定28年目にして幕を閉じることになりそう。

プレスリリースの通りになるように列車を切っていくと、2361Kが廃止、2313と23B17がそれぞれ短縮されることが考えられる。しかし、単に普通列車を短縮するだけだと深夜時間帯のダイヤがいくらなんでも貧弱になりすぎるので、土休日ダイヤと同じようになると考えるなら(京成上野→)京成高砂24時ちょうど→京成佐倉24時45分くらいのスジで快速が新設される(2391を快速に格上げ+区間延長)可能性がある。この場合、京成佐倉駅で停泊する車両が8両編成のままとなるので、運用関係の変更も最小限に抑えられる。

2324Hアクセス特急金沢文庫行は時刻の変更こそないものの、京急側における終電の繰り上げにより行先の変更を余儀なくされる。京急のプレスリリースを読むと最終の特急金沢文庫行は約21分繰り上がるとのことなので、このアクセス特急は京急線直通の列車でなくなる可能性が高く、土休日ダイヤと同じ西馬込行になるものとみられる。

始発の繰り下げでは数字以上の変化も

終電の繰り上げが列車の行先変更を伴うのに対し、始発電車の繰り下げは各区間の始発列車の出発時刻を単純に繰り下げるだけになる可能性が高い。具体的には、宗吾参道4時35分発普通京成上野行→4時40分発に変更、京成津田沼4時41分発普通京成上野行→4時51分に変更、京成高砂4時45分発普通京成上野行→4時55分発に変更、といった具合。なお、プレスリリースでは平日ダイヤへの言及のみだが、土休日ダイヤにおいても同様の変更が行われるものとみられる。

京成本線の一部区間において5〜10分の始発繰り下げとなるが、たかが5〜10分と見てはいけない。例えば、宗吾参道4時35分発の京成上野行は京成船橋で船橋5時20分発の総武線快速横須賀行に乗り換えられるが、ダイヤ改正以降はできなくなる。すると、東京駅から各方面への始発の新幹線に間に合わなくなるという事態が生じる。目的地によっては到着が1時間近く遅くなる場合もあり、数字の見た目以上に影響は大きい。

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