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2022.11.17

京成電鉄では、11月26日にダイヤ改正を行う。今回のダイヤ改正について、プレスリリース1)や乗換案内サイトなどで現在公開されている情報を基に、その内容を見てみよう。

本稿では、2022年2月26日現在のダイヤを「現行ダイヤ」、2022年11月26日に改正されるダイヤを「新ダイヤ」などと記している。

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京成AE形 AE3編成
2021.11.5/白井~小室

▲スカイライナーにまたまた変化、前回ダイヤ改正の青砥に続いて新鎌ヶ谷にも停車することに。下り10本・上り14本の列車が青砥・新鎌ヶ谷停車便として運転する
1.スカイライナーの新鎌ヶ谷停車を新設

京成上野~成田空港で運行しているスカイライナーについて、一部の列車で新鎌ヶ谷への停車を実施する。スカイライナーが北総線区間内の駅に停車するのは初めてで、前回の2月ダイヤ改正での青砥停車正式ダイヤ化から1年足らずで停車駅がさらに追加されることとなった。同列車を新鎌ヶ谷に停車させる理由は、「松戸・柏エリアからの成田空港アクセスの利便性向上を図る」とのこと。

新鎌ヶ谷に停車するスカイライナーは下り10本・上り14本で、現行ダイヤにおいて青砥に停車している列車をさらに新鎌ヶ谷にも停車させる格好で実施される。したがって、スカイライナーは従来からの日暮里~空港第2ビル無停車便と青砥・新鎌ヶ谷停車便という2種類の列車に、より明確化されることになった。新鎌ヶ谷では上り・下りの両方向とも乗降可能で、スカイライナー特急料金は京成上野・日暮里まで500円、青砥まで300円、空港第2ビル・成田空港まで800円となる。

一方で気になるのは、青砥・新鎌ヶ谷停車便の所要時間。現行ダイヤの青砥停車便が日暮里→空港第2ビルを38分で走るのに対し、新ダイヤの青砥・新鎌ヶ谷停車便は43分もかかっている。やはり成田湯川以遠の単線区間がネックになっているようで、青砥・新鎌ヶ谷停車便に限って根古屋信号所で交換を行うようになる模様(従来の列車は空港第2ビルで行き違い)。下りの途中駅停車便が京成上野毎時17分発から同37分発に変更されているのはこのためであろう。沿線の利便のために速達性を多少犠牲にした格好だが、このあたりを抜本的に解決するために早いところの複線化が望まれるところだ。

2.金町線と千原線、東成田線、芝山鉄道線でワンマン運転開始

金町線と千原線、東成田線、芝山鉄道線で京成では初となるワンマン運転を開始する。対象となるのはこれらの線区を走る4両編成の列車で、実施時間帯は概ね9時~17時。

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京成3500形 3516編成
2022.10.15/京成高砂~柴又

▲一部の線区・時間帯でワンマン運転が実施されることになった4両編成。ワンマン化に伴い運用範囲は拡大、4両編成の復権??

これに伴い、4両編成の運用が大幅に拡大されている。従来は12時台に入庫していた東成田線・芝山鉄道線の平日81運行は運行時間を16時台まで拡大。土休日においても同様に4両編成の81運行が設定され、この区間を4両編成が毎日走るようになる。ただし、出庫列車で行われていた宗吾参道→京成成田の営業運転は回送に変更、営業運転を行うのは京成成田〜芝山千代田だけになる。

千葉・千原線においても4両編成のB51運行を新設した。同線で4両編成が定期的に走るのは2018年12月以来約4年ぶりのことで、B50番台の運行もそれ以来の復活となる。千葉・千原線は利用者の増加により全列車の6両編成化が達成されていたが、昨今の利用状況を踏まえるとそうも言っていられなくなったということだろうか。

B51運行は、平日・土休日ともに千葉・千原線の日中時間帯4運用のうち1運用を置き換える格好で、朝のラッシュ時間帯が終わった9〜10時台にのんびりと現れて16時台後半に消えていくという完全にワンマン運転を行うためだけの運用となっている。ワンマン運転を行うのは千原線だけだが、列車としては従来通り京成津田沼~ちはら台での通し運転となるので、千葉・千原線ではワンマン運転とツーマン運転が混在することになる。特に、ワンマン・ツーマンの境界駅となる千葉中央ではどのような取扱いが行われるのか気になるところ。

ワンマン運転を行う車両については、一部の報道により3500形4本と3600形1本の合わせて5本であることが明らかになっている2)。具体的には既にワンマン運転対応の改造を終えている3516編成と3540編成、3544編成、3668編成、および現在改造を行っているとみられる3508編成で、当面はこの4両編成5本で4本のワンマン運用を回すようだ。4両編成の運用は金町線と千葉・千原線、東成田線・芝山鉄道線でそれぞれ完結・独立しているが、現行ダイヤにおける京成高砂~宗吾参道の不定期回送のような各線区間での車両のやりとりはどうなるのか、時刻表には現れない部分にも注目が集まる。

3.三崎口・京急久里浜発着列車の押上線内快速特急を特急に種別変更

2月ダイヤ改正で登場した京急線三崎口・京急久里浜発着列車の押上線内快速特急運転だが、平日青砥15時48分始発の三崎口行だけを残して特急に種別変更される。京急側のダイヤ改正で三崎口・京急久里浜からの都営浅草線直通列車が従来の快特(SH快特)から特急(H特急)に変更されることに合わせたもの。

4.京成本線そのほか
  • 千葉・千原線でワンマン運転を行う4両編成を挿し込むにあたり、平日ダイヤにおいて京成本線からのちはら台行を1本削減している。京成上野8時24分発普通ちはら台行が京成高砂行に変更となり、京成高砂→京成津田沼で1本の減。
  • 平日17時台と18時台の京成佐倉始発快速京成高砂行1本ずつを成田空港始発に延長の上、これらの列車と京成佐倉で接続する特急を京成成田始発の快速特急に変更。京成成田→京成佐倉で2本の増。
  • 京急車の京成本線乗入れは平日・土休日ともにめでたく残存。新ダイヤにおいても引き続き平日83H運行・土休日81H運行が京成本線を走る。京急側の大改正でさすがに今回はダメかなと思ったけど、しぶといね。
  • 一部の乗換案内サイトで押上線上り最終の普通浅草橋行の後に謎の普通押上行(6両編成、京成高砂24時21分→押上同32分)が出現していたが、これは誤植だった模様で現在は削除されている。京成本線上り最終の京成高砂行と浅草橋行の接続が遅延などでできなかったときの救済臨か何かを誤って掲載してしまった???
5.北総線関連

北総鉄道では新鎌ヶ谷~印西牧の原・印旛日本医大で列車の増発を中心としたダイヤ改正を行う。増発は土休日ダイヤで実施され、7~10時台に3往復分、14~19時台に7往復分、合わせて10往復分の増。同区間における増発は2月ダイヤ改正でも行われており、それに続くものとなった。運賃も値下げしたんだしみんな乗ってくれよな!! という北総の姿勢が如実に伝わってくるダイヤ改正と言えよう。

このほか、平日19時台に運転している急行印旛日本医大行2本の急行運転を取り止め、普通への格下げを行う。これにより北総線における急行列車は全滅、京急線と京成線に続いて北総線でも急行は過去のものになる。

6.新京成線関連

今のところ時刻変更などの発表はない。

◆ ◆ ◆

以上、11月26日のダイヤ改正を概観した。前回の2月ダイヤ改正で大方のところは手を加えていたので内容的には比較的小規模なものとなっているが、スカイライナーの新鎌ヶ谷停車やワンマン運転開始といった新機軸が登場した点で、ひとつの転換点と言えるダイヤ改正になりそう。そして、今回のダイヤ改正においてもやはり珍列車と呼べるような列車が現れているので、それは別途紹介していくことにしよう。

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