2023.09.18
都営5300形の活躍を振り返る。その2。
都営5300形の2月23日の営業運転終了から早くも半年。本稿では、そんな5300形の長年の功績を讃えて同車が走り回った日々を簡単に振り返ってみたい。第2回目は特急以上の種別を取り上げる。その1はこちら。
特急
直通運転において都営車が特急以上の種別に充当されるようになったのは5300形の功績のひとつと言える。都営車の特急が初めて登場したのは1993年4月ダイヤ改正でのことで、平日夜間に都営車初の三崎口乗入れが特急として設定されたのが最初だった。その後、1998年11月ダイヤ改正で京成線、2001年9月ダイヤ改正で北総線でもそれぞれ都営車の特急が登場。時代が下るにつれて5300形の特急は当たり前のものとなっていった。
(飛)特急・エアポート特急
(飛)特急・エアポート特急は、京急線羽田空港駅開業に伴う1998年11月ダイヤ改正でエアポート快特とともに登場した種別である。成田空港と羽田空港という首都圏の二大空港が鉄道によって直結することとなり、種別に飛行機マークを付けた列車が走り回る時代が始まった。もちろん、5300形も両空港を繋ぐ当事者のひとつとしてその一翼を担った。
(飛)特急・エアポート特急の設定による複雑な車両運用は今でも語り草だ。都営車が日常的に京成上野に出入りしていたのはもはや伝説である。一方、その複雑さが災いし、京急線・都営浅草線では翌1999年7月に、京成線でも2002年10月にそれぞれ運行系統が整理されて種別が消滅。5300形の(飛)特急・エアポート特急も短命に終わった。
通勤特急
京成独自の種別、通勤特急。長らく京成車のみの設定であったが、2004年10月ダイヤ改正でついに都営車の列車が初登場した。その後、消滅と復活を繰り返しながら現在に至る。
5300形の通勤特急は表示器の制約から「通特」と表示されるのが特徴。2010年7月ダイヤ改正で通勤特急は種別色がオレンジ色から水色に変更されるが、5300形の種別表示は変わることなく一貫して赤色だった。
快特・快速特急
快特(快速特急)と言えば、長らく京急線内のみで見られた種別であった。特急より高い地位や2扉クロスシート車を中心とした車両運用からは、どことなく特別感が漂っていたものである。
そんな快特に都営車が進出したのは1999年7月ダイヤ改正のこと。日中時間帯に京急線側から都営浅草線直通するSH快特が新設されたことによるものだった。都営車は京急車に混ざる格好で三崎口~青砥・京成高砂を往復。当時の都営浅草線直通快特は日中時間帯でも120km/h運転の対象外だったので、5300形がこの運行系統に入ることも可能だったのである。
その後、快特は大安売りの時代へと移っていく。2004年10月ダイヤ改正では日中時間帯に京成線方面から羽田空港に発着する列車が京急線内で快特化、2006年12月ダイヤ改正では京成側にも快特が新設されるなど、5300形の快特が見られる機会は大きく増加していった。
エアポート快特
ラストはエアポート快特。都営浅草線内では通過運転を行い、羽田空港や成田空港まで直通する四直のフラッグシップ的種別である。この種別を表示した5300形が広報の制作物に登場した機会も多い。当初は空港間を直通する4往復のみだったが、幾多のダイヤ改正を経て幅広い時間帯にわたって見られる種別に成長した。
ただし、5300形が空港間直通系統のエアポート快特に関与できたのは2006年10月ダイヤ改正まで。同改正で成田空港直通列車が壊滅状態になったほか、2010年7月ダイヤ改正で登場した成田スカイアクセス線経由の空港間直通特急では5300形は120km/h運転に対応していないため入ることができなかった。5300形のエアポート快特自体は継続して見られたものの、特に2010年7月以降少し脇役に追いやられた感じは否めなかった。
2012年10月ダイヤ改正で種別色が緑色からオレンジ色に変更されるのに合わせて、都営車の種別表示も変更が実施された。5300形の表示器で種別色が変更となったのは後にも先にもこれが唯一の事例となる。それにしても、最下位の普通と最上位のエアポート快特が同じ色の表示になるとは・・・3色しか表示できない表示機の都合とはいえ面白いものである。
(完)
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