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2024.04.10

​クルンテープ・アピワット中央駅に続いて、かつての中央駅、フワランポーン駅も訪ねてみた。

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タイ国鉄 フアランポーン駅
2023.10.22/**

▲バンコクのかつての中央駅、フアランポーン駅。ドイツのフランクフルト中央駅を模したと言われる威風堂々とした駅舎は健在だが、現在はわずかな数の普通列車のみが発着するローカルなターミナル駅となっている

2023年1月にバンコクの中央駅の地位をクルンテープ・アピワット中央駅に譲ったフアランポーン駅。中央駅の移転にまつわる顛末はクルンテープ・アピワット中央駅の記事に記しているので割愛するが、フアランポーン駅は現在、バンスーとの間に残された地上区間のためにわずかな本数の列車が発着するローカルなターミナル駅となっている。長距離を走る優等列車の発着はなく、出入りするのはバンコク近郊を結ぶ普通列車のみ。多くの旅行者で溢れる光景や喧騒は過去のものとなり、広い駅構内には静かな時間が流れている。

列車の発着が少なくなったとは言え、ドイツのフランクフルト中央駅を模したと言われる威風堂々とした駅舎や、ドーム型屋根の大きな空間は健在だ。現在の駅舎は1916年から使われているとのことだから、御年108才。多少年季の入った柱や壁、床などは、この駅が長い間多くの人に愛されてきた証である。同駅にとって今の状態は、まさしく余生だ。

そんな駅構内を彩っているのは、かつてタイ国鉄で活躍していた往年の機関車たち。列車の発着が減少して持て余しているホームを活用する格好で、蒸気機関車とディーゼル機関車の展示が行われている。廃止後の同駅を鉄道博物館とする計画があることを意識してのことだろうか。これらにカメラを向けている人も多く、評判はよさそう。あるいは、列車を待つ時間の暇つぶしにちょうどよいのかもしれない。

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タイ国鉄 フアランポーン駅
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▲大空間の待合室。往時より人は確実に減ったものの、上階ではカフェが営業しているなど、それなりににぎわいを見せている
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タイ国鉄 フアランポーン駅
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▲駅構内で展示されている蒸気機関車や古いディーゼル機関車たち
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タイ国鉄510形 518・537
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▲510形ディーゼル機関車。1950年代に導入されたアメリカ製の機関車で、小ぶりながらも当時としては俊足を誇ったという
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タイ国鉄 フアランポーン駅
2023.10.22/**

▲列車の発着は主に西側の6番線以降を使用している模様であった。ローカル列車が主なので、停まっているのは冷房のない3等客車ばかり

駅構内を小一時間うろうろしていると、ちょうどよい時間に発車する列車があるというので、それに乗って駅を後にすることにした。14時10分発北本線ナコーンサワン行207レ、バンスーまでのショートトリップである。列車はGE製の4500形ディーゼル機関車を先頭に、3等客車5両という構成。発車間際の車内は1つのボックス席につき1〜2名が埋まっているという程度で、地元の人のほか、私のような外国人旅行者のちょこっと乗車も多いような印象。なお、フアランポーンからバンスーまでの運賃は2バーツ、日本円にしてわずか約8円・・・バグかよ。

駅を出発した列車は、ガシャガシャと音を立てながら駅に隣接する操車場をゆっくりと進み、続いて線路際まで迫ったバラック建築が建ち並ぶエリアを抜けていく。ここらへんの風景は往時と変わらず、列車の旅の始まりという雰囲気に満ちている。冷房がないゆえに窓は全開。車内を吹き抜けるバンコクの生暖かい空気もなんだか心地よい。

途中のラマティボディ病院駅とサムセン駅で多少の乗降がありながら、線路際に新しい高架橋が見え始めてきたらバンスーはまもなく。列車は巨大なクルンテープ・アピワット中央駅を尻目に旧来の地上線に到着する。フワランポーン駅からかかった時間は22分だが、わずか7km程度の距離にそれだけ時間がかかっていることを踏まえると、地上区間の立ち位置が見えてくるものである。

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タイ国鉄4500形 4558ほか
2023.10.22/Bang Sue

▲バンスーに到着した207レ。左奥に見える巨大な建物がクルンテープ・アピワット中央駅である。わずか約20分の乗車でも雰囲気は十分に味わえる
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タイ国鉄 フアランポーン駅
2023.10.22/**

▲乗車券。左下の「2」が購入額。新システム導入に伴い、2020年12月よりQRコード入りの新しい乗車券に変わった。インターネットでも購入可能に

タイ政府の計画によれば、フアランポーン〜バンスー(クルンテープ・アピワット中央)の区間はダークレッドラインの延伸によって代替されることになっている模様だが、工事が進んでいる様子は全く見られず、したがってフアランポーン駅の先行きも不透明な状況となっている。タイのことだから、急に駅を廃止すると言い出す可能性も否定できないのが怖いところだ。可能であれば、フアランポーン駅が駅であるうちにまた訪れたい。

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