2024.06.16
コロナ禍後のメークロン線路市場を訪ねる。
乗るはずだったバスが路線ごと廃止になっていることを知ったのは、朝7時のバスターミナルであった。この時点でこの日の旅程は崩壊。案内係のおばちゃんに近くまで行くと乗せられた代わりのバスで流れ着いたのがメークロンであった。もっとも、当初行く予定だったのがボッタクリで有名な水上マーケットだったから、そこには行くべきではないという神(タイなので仏かもしれない)のお導きだったのかもしれない。
何はともあれメークロンである。正確には、この町はサムットソンクラームと言う。サムットソンクラームはバンコク都心から南西に約70kmほど、メークロン川の河口付近にある小さな町だが、ここを有名たらしめているのは線路市場の存在である。タイ国鉄メークロン線の終点、メークロン駅手前500mほどの軌道上に市場が形成されており、列車がその中を突っ切るというどう考えてもおかしい光景が毎日展開されている。
メークロンを訪れるのは2015年2月以来、2度目だ。だからこそ当初の予定に組み込んでなかったのだが、来てしまったのだからしょうがない。せっかくなので、市場の様子と列車の往来を見ていくことにした。
2020年の初頭から感染が広がった新型コロナウイルスは、世界に暗い影を落とした。特に、観光立国を掲げているタイにおいては、そのダメージは計り知れないものであった。メークロン線(バーンレーム〜メークロンの区間)も所定では1日4往復の運行のところ、2往復に減便。観光客で溢れていた線路市場には閑古鳥が鳴き、見るに耐えない惨憺たる状態だったという。
さて、2023年10月、コロナ禍後のメークロン市場はどうなっていたか。・・・それは、掲載した写真の通りである。右を向いても左を向いても観光客。むしろ、混雑は以前訪れた時よりも酷くなっているような・・・? 2015年に乗車した時には2両編成だった列車は3両編成に増強されており、こちらも観光客を満載していた。線路際から列車を撮る観光客と列車から車窓を撮る観光客とで、互いに互いを撮り合っている状況は相変わらずだった。
線路際には明らかに観光客を意識した土産屋やオシャンティなカフェなんかもできちゃったりなんかして、テーマパーク然としている。そうするともはや風情もへったくりもないのだが、しかし、これはこれでよいのだと思う。行きたいところに行って、面白いものを見たり美味しいものを食べたりする、こうしたことを自由にできるのはなんと幸せなことか。コロナ禍の時のような、移動が制限された世界はもう味わいたくない。そんなようなことを、私を含めて観光客だらけのメークロンで感じたわけである。
列車を見物した後は近くの食堂のカオマンガイで腹を満たし、ロットゥで大きな仏塔のある街へ向かった。
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