タイ国鉄 動き始めたクルンテープ・アピワット中央駅
2024.02.10
タイの首都バンコクにおける新たな中央駅、クルンテープ・アピワット中央駅を訪ねてみた。
タイ国鉄 クルンテープ・アピワット中央駅
2023.10.21/**
バンコクの交通事情において、近年最も大きなできごとは中央駅の移転であろう。クルンテープ・アピワット中央駅と名付けられたバンコクの新たな中央駅は、旧来の中央駅たるフアランポーン駅より北に約7km、国鉄の南本線と北本線が分岐するバンスー・ジャンクション付近に位置している。2021年8月にまずレッドラインのバンスー中央駅として開業した後、2023年1月にフアランポーン駅を発着していた長距離列車の大部分を新駅発着に変更。合わせて、クルンテープ・アピワット中央駅となった。
同駅については7年前にも建設中の様子を紹介しているが、改めて見ても巨大な駅である。東南アジアにおける鉄道のハブとなるべくつくられた新中央駅は、地下部分を含めて4層構造となっており、地上の1階がコンコース、2階と3階が列車の発着するホーム、地下1階が駐車場およびMRTバンスー駅への連絡通路である。2階と3階のホームはそれぞれ6面12線を擁していて、計12面24線という陣容。ただし、今のところ列車が発着するのは2階ホームのみで、3階部分は高速鉄道やARL1)など将来乗入れる予定のある新線のために空けてある。
そんな新しい中央駅だが、開業するまでにさまざまな紆余曲折があった。フアランポーン駅までの地上区間をどうするの問題や、高床式でつくられたホームへの対応遅れや客車トイレ問題、さらには新型コロナウイルスの世界的流行という不運も重なって、開業は遅れに遅れることとなった。レッドラインのみが先行して開業したのもここらへんの事情が重なったためで、タイ政府と国鉄の準備不足は利用者の厳しい批判を招いた。
結局、当初は中央駅移転とともに廃止を予定していたフアランポーン駅までの地上区間も当面残されることとなり、一部の列車はフアランポーン駅発着のまま留まることとなった。部外者としてはフアランポーン駅が現役で残るのはありがたいことだが、なんとも中途半端な状況に陥っている。巨大なクルンテープ・アピワット中央駅の脇にたたずむ旧線とバンスー駅という構図は、中央駅移転にかかわる諸問題の縮図である。
タイ国鉄 クルンテープ・アピワット中央駅
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タイ国鉄 クルンテープ・アピワット中央駅
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タイ国鉄 クルンテープ・アピワット中央駅
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さて、駅に入ってみよう。駅の中はどういう空間が広がっているか、期待が高まるところだが、何があるわけでもなく、構内はただただ無機質でだだっ広い空間が広がっているだけである。都市を代表する中央駅と言うと、多くの列車が発着し、人々が行き交う華やかな場所というイメージがあるが、旅情はいったいどこに・・・。旅の始まりを想起させる雰囲気で溢れていたフアランポーン駅とは実に対照的である。長距離列車の起終点にもかかわらず売店などが少ないといった点も残念で、観光立国を標榜するのならばぜひとも改善してほしいところ。
駅は大きく分けて長距離列車の乗り場とレッドラインの乗り場に分かれているが、保安上の理由から長距離列車ではホームへの立ち入りは基本的に制限されていて、列車の発車時間に近づいた時に乗車券を所持する人だけをホームに案内するという方式が採られている。こうした点からしても、新中央駅はただ列車を乗り降りするためだけの装置といった感じ。もちろんこれでは(乗車する列車以外の)列車の写真を撮るべくもなく、趣味的にはお手上げ状態。駅構内の写真を撮るのですら怒られそうで怖い。タイ国鉄では一方で線路に立ち入り放題のメークロン線などがあるわけで、いい加減なんだか厳しいんだかよく分からん。
タイ国鉄 クルンテープ・アピワット中央駅
2023.10.21/**
とは言え、クルンテープ・アピワット中央駅は始動したばかり、まだ未完成の状態である。今後、高速鉄道やARLが新たに発着するようになる中で、また、駅としての経年を重ねていく中で、魅力溢れる駅へと変わっていくかもしれない。というか、変わっていってほしい。それはバンコクという都市とも重なるところである。まだまだ発展続くバンコクにあって、中央駅も都市とともに成長していくのである。
- 1)ARL=Airport Rail Link。現在はバンコク都心のパヤータイからスワンナプーム国際空港を結ぶ路線だが、クルンテープ・アピワット中央駅を経由してドンムアン空港まで延伸する計画がある。
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