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京成電鉄バスグループ バス事業の大再編を実施

2025.04.26

表現するならば、「激震」。

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京成バス千葉ウエスト 1724号車ほか
2025.4.25/北習志野駅

▲北習志野駅で顔を合わせる京成バス千葉ウエストと京成バス千葉セントラルの車両。4月1日に実施された京成電鉄バスグループの事業再編で、前者は船橋新京成バス鎌ヶ谷営業所から、後者は同習志野営業所からそれぞれ移行したもので、船橋新京成バスは営業所単位でふたたび袂を分かつこととなった

4月1日、京成グループでは傘下のバス事業会社の再編を実施した。京成電鉄の完全子会社となる京成電鉄バスホールディングスを持株会社として新たに設立。その上でグループ15社(京成タウンバス、京成トランジットバス、京成バスシステム、ちばレインボーバス、ちばシティバス、ちばグリーンバス、ちばフラワーバス、東京ベイシティ交通、千葉海浜交通、千葉中央バス、千葉内陸バス、成田空港交通、千葉交通、松戸新京成バス、船橋新京成バス)を地域ごとに統合、京成バス東京、京成バス千葉ウエスト、京成バス千葉セントラル、京成バス千葉イーストの4社にまとめるという、大規模なものとなっている。

同日には新京成電鉄の京成電鉄への吸収合併も実施され、新京成の子会社である新京成バス2社(松戸新京成バス、船橋新京成バス)にも何らかの動きがあることは決定的なものとなっていた。ところが、蓋を開けてみれば新京成バスだけでなく、1990年〜2000年代に京成電鉄から地域ごとに分社した各子会社、1970年代に団地輸送を行うために設立された千葉海浜交通や千葉内陸バス、明治時代末期より100年以上の歴史を持つ千葉交通などを巻き込んでの大再編となったのだから、そりゃもう大騒ぎなのである。これを「激震」と言わずして、なんと言おうか。

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京成電鉄バスグループ 会社再編

▲京成電鉄バスグループの会社再編の全体像。なお、今回の再編は第1ステップという扱いとなり、2026年4月に第2ステップとして京成バス本体も営業所ごとに分割・統合する予定となっている(画像は京成電鉄バスグループ公式Webサイトより)
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京成電鉄バスグループ 車体グラフィック

▲会社再編により京成バスブランドは一新、バスの塗装も改められる。新塗装は白色と濃青色をベースに、地域密着の観点から会社ごとに異なる差し色を入れたデザインを採用。ロゴを含めたグラフィックは、えちごトキめき鉄道や近畿日本鉄道などで交通系デザインの実績がある川西康之氏(株式会社イチバンセン)が担当した(同上)

京成は今回の再編について、「地域インフラの価値向上」と「営業力・採用力の強化」、「地域社会への持続的な貢献」の3つをその目的として挙げている。目下、バス業界では慢性的な乗務員不足に直面しており、現実にそのことを理由とした路線の減便や廃止が全国的に相次いでいるが、新体制移行による変化に柔軟、迅速な対応で、今後も信頼性の高い交通サービスの提供をしていきたい考えだ。

◆ ◆ ◆

以下、各社の概要を見ていこう。【交通系IC】は、交通系ICカードの履歴に表示される暫定的な社名を示す。【車両番号】については現在進行系で変化が生じている事象のため、筆者の確認が追いついていない場合があります。

京成バス東京
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京成バス東京 0063号車ほか
2025.4.20/葛飾営業所

▲京成タウンバス改め京成バス東京の車両たち。将来の京成バス合流に備え、営業所の名称も京成タウンバス奥戸営業所から葛飾営業所に変更となっている。車両番号もTxxxから0xxxに改められた
  • 【本社所在地】東京都葛飾区
  • 【営業所】葛飾営業所(旧京成タウンバス奥戸営業所)。
  • 【カラー】沿線地域の花菖蒲や下町の伝統文化をモチーフとした花菖蒲色
  • 【交通系IC】京成タウ
  • 【車両番号】旧京成タウンバス所属車両は、車両番号をTxxxから0xxxに変更した。
  • 【その他】2026年4月に京成バス奥戸営業所、金町営業所、江戸川営業所が合流予定。
京成バス千葉ウエスト
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京成バス千葉ウエスト 6323号車ほか
2025.4.20/松戸駅東口

▲京成バス千葉ウエスト松戸東営業所として運行する旧松戸新京成。電車だけでなくバスからも新京成の名前が消滅した。旧新京成バス2社では2022年度に当時のコーポレートカラーであるジェントルピンクを使用した新塗装に切り替わったばかりだったが、それもむなしく京成電鉄バスグループの新デザインに移行することになる
  • 【本社所在地】千葉県浦安市
  • 【営業所】塩浜営業所(旧京成トランジットバス塩浜営業所)、舞浜営業所(旧同千鳥営業所)、千鳥営業所(旧東京ベイシティ交通千鳥営業所)、松戸東営業所(旧松戸新京成バス松戸営業所)、鎌ヶ谷営業所(旧船橋新京成バス鎌ヶ谷営業所)
  • 【カラー】沿線地域の花々をモチーフとした紅緋色
  • 【交通系IC】京成トラ
  • 【車両番号】旧松戸新京成バスの車両について、番号を3000番台から6000番台に変更。
  • 【その他】2026年4月に京成バス松戸営業所、市川営業所が合流予定。
京成バス千葉セントラル
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京成バス千葉セントラル 5321号車ほか
2025.4.25/津田沼駅

▲京成バス千葉セントラルとしてひとつの会社に収まった旧ちばレインボーバスと旧船橋新京成バス(習志野営業所)。並行して走る国道296号では、旧2社で一部異なっていたバス停名称の統一が図られた。1番奥に停まっている京成バス習志野出張所も2026年4月に統合予定
  • 【本社所在地】千葉県船橋市
  • 【営業所】船橋営業所(旧京成バスシステム本社営業所)、習志野西営業所(旧船橋新京成バス習志野営業所)、高浜営業所(旧千葉海浜交通高浜営業所)、印西営業所(旧ちばレインボーバス本社営業所)
  • 【カラー】沿線地域の海や東京湾に広がる大きな青空をモチーフとした天色
  • 【交通系IC】船新京B
  • 【車両番号】旧ちばレインボーバスの車両は3桁の番号から5000番台に変更。旧京成バスシステムの車両について、一般路線車はKS-xxxxから1000番台に変更、貸切・特定用の車両はKxxxにそれぞれ変更。
  • 【その他】2026年4月に京成バス新都心営業所、習志野出張所、長沼営業所、新習志野高速営業所が合流予定。
京成バス千葉イースト
  • 【本社所在地】千葉県成田市
  • 【営業所】成田営業所(旧千葉交通成田営業所)、銚子営業所(旧同銚子営業所)、多古営業所(旧同多古営業所)、千葉南営業所(旧千葉中央バス千葉営業所)、大野台営業所(旧同大野台営業所)、いすみ営業所(旧同いすみ営業所)、成田空港営業所(旧成田空港交通成田営業所)、四街道営業所(旧千葉内陸バス千代田営業所)、成東営業所(旧ちばフラワーバス本社営業所)、中野営業所(旧同中野営業所)、新港営業所(旧ちばシティバス千葉営業所)、佐倉営業所(旧ちばグリーンバス佐倉営業所)
  • 【カラー】沿線地域の里山や松の葉をモチーフとした千歳緑色
  • 【交通系IC】ちばグリ
  • 【車両番号】旧ちばシティバスの車両はCxxxから4000番台に、旧ちばグリーンバスの車両はCG-xxxから0xxxに変更。また、旧千葉中央バスで千葉営業所に所属していた車両について、1000番台から2000番台に変更。
  • 【その他】2026年4月に京成バス千葉営業所が合流予定。
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京成バスグループ バス停いろいろ

▲京成グループのバス各社で見られた個性的なバス停たち。今回の再編で、京成バスと東京BRTを除いて消滅することとなった

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