フランス国鉄 TGVに乗る 3 - TGV inOui編
2025.09.20
2024年秋にフランスを訪れた際に、フランス国鉄の高速鉄道TGVに乗る機会があったので、雑感を記してみようと思う。その3はTGV inOui編。
フランス国鉄 TGV
2024.9.10/Paris-Montparnasse
フランス国鉄TGV乗車記、いよいよ乗車編を記す。今回乗車したのは、首都パリからブルターニュ地方の中心都市レンヌ。距離にして約360km、所要時間は途中ノンストップの直行便で約1時間半である。東京〜名古屋(約340km)を1時間40分で走る東海道新幹線「のぞみ」(途中、品川と新横浜に停車)と同じくらいの感じ。
なお、表題のTGV inOuiは「TGVイヌイ」と読む。今回の記事でわざわざinOui編と記しているのは、TGVには従来からのTGVであるinOuiと廉価版のOuigo(ウィゴー)という2つのブランドが併存しているため。レンヌからパリに戻る時にOuigoにも乗車したので、そちらも追ってご紹介したいと思う。
少し窮屈なTGV Duplexの車内
さて、列車に乗り込んでみよう。車両は2階建て仕様のTGV Duplexで、10両編成を2本つなげた重連編成での運転であった。今回乗車した2等車は2+2の座席配置で、座席は回転できない固定式。座席の向きは、車両の中央付近のボックス席を境にして互いに中央に向かって設置される、いわゆる集団見合い型である。座席はリクライニング機構を備えているが、日本で一般的な背もたれが倒れるものではなく、座面が前に出るタイプとなっている。
TGV Duplex 車内
2024.9.10/**
座席を含めて車内は少し窮屈である、というのが私の印象。そもそも2階建て車両であることから天井が低い上に、車幅も在来線走行に対応したサイズであるがゆえだが、もしかしたら日本の在来線特急より狭い気がする。狭いので大きな荷物は自分の座席に持ち込むことはできず、車端や車両中央に備えてあるスーツケース置き場に置くことになる。
集団見合い型の固定式座席なので、その約半数は進行方向とは逆向きの座席になってしまう。私を含め日本人なら進行方向向きの座席に座りたいと考えるところだが、困ったことにそうした座席を確実に予約する方法はない。2等車の場合、指定できるのは1階か2階(TGV Duplexの場合)、窓側、通路側といった大まかなカテゴリーだけで、座席の具体的な位置はランダムで決められる。1等車では座席指定が可能なものの、車両運用の都合で編成が予告なしに丸ごと逆向きとなる場合があるため、こちらも最終的には運に委ねられる。
各座席にコンセントとUSBポートが設置されているのは嬉しいところ。列車専用の無料Wi-Fiも飛んでいるようだったので接続してみたが、こちらは何の役にも立たなかった。
駅のないTGV高速線
そうこうしているうちに列車は定刻でパリ・モンパルナス駅を発車。モンパルナス駅とLGV大西洋線はほぼほぼ直結しており、トンネルをいくつか抜けながら最高速度300km/hに向けて少しずつ加速していく。10分も走ればパリ都市圏を抜けて、列車はのどかな風景が広がる郊外へ。パリは意外と狭い。
面白いのは、フランスの高速鉄道線は高速走行することに振り切っていることである。具体的には、路線上にほとんど駅がない。パリ〜レンヌ間で言えば、パリ側の起点となるモンパルナス駅のほかに、リヨンやストラスブール方面に直通するTGV(=モンパルナス駅を発着しない列車)が停車するマッシーTGV駅がパリの近郊にあるだけで、その次の駅はもう約350km先のレンヌとなる。
フランス国鉄 路線図
フランス国鉄 路線図
レンヌ方面に走るTGVには、レンヌまで直行する列車のほかに、自動車競技の耐久レースで有名なル・マンやペイ・ド・ラ・ロワール地域圏の小都市ラヴァルに停車する列車がある。しかし、ル・マンやラヴァルは高速線上に駅がないのに、どうやって停車するのだろうか。
それは、停車駅の前後の区間だけ、在来線を走るという方法を採用している。都市の前後に設けられた在来線とのジャンクションより在来線に入り、ル・マンあるいはラヴァルに停車、その後は再び高速線に戻るのである。自動車に例えるなら、高速道路をいったん降りて一般道へ、用事を済ませたら再び高速道路に乗って先に進むといった感じだ。
このため、途中駅停車タイプの列車は直行便に比べてレンヌまでの所要時間が20分も30分も増えてしまっているが、一方で高速線は都市中心部に入り込んでいく必要がないため、建設費が抑えられるというメリットが生じている。TGVの在来線も走行可能な仕様と合わせた、合理的な選択がなされていると言えよう。
したがって、(直行便の)TGVは都市部を避けてひたすら郊外を走っていく。都市を縫うようにして走る日本の新幹線とは対照的である。また、ほとんどの区間で地平を走るのも、高架橋やトンネルを駆使して進んでいく新幹線とは異なるところ。TGVでは、道路側がオーバーパスやアンダーパスで線路を交わしていく。
フランス西部は酪農王国フランスの中でも特に乳業が盛んな地域で、TGVの車窓に映るのも、ほとんどが牧場や草原、畑である。所々に小さな町や村が出てきては、高速で通り過ぎていく。そのうちに巨大な風力発電の風車が何基も立ち並ぶところが出てきたりするのは、環境に対する取り組みが進んでいるいかにもヨーロッパらしい。
LGV大西洋線 車窓
2024.9.10/**
最初はそんなことにいちいち感動したりしていたが、こうした車窓が延々と続くので、だんだんと飽きてしまった(ぉぃ)。朝も早かったし、気づいたらうとうとと・・・。
パリを出発してから約1時間半、列車は遅れることなくレンヌに到着した。
※9/23修正:2等車の座席指定について記述を修正しました。
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