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2022.08.17

京成電鉄の成田空港輸送の今後を占う。

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京成AE形 AE1編成
2022.3.9/印旛日本医大〜成田湯川

▲京成電鉄の看板列車であるスカイライナー。2030年代に向けた成田空港の機能強化に合わせてさらなる「大化け」が期待される

京成グループの事業の中核である成田空港輸送。7月29日に公表された長期経営計画「Dプラン」および中期経営計画「D1プラン」1)においても、事業の柱のひとつとしてさまざまな計画が記載されているところである。成田空港輸送の今後については成田スカイアクセス線の10周年を祝した記事でざっくりと紹介しているが、今回発表された「Dプラン」と「D1プラン」ではより具体的なことも盛り込まれているので、そこらへんのことを含め改めて京成の成田空港輸送が今後どうなっていくのかを見てみよう。

成田空港の更なる機能強化

まず、前提条件となる成田空港の動向について確認しておこう。現在、成田空港では更なる機能強化としてB滑走路の延長とC滑走路の新設が進められているところである2)。航空機の年間発着容量を50万回に拡大することを目的としたもので、完成予定は2028年度末。これにより、2030年には成田空港の年間旅客数が現在(※コロナ前)の約1.5倍となる6000万人になる見込みとなっている。

成田空港輸送の強化・スカイライナー車両の増備

結論から言えば、成田空港の更なる機能強化に対応していくというのが京成の成田空港輸送の今後である。成田空港開港以来の空港輸送の担い手として成田空港輸送における確固たる地位の確立を目指すとし、2020年代末〜2030年代に向けてスカイライナー停車駅の改良や成田スカイアクセス線の線路容量拡大、宗吾車両基地の機能強化などハード面の強化を推進していく。これらの事業を推進するための「プロジェクト推進部」なる部署も新設されるということで、成田空港輸送の強化はまさに京成グループにとっての一大プロジェクトといった格好だ。なにせ、前述のとおり成田空港の年間旅客数は現在の1.5倍になるわけだから、成田スカイアクセス線においてもそれ相応の「大化け」が期待される。

その中において、スカイライナー車両の増備についても盛り込まれている。現在、スカイライナーはAE形8両編成9本で運用されているが、言わずもがな将来的にはそれでは不足するということを見込んでのこと。2024年度までの「D1プラン」では車両の増備を推進ということで準備期間に位置づけているものとみられるが、実際に増備車両が登場するのはやはり旅客数の大きな増加が見込まれる2028年度〜2030年度あたりだろうか。

増備車両が2028年度以降に出てくるとするならば、このタイミングで次世代スカイライナー車両の登場の可能性も浮上してくる。さすがに2020年代も終わりごろに現行AE形を新造するといったことはない・・・と信じたい。そして、現行のAE形も何もなければその頃には置き換えの時期を迎えてつつあるだろうから、増備車両から新型車両を導入し、それと並行してAE形を置き換えていくことも考えられる。この際、新型車両は必ずしも8両編成である必要はなく、スカイライナー停車駅や車両基地の改良との合わせ技で10両編成を導入するというパターンもあるのかもしれない。

スカイライナーの停車パターンの見直し

このほか「D1プラン」では、スカイライナーのさらなる利便性向上への取り組みとして、スカイライナーの停車パターンの見直しを含めたダイヤ改正を行うとしている。スカイライナーは2019年10月ダイヤ改正で終日20分間隔での運転を達成、停車パターンとしては2022年2月ダイヤ改正より一部列車の青砥停車が正式ダイヤ化されたばかりだが、京成としてはスカイライナーの現状に満足しているわけではないという姿勢が伝わってくる。

スカイライナーの停車パターンの見直しがどのタイミングでどういうふうに実施されるかは現時点では全く不透明ながら、停車駅をいじるとすればやはり千葉県内ということになるだろうか。成田空港輸送の中核を担うスカイライナーは今のところ対都心に特化した列車となっているが、これが例えば千葉ニュータウン中央に停車するようになれば、スカイライナーを利用できる範囲が北総線区間内にも広がる。東松戸や新鎌ヶ谷からの利用客も千葉ニュータウン中央からスカイライナーを使って成田空港に向かうという選択肢が増える。

スカイライナーの現行の運転本数だとこれ以上停車駅を増やすのは難しいかもしれないが、成田空港の機能強化とともにスカイライナーの本数が増えるなら、停車パターン違いの列車を運転する余地も生まれてこよう。いかんせんアクセス特急はこれ以上増発する気がなさそう雰囲気なので、成田スカイアクセスの成田空港直結という強みを活かすためには、スカイライナーのあり方が鍵になるものと思われる。

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