KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2022.07.31

7月29日、京成電鉄は2022年度からの新たな長期経営計画「Dプラン」と2022年度から2024年度の3ヶ年に適用される中期経営計画「D1プラン」を発表した1)。この中で、新形式車両となる3200形の導入が明らかになっている。はたして3200形はどういった車両になるのか、想像してみよう。

D36599.jpg

京成3150形 3153編成
2021.3.12/立会川

▲現時点で最新型の車両となる京成3100形。3000形が長きにわたり最新型として君臨してきたのに対し、3100形はわずか4〜5年でその地位を譲ることになりそう
編成車両数の変更が可能な新型車両3200形

中期経営計画「D1プラン」における3200形についての記載は、「編成車両数を変更できる新形式車両(3200形)の導入」とあるのみ。しかし、この「編成車両数を変更できる」というコンセプトが3200形の最大の特徴であり、新型車両導入の目的であることは疑いのないところであろう。現行の京成の車両の中で編成車両数が変更できる車両と言えば、3500形。「D1プラン」に言及のある3200形は遅くとも2024年度までには登場するものと考えられるが、タイミング的にも3500形の代替が視野に入っていることは確実で、この3200形で3500形を置き換えていくものと思われる。

D38148.jpg

京成3500形 3524編成
2021.10.8/京成幕張本郷〜京成幕張

▲46両が在籍する京成車両陣の最古参、3500形。最初に導入された車両は今年度中にも車齢50年に達しようとしているが、いよいよ終わりが見えてきた?

3200形が3500形置き換え用であるならば、その基本形は4両編成である可能性が高い。京成では金町線などの運行にどうしても必要な4両編成を数本残して運用しているが、4両編成の布陣は3500形と3600形VVVF車といういずれも老朽化が心配される車両である。長年燻っていたと思われる4両編成どうするの問題は、既存の車両を改造するなどいくつかの選択肢が考えられる中で、新型車両を導入するという答えをもって決着する格好になりそうだ。

近年は京成でも車両の固定編成化が進み、このまま突き進むと思っていたところでの3200形の導入発表。ただ単に4両編成の老朽車両を置き換えるだけなら4両固定編成を導入すれば済むところ、編成車両数を変更できる仕様を盛り込むあたりを見ると、4両と6両、8両という異なる長さの編成を運用する京成にとって、それぞれの編成の共通予備的にも使える3500形のような車両はやっぱり便利な存在ということなのだろう。

3100形と3200形の関係性

気になるのは3100形と3200形の関係性。新たな京成グループ標準車両として華々しくデビューした3100形だが、早くも後輩が登場することになってしまった。3200形の導入は3100形にどのような影響を及ぼすだろうか。

まず考えられるのは、3100形と3200形を並行して導入していくやり方。3100形が3000形のコンセプトを踏襲した上でフルモデルチェンジした車両であるのに対し、3200形はそれらとはコンセプトが全く異なる車両となる。コンセプトが異なる2種類の車両を、それぞれ適材適所で導入していく。すなわち、車両運用の中で編成車両数の変更が必要となる分は3200形を、8両あるいは6両固定編成で十分な分は3100形をそれぞれ導入すればよいわけである。

一方、3100形の導入を打ち切って車両の新造を3200形に完全移行することも大いにありうる。編成車両数の変更が可能ということは当然ながら6両編成や8両編成も組めるということなので、3100形の導入で十分なところでも3200形が取って代わることが可能である。編成車両数を変えられるからといって3200形による置き換え対象を3500形に限定する必要はなく、例えば3400形を3200形で代替したって構わないのだ。

後者の場合、現状を踏まえると3100形は少数派で終わることになる。なんなら3100形は成田スカイアクセス線仕様の3150番台のみで導入は終了、京成本線仕様の車両は登場しない可能性すら浮上する。

◆ ◆ ◆

以上、経営計画の中のわずかな情報から、新型車両3200形についてあれこれと想像を巡らせてみた。いずれにせよ実際のところが明らかになるのは2〜3年後だろうだから、焦らず騒がすのんびりと待ちたいところである。いち利用者としては、ぜひともかっこよくて快適な車両となることを期待したい。

  • 京成
  • タグはありません

関連記事

京成電鉄「2022年度 鉄道事業設備投資計画」を読む

今年も大型連休が終わり、鉄道各社から今年度における設備投資計画が発表される季節がやってきた。京成電鉄でも17日の夕方に発表があったところなので、これを読んで今後の動きを探ってみよう。まず、この...

京成電鉄「2022年度 鉄道事業設備投資計画」を読む
京成グループ 車両の動き(2021年度)

年度末ということで、京成グループにおける2021年度の車両の動きをまとめてみよう。2021年度、京成電鉄は3100形8両編成2本を導入した。2本は成田スカイアクセス線仕様の3150番台で、日本...

京成グループ 車両の動き(2021年度)
京成3500形 6両編成を一斉に編成組み換え

京成3500形の6両編成に異変。なんだか大変なことが起きている。京成3500形において、編成組み換えが行われている。どういった内容なのか見てみよう。編成組み換えは以下の通りとなっている。ご覧の...

京成3500形 6両編成を一斉に編成組み換え
まだまだ頑張る京成3500形更新車

まだまだ頑張る京成3500形更新車。京成では現在3100形の導入と、3600形と3400形の廃車が進められていることは車両の動きでもお伝えしているとおりである。そんな3600形や3400形を...

まだまだ頑張る京成3500形更新車
京成線 4両編成の現況

京成線の4両編成の今。2018年12月ダイヤ修正で大幅な削減が実施された京成線の4両編成。その4両編成の現在の状況を少しばかり整理しておこう。まずは2018年12月ダイヤ修正以降、4両編成が...

京成線 4両編成の現況

最新記事

北総線 西白井駅で『ウマ娘 プリティーダービー』特別装飾を実施

「ウマ娘」たちが北総線西白井駅を駆ける。北総鉄道では、10月中旬より西白井駅において『ウマ娘 プリティーダービー(以下、ウマ娘)』の特別装飾を実施している。『ウマ娘』とは、株式会社Cygames...

北総線 西白井駅で『ウマ娘 プリティーダービー』特別装飾を実施
「都営フェスタ2024 in浅草線」開催

5年ぶりの祭典。11月30日、東京都交通局馬込車両検修場で車両基地公開イベント「都営フェスタ2024 in浅草線」が開催された。三田線の志村車両検修場と交互で概ね2年に1度に開催されるイベント...

「都営フェスタ2024 in浅草線」開催
京成電鉄 モーニングライナー・イブニングライナーの特急料金を改定

京成線、モーニングライナーとイブニングライナーを実質値上げ。11月23日、京成電鉄では京成本線で運行している座席指定制の特急列車モーニングライナーとイブニングライナーの特急料金の改定を実施した...

京成電鉄 モーニングライナー・イブニングライナーの特急料金を改定
四直珍列車研究 136 - 平日 720T

唯一、かつ初めての羽田空港行。京成線や北総線、都営浅草線では、23日にダイヤ修正が実施される。ダイヤ修正前日の記事として、今回も消えてしまう珍列車を取り上げてみよう。平日720Tレ特急羽田空港行...

四直珍列車研究 136 - 平日 720T
京成線 2024年11月23日ダイヤ修正

京成電鉄では、11月23日にダイヤ修正を行う。今回のダイヤ修正について、プレスリリースや15日発売の京成時刻表Vol.33などで明らかになっている情報を基に、その内容を見てみよう。本稿では...

京成線 2024年11月23日ダイヤ修正