2023.04.01
2023年2月、京成3000形はデビューから20周年を迎えた。3000形の20周年を記念して、その20年を簡単に振り返ってみよう。その2。その1はこちら。
成田スカイアクセス線用の3050番台(2010年度)
2007年度までの大量導入から2年半のブランクを経て、2010年7月、成田スカイアクセス線の開業とともに3050形48両がデビューした。同線を走るアクセス特急用として導入された3050形は、3000形7次車として区分されるものの、空をイメージした外装デザインが採用されるなど3000形の中でも文字通り異色の存在であった。
3050形は今でこそ3000形の一形態である感が強いが、登場当初はその番台区分や新しいデザイン、LCD案内表示器、運転状況記録装置、スクリュー式のコンプレッサなどの新機軸から、新形式車両並みの印象を抱いた人が多かったと思う。なによりも、3050形が3000形ばかりが導入されて食傷気味だった心を満たしてくれたのは確かだった。
そんな3050形だが、成田スカイアクセス線での活躍が長く続かなかったことは周知の事実である。2019年度より3000形の後継車輌となる3100形が成田スカイアクセス線用として導入され、3050形は押し出される格好で順次京成本線に転用。同社にとって稼ぎ頭である成田スカイアクセス線に新車を投入したいという意向が働いたものとみられるが、まさか10年そこらで職を追われることになろうとは・・・。3050形のうち3056編成のみが現在も成田スカイアクセス線用として運用されているが、この編成も3157編成が導入され次第、京成本線に転用になるものとみられる。
3000形、さらに増え続ける(2012年度〜2018年度)
2012年度より成田スカイアクセス線の開業準備で止まっていた3000形の製造が再開。 2008年度までのペースより少し落ちたものの、増備はコンスタントに続けられていった。6両編成と8両編成が必要に応じて導入され、旧来の車両をどんどん置き換えていった。2015年度には3300形が、2016年度には3500形未更新車がそれぞれ全廃。さらに、同じく2016年度から3600形の置き換えも始まった。もしかして、このままいけば京成の通勤型車両は全部3000形になっちゃう??
・・・ということすら頭に少しよぎったところで、2018年度に新形式車両(3100形)の導入が発表されて、3000形の製造は打ち止め。結果的に、導入された車両の数はノーマルな3000形だけで278両、3050形を合わせて326両、京成グループ標準車両として姉妹車両である北総7500形や9200形、N800形も含めると388両にも及ぶこととなった。よくもまあ、ここまで飽きずに同じものをつくり続けたものである。
3000形の今後
さて、3000形の増えっぷりを振り返ったところで同車の今後について少し考えてみよう。今後・・・とは言っても、3000形が主力として君臨する期間がもうしばらく続くことは明らかであろう。最終増備車である14次車に至ってはまだまだ車齢4年、あと30年くらい走ってくれるはずだ。目下のところ動きがあるとすれば、3700形で実施されたような車体改修が3000形でも行われるかどうか。導入から20年となる1次車あたりは、そろそろそうしたタイミングに差し掛かっていてもおかしくないものと思われる。
他方、大量に導入された時期があるということは車齢がその付近に集中しているということでもあり、今後これは車両の置き換えを計画する上で不安要素になるものと考えられる。4両編成どうするの問題が新型車両3200形によって解決されようしている今、次の課題は大量の3000形をどうするの問題だろうか。はたして十数年後、どういった答えが見られるか。
◆ ◆ ◆
私が当初3000形に対してあまり良い印象を受けなかったのは、前編の冒頭で記したとおりである。さらに言えば、こんなのが「3000形」の2代目なの・・・? とすら思ったことを白状する。生半可な車両が3000形を名乗っては、相互直通運転の礎を築いた偉大な先代に失礼だから。
しかし、結果的にこれは大きな間違いであった。特徴がないことこそ汎用型車両の強さであり、ゆえにグループ全体で388両という数字を積み重ねることができたわけである。16年も導入し続けながら大きなマイナーチェンジもなくほぼ同一仕様で導入しきったことも、当初から完成度が高かったことの現れにほかならない。2代目・3000形もまた、京成車両史に大きく刻まれる車両になったわけである。
そうした点を見抜けなかったことについて反省するとともに、3000形にはこれからもお世話になりますよということで、文を〆る。
(完)
- 京成
- タグはありません
関連記事
京成3000形 「桜に染まるまち、佐倉」ヘッドマーク(2023年)
今年も桜に染まるまち、佐倉。京成電鉄とちばグリーンバス、佐倉市では、3月中旬より佐倉市への誘客を目的とした観光キャンペーン「桜に染まるまち、佐倉2023」を実施している。佐倉と言えば、千葉県屈指...
京成3000形 「ありがとう! さようならシャンシャン」ヘッドマーク
ありがとう、シャンシャン(2年ぶり2回目)。京成電鉄では、12月下旬より3000形に「ありがとう! さようならシャンシャン」ヘッドマークを掲出している。上野動物園のジャイアントパンダ・シャンシャン...
京成3000形 「質実さと実用本位」を貫いた20年
デビュー20周年を迎えた京成3000形。成田スカイアクセス線用に導入された3050番台の車両を含めると総勢326両、京成車両群の6割近くを占める3000形。そんな3000形は、2023年2月1日...
京成3000形 「パンダ来日50周年記念」ヘッドマーク
パンダが日本に来てから半世紀。京成電鉄では、10月下旬から12月末まで3000形に「パンダ来日50周年記念」ヘッドマークの掲出を行った。1972年10月に日本で初めてジャイアントパンダ「カンカン...
京成3500形 走り続けて50周年
走り続けて半世紀。京成電鉄における最古参の車両として走る3500形。そんな3500形は2022年12月、めでたくデビュー50周年を迎えた。1972年12月26日に竣工(入籍)した3504編成...
最新記事
四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」
「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...
北総車の京急線内特急運転が復活
約19年ぶりに復活した北総車の京急線内特急運転を見る。京急線に大きな変化をもたらした2022年11月ダイヤ改正。京急自ら「23年ぶりの大改正」としたこのダイヤ改正では、特に日中時間帯の運行...