KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2011.09.11

「あの日」から半年である。奇しくもその半年をむかえる前日の9月10日から京成線はようやく震災前のダイヤにほぼ戻ったわけだが、この半年間は震災の被害あるいは東電管内の電力不足に伴う節電対策により、変則的なダイヤを組まざるを得なかった。東日本大震災後の京成線の運行状況を、何回かに分けて記してみようと思う。

◆ ◆ ◆

D09600.jpg

震災発生直後の京急線横浜駅、上りホーム
2011.3.11/**

▲震災発生直後の京急線横浜駅上りホーム。普段は大勢の人でごった返すが、まるで時間が止まったかのよう
D09601.jpg

震災発生直後の京急線横浜駅、JR連絡改札口
2011.3.11/**

▲封鎖された連絡改札、手前の京急側は停電で真っ暗

3月11日の14時46分に発生した東日本大震災は、首都圏の鉄道路線全線が長時間にわたって運転を休止するなど、甚大な被害をもたらした。被害が比較的少なかったなどで、その日のうちに運転を再開することができた路線もあったようだが、京成線の運転再開は翌12日のことであった。

12日は6時ごろより運転を開始した模様である。この時点で動いたのは、京成本線高砂〜八千代台、押上線(+北総線)、金町線、千葉・千原線であった。京成本線の運転再開が当初八千代台までだったのは、現在も徐行運転を余儀なくされているユーカリが丘〜うすい間の路盤に深刻な被害が生じ、復旧作業に時間を要したためである。そして、少し遅れて11時ごろ、八千代台〜成田空港間が運転再開。このほか、同じく11時ごろより成田スカイアクセス線印旛日本医大〜成田空港間がこの区間での折返し運転により運転を再開した。

都営浅草線は西馬込〜押上間で運転、京急線は品川での折返し運転でそれぞれ運転を再開している。泉岳寺〜品川間はこの日も終日にわたり営業運転を取り止めたため、京急線〜都営浅草線を利用する乗客は、品川〜泉岳寺間を歩くかJR線など他の手段を使わざるを得なかった。

D09626.jpg

京成3000形 3015編成
2011.3.12/高砂〜小岩

▲八千代台行として走る3000形3015編成。運行番号はS03を表示
D09628.jpg

京成3700形 3838編成
2011.3.12/高砂〜小岩

▲S05普通八千代台行の3700形3838編成

運行は、上野〜八千代台間、押上〜印旛日本医大間、金町線、千葉・千原線、八千代台〜成田空港間、成田〜芝山千代田間、印旛日本医大〜成田空港間でそれぞれ折返し運転を行なった。全線とも各駅停車で、適当な列車間隔での運転となっていた。私が見た範囲では、上野〜八千代台間は概ね20〜30分間隔の運転となっており、3000形・3700形の6両編成が使用されていた。押上〜印旛日本医大間も同じく20〜30分間隔。こちらは京成車と北総車がごちゃ混ぜに使用されており、3050形の姿もあった。八千代台〜成田空港間は8両編成での運転、この運行系統は16時ごろより快速で東中山まで走るようになっている。

◆ ◆ ◆

12日は列車の本数が限られていたことも相まって、私を含め都内からの帰宅難民で下り列車は大混雑であった。特に6両編成で動かしていた京成本線上野〜八千代台間の運転においては、船橋にて総武線からの乗換え客を積み残してしまう程であった。

6両編成しか動かせなかったのは中山と海神のホームの長さが短いためだ。しかし、逆に言えばこの2駅さえ8両対応となっていれば、八千代台にて6両編成と8両編成とで系統分離をせずに、全線を直通する8両編成の運行が可能だった。

私はこの2駅を8両対応にする必要はないんじゃないかと思っていたのだが、やはり何が起きるか分からない。この日は備えあれば憂いなしという諺を強く実感したのであった。

関連記事

東日本大震災後の運行記録 6 - 北総鉄道の臨時ダイヤ

震災後の運行状況その6、北総鉄道の臨時ダイヤである。北総鉄道でも4月4日より減便を含めた臨時ダイヤが実施された。日中時間帯の運行本数が1時間あたり3本と比較的少ない北総線においては日中の減便は...

東日本大震災後の運行記録 6 - 北総鉄道の臨時ダイヤ
東日本大震災後の運行記録 5 - 京成車の新京成運用代走

震災後の運行状況その5、ここでは京成千葉・千原線、および直通運転を行なっている新京成線を中心にみていこう。東日本大震災後、3月13日には一旦通常運行に戻った京成千葉線〜新京成線の直通運転は...

東日本大震災後の運行記録 5 - 京成車の新京成運用代走
東日本大震災後の運行記録 4 - 5月9日からの特別ダイヤ

震災後の運行状況その4。5月9日から実施された特別ダイヤである。東日本大震災以後から続いている臨時ダイヤでの運行だが、5月9日にさらにその一部が変更され、震災臨時ダイヤNo.3の使用が開始された...

東日本大震災後の運行記録 4 - 5月9日からの特別ダイヤ
東日本大震災後の運行記録 3 - 4月4日からの特別ダイヤ

震災後の運行状況その3。4月4日から実施された特別ダイヤである。京成線では震災の発生以降、3月22日から土休日ダイヤをベースとした臨時ダイヤでの運行が続いていたが、4月4日より学校の新学期が...

東日本大震災後の運行記録 3 - 4月4日からの特別ダイヤ
東日本大震災後の運行記録 2 - 3月22日からの特別ダイヤ

震災後の運行状況、その2。3月22日から施行された特別ダイヤである。3月11日の地震の影響による東京電力管内の電力逼迫を受け、3月22日から特別ダイヤでの運行がスタートした。そのダイヤは...

東日本大震災後の運行記録 2 - 3月22日からの特別ダイヤ

最新記事

2025.07.03

京急600形・2100形 20周年を迎えた「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」

運行開始から20周年を迎えた「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」(京急ブルースカイトレイン)。京急の車両と言えば赤い車体に白い帯が特徴だが、その中で異彩を放っているのが「Keikyu...

  • 京急
  • タグはありません
京急600形・2100形 20周年を迎えた「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」

2025.06.28

京成3000形・N800形 「京成グループ花火ナイター号」(2025年)

今年も夏がやってきた。京成電鉄では、6月中旬より「京成グループ花火ナイター号」の運転を行っている。7月12日にZOZOマリンスタジアムで行われる千葉ロッテマリーンズ対埼玉西武ライオンズの試合を...

京成3000形・N800形 「京成グループ花火ナイター号」(2025年)

2025.06.23

Osaka Metro御堂筋線 シン・シャンデリアコレクション 1 - 心斎橋駅

Osaka Metro御堂筋線の新たなシャンデリアコレクション。大阪都心を南北に縦断する大動脈、Osaka Metro御堂筋線。同線において特に最初期に開通した梅田〜心斎橋の各駅ホームは大阪を...

Osaka Metro御堂筋線 シン・シャンデリアコレクション 1 - 心斎橋駅

2025.06.18

京成線 6両編成に弱冷房車を設定

京成線、6両編成に弱冷房車が登場。鉄道において、他の車両よりも冷房時の設定温度を高くして「冷房で寒い」という要望に応える格好で設定されている弱冷房車。京成では、8両編成において上野方より3両目を...

  • 京成
  • タグはありません
京成線 6両編成に弱冷房車を設定

2025.06.13

京成8800形 赤と青の京成カラーに塗装変更

京成カラーの8800形が登場! 4月に京成の一員となった松戸線。報道などにより既存の車両については塗装を順次京成カラーに変更していくことが明らかになっていたが、いよいよ実車が登場した。3月末より...

京成8800形 赤と青の京成カラーに塗装変更