KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2016.06.18

ポルトガルその4はポルトを走る路面電車、ポルト市電をご紹介。

X60041.jpg

ポルト市電 220号
2016.2.11/Carmo

▲動態保存的に走るポルト市電

ポルトもかつては市内を路面電車がくまなく走る都市だったようだが、やはりモータリゼーションの波を受けて路線バスへの置換えが進み、2016年現在は3系統が走るのみとなっている。そんなもんだから、東京の都電荒川線のように廃止を免れた系統だけでトラムネットワークを形成しているのかと思いきや、現物を見てビックリ。やけに古風な車両が釣掛モーターを轟かせながら街なかを闊歩しているではないかッ! 時刻表を見てみても各系統30分間隔という閑散としたもので、実用するにはちょっと難ありなダイヤになっている。これらを総合するに、ポルト市電はどちらかというと観光客向けに走らせている動態保存的な鉄道のようである。

動態保存的と言ってもかつての市電の線路をそのまま走り、電停では通常の路面電車と同じように乗り降りができる。動態保存の鉄道というとやはり博物館内だけなどの限られた区間しか動かせず、乗車するにしても乗車体験というかたちでの乗車しかできないということをイメージしてしまうが、ここでは市電という体裁がしっかりと保たれているのが素晴らしい。ポルト都市圏の鉄道で共通のIC乗車券"アンダンテ"も使用可能となっている点も見逃せない。

X60036.jpg

ポルト市電 220号
2016.2.11/Carmo

▲始発の電停で出発待ちちう

ドウロ川沿いに車庫を兼ねた市電博物館があり、市電として走る車両は全て博物館に保存してあるものが使われている。各日各系統に1両が充当され、1日に計3両の車両が博物館を出て市街を走るということになっているようだ(各系統30分おきの閑散ダイヤなのはこのため)。これはもう市電そのものが博物館の一部分になっているといった感じ。鉄道を保存するとなると、鉄道の性質上どうしても車両だけが残ってしまいがちになるが、ここでは路線を含めて"市電"というかたちで保存されており、それはまさに生ける博物館。鉄道の保存方法としては理想型と言えるだろう。ポルトという歴史のある旧市街を擁し観光客も多い都市だからこそできる芸当かもしれないが、その姿勢はぜひとも参考にしたいものである。

関連記事

ポルトガル周遊の記 6 - コインブラのトロリーバス

ポルトガルの中部の都市、コインブラをブラブラ・・・(ぉ ポルトガルの中部に位置する都市、コインブラ。丘の上にあるコインブラ大学を中心に発展し、ポルトガル中央部を代表する都市である。コインブラ大学...

ポルトガル周遊の記 6 - コインブラのトロリーバス
ポルトガル周遊の記 5 - 特急「インテル・シダーデス」

ポルトガルその5。再びポルトガル鉄道(CP)の話題に戻って、特急「インテル・シダーデス」(Intercidades)をば。インテル・シダーデスという名称だが、インテルはinterのポルトガル語...

ポルトガル周遊の記 5 - 特急「インテル・シダーデス」
ポルトガル周遊の記 3 - ポルトメトロのトラム・トレイン

ポルトガルその3はポルトの都市交通、ポルトメトロ(Metro de Porto)をば。ポルトメトロは2004年に開業したポルトの交通システムである。メトロという名前ではあるが、日本語でいう...

ポルトガル周遊の記 3 - ポルトメトロのトラム・トレイン
ポルトガル周遊の記 2 - ポルト=サン・ベント駅

列車でポルトに到着したなら、まずその足で見ておきたいのはポルト旧市街の中心にあるサン・ベント(São Bento)駅である。1900年に建てられたというその駅舎はガイドブックにも載るほどポルトの...

ポルトガル周遊の記 2 - ポルト=サン・ベント駅
ポルトガル周遊の記 1 - 特急「アルファ・ペンドゥラール」

2月の上旬にポルトガルに行ってきましたよっ。周遊ってほどではないけれど、ポルトガルの首都リスボンから入ってポルト→コインブラ→リスボン→シントラ(ロカ岬)→リスボンという具合にポルトガル国内を...

ポルトガル周遊の記 1 - 特急「アルファ・ペンドゥラール」

最新記事

京成線 2024年11月23日ダイヤ修正

京成電鉄では、11月23日にダイヤ修正を行う。今回のダイヤ修正について、プレスリリースや15日発売の京成時刻表Vol.33などで明らかになっている情報を基に、その内容を見てみよう。本稿では...

京成線 2024年11月23日ダイヤ修正
四直珍列車研究 134 - 平日 1681K

京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...

四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)

空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...

京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える

都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...

都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」

「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...

船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」