KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2016.09.21

せっかくポルトガルまで来たのだから、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬にレッツラゴ〜〜(死語)

X60589.jpg

ポルトガル鉄道 2300形電車
2016.2.13/Lisboa-Oriente

▲リスボン首都圏の近郊列車で主力として走る2300形・2400形電車

ってなわけで、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬へ。ヨーロッパ大陸最西端っていうと果てしなく壮大なイメージだが、リスボンから電車とバスを乗り継いで約1時間半といったところにあるお手軽観光地。単純に行って帰ってくるだけならば半日コースといったところで、リスボンの観光に飽きてちょっと遠出したいな〜ってときにちょうどいいところだと思う。リスボンからロカ岬への行き方は大きく2通り。ロカ岬へ向かう路線バスがシントラ〜ロカ岬〜カスカイスというふうに走っているので、リスボンからまずシントラに向かうかカスカイスに向かうか、である。シントラとカスカイスはそれぞれシントラ線、カスカイス線というポルトガル鉄道の路線の終点なので、どっちのルートで向かっても分かりやすい。

シントラあるいはカスカイスまで乗るのは、ポルトガル鉄道がリスボン首都圏で運行している近郊列車である。リスボン首都圏の近郊列車はリスボンとその周辺都市をネットワークしており、2016年現在7つの系統が走っている1)。行先にはSを冠する系統番号も表示されており、さしずめS-bahnのポルトガル版といったところ。運行頻度は運行系統によりけりだが、12分間隔から30分間隔となっている。シントラへ向かう系統はリスボン=ロシオ発S4系統とリスボン=オリエンテ発S3系統の2つがあるが、前者は30分間隔、後者は20分間隔である。カスカイスへ向かうカスカイス線は日中時間帯20分間隔、ラッシュ時間帯12分間隔2)。早朝と深夜に出入庫のための区間列車がごくわずかにあるほかはどの運行系統も規則正しく走っており、ここらへんは日本の鉄道よりもキッチリカッチリしているように感じる。

リスボン首都圏の近郊列車で主力となっているのは、2300形・2400形電車。1992年から使われている、片側3扉の通勤形車両である。4両編成が1ユニットとなっており、4両編成単独または4両編成を2本つなげた8両編成で運用されている。制御装置等の電装品はドイツSiemens製のようだった。それにしても扉は両開きの引戸だし、コルゲートを腰に巻いたステンレス製の車体はどことなく日本の鉄道車両にそっくり。台湾を走っている日本製の通勤形車両よりも似ている。クーラーがやけに小さいことやパンタグラフの形が違うなどの差異はあるものの、親近感が湧いてくる。それで気づいたが、ポルトガル鉄道は他のヨーロッパの鉄道よりもホームの高さが少し高いようで、それが車体の規格に大きく影響を与えているのだろう。

X60591.jpg

ポルトガル鉄道 2300形電車
2016.2.13/Lisboa-Oriente

▲2300形・2400形の中間車両、クーラーがやや小ぶりではあるものの3扉のステンレス製車体には日本の鉄道車両を感じずにはいられない。パンタグラフは新京成8900形のようなY字型のシングルアーム式
X60577.jpg

ポルトガル鉄道 2300形電車
2016.2.13/Lisboa-Oriente

▲先頭車両どうしの連結部分。連結器は電連付きの密着連結器を使用しているようであった。運転席横に安全確認のためのサイドミラーが付いているのが特徴的
X59434.jpg

ポルトガル鉄道 3150形・3250形電車
2016.2.9/Belém〜Algés

▲カスカイス線を走る3150形・3250形電車
X59448.jpg

ポルトガル鉄道 3150形・3250形電車
2016.2.9/Lisboa-Cais do Sodré

▲リスボン=カイス・ド・ソドレ駅に集う3150形・3250形電車。カスカイス線はラッシュ時間帯と日中時間帯とで列車本数に極端な差があるため、このような光景が見られる

なおカスカイス線だけは、同線が他の運行系統と接しない独立した線区3)であるためか、3150形・3250形という写真のような少し古っぽい車両が使われている。3両編成のユニットと4両編成のユニットをつないだ7両編成で走っているようだった。このほか、JR東日本215系のようなダブルデッカーの電車も見かけたが、ちらっと見えただけなので詳細はよくわからず。

  • 1)これに加えて、4月25日橋を経由してリスボンとセトゥバルを結ぶ路線をFertagusというオープンアクセスオペレーター(日本でいうと第2種鉄道事業者に相当する民間の鉄道事業者)が走らせている。
  • 2)カスカイス線のラッシュ時間帯は、途中のオエイラスまでの区間各停と終点カスカイスまで区間快速の2系統がそれぞれ12分間隔で走る。
  • 3)車両の検査工場への出入場のため、線路だけは非電化でつながっている。

関連記事

ポルトガル周遊の記 9 - リスボン首都圏の近郊列車に乗る

ってなわけで、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬にレッツラゴ〜〜(死語) 前回の記事でご紹介したように、ロカ岬への行き方は2通り。ロカ岬へ向かう路線バスの都合上、シントラを経由するかカスカイスを...

ポルトガル周遊の記 9 - リスボン首都圏の近郊列車に乗る
ポルトガル周遊の記 7 - リスボン=オリエンテ駅

ポルトからコインブラと回って、いったんリスボンへ帰還。以前の記事でポルト=サン・ベント駅を取り上げたが、今回はリスボンを代表してリスボン=オリエンテ駅を紹介しよう。オリエンテ駅は比較的新しい駅で...

ポルトガル周遊の記 7 - リスボン=オリエンテ駅
ポルトガル周遊の記 6 - コインブラのトロリーバス

ポルトガルの中部の都市、コインブラをブラブラ・・・(ぉ ポルトガルの中部に位置する都市、コインブラ。丘の上にあるコインブラ大学を中心に発展し、ポルトガル中央部を代表する都市である。コインブラ大学...

ポルトガル周遊の記 6 - コインブラのトロリーバス
ポルトガル周遊の記 5 - 特急「インテル・シダーデス」

ポルトガルその5。再びポルトガル鉄道(CP)の話題に戻って、特急「インテル・シダーデス」(Intercidades)をば。インテル・シダーデスという名称だが、インテルはinterのポルトガル語...

ポルトガル周遊の記 5 - 特急「インテル・シダーデス」
ポルトガル周遊の記 4 - ポルト市電

ポルトガルその4はポルトを走る路面電車、ポルト市電をご紹介。ポルトもかつては市内を路面電車がくまなく走る都市だったようだが、やはりモータリゼーションの波を受けて路線バスへの置換えが進み...

ポルトガル周遊の記 4 - ポルト市電

最新記事

京成線 2024年11月23日ダイヤ修正

京成電鉄では、11月23日にダイヤ修正を行う。今回のダイヤ修正について、プレスリリースや15日発売の京成時刻表Vol.33などで明らかになっている情報を基に、その内容を見てみよう。本稿では...

京成線 2024年11月23日ダイヤ修正
四直珍列車研究 134 - 平日 1681K

京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...

四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)

空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...

京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える

都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...

都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」

「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...

船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」