2016.08.26
ポルトからコインブラと回って、いったんリスボンへ帰還。以前の記事でポルト=サン・ベント駅を取り上げたが、今回はリスボンを代表してリスボン=オリエンテ駅を紹介しよう。
オリエンテ駅は比較的新しい駅で、開業は1998年。同年に開催されたリスボン万博に合わせて開業した駅だが、リスボンにおける鉄道の新しい玄関口としてつくられた駅となっているようで、リスボンに乗入れる全ての特急列車が停車、市内中心部や空港へ向かう地下鉄も接続するほかバスターミナルも併設しており、オリエンテ駅はリスボンの一大交通ターミナルを形成している。将来的には隣国スペインからの高速鉄道がオリエンテ駅に乗入れるようになるんだとかで、現在はやや閑散として少し持て余し気味な4面8線の広い駅構内も、高速鉄道が発着するようになればよりターミナル駅らしいにぎわいを見せることになろう。
もとよりリスボンの新しいターミナル駅としてつくられたこともあって、駅舎のデザインには相当の力が入っており、駅そのものにシンボル性を持たせた設計となっている。何と言ってもまず目に入るのは軽やかなデザインのホーム上屋。駅の設計は構造家のサンティアゴ・カラトラバで、氏の得意とする構造の美しさと繊細なデザインが融合したホーム上屋は間違いなくこの駅のシンボルとなっている。一方、ホームの下のコンコースはダイナミックなデザインの高架橋に覆われており、マッシブなコンクリートがむき出しの空間はホームのそれとは実に対照的。駅全体を植物に例えるならば、それはまるで土の中にしっかりと張っている根のようである。利用者がコンコースからホームに上がるという行動が、いわば土の中から芽生える植物というストーリーとなっているわけだ。
◆ ◆ ◆
たまたま夜のオリエンテ駅も訪れたが、ナトリウムランプでやわらかく照らされた空間にうっとり。特徴的なホーム上屋を強調するかのようなライティングが美しい。建築と言えば昼間に見に行くことが多いけれども、こういった夜の建築もまた乙なものである。
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